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【恋愛】   ボーダー

別れのあとには出逢いがあり

出逢いのあとには別れがある

人生はその繰り返しだろう


今日もどこかで誰かと誰かが出逢い

または別れ

時の旅路を往来する


ずっと一緒にいたくてもいつか必ず別れの日は訪れる

友人も家族も恋人も

命には限りがあり

気持ちにも限りはあり


永遠に続くものなんてどこにも存在しないから



 どんなに愛していても


恋人はある日僕のもとから去って行った

穏やかに揺れる海が見える砂浜を手を繋いでゆっくりと歩いていくような日々 そこにはなんの障害も見当たらなくて それがいつまでも続くような気がしていた

このまま歳を取り 人生がゆっくりとフェイドアウトしていけばいいなと夢を描き

夜を越えた時それは泡沫(まぼろし)になっていた

気が付けばそこには自分しかいなくなり


そして未来が暗転した



朝が来ればそれを追いかけて夜が訪れるように

出逢いがあればいつか別れも訪れる

こんな風に



それから一人で迎えるようになった夜や朝は空虚で静かで

僕は 永い一日を何度も一人で綴った



  あなたに落ち度はなかった

  悪いのはみんなわたしなの

  わたしがべつの人を好きになってしまったから



目覚めてすぐに見たそのメールは現実味がなかった

もう一度繰り返し読み返して

そしてベッドに沈んだ



 目を覚ましたくなかった

 こんなメールが来てるなら

 携帯を握った拳をだらりとマットレスに投げ出してそう歎いた


静かな寝室に聴こえてくる

確かな時を刻む秒針の音

今もどこかで誰かと誰かが出逢い または別れたりしているのだろうか

自分みたいに


時計は動いていた

時が動いていることを証明するかのように

カーテン越しに僕の寝室を照らす朝日は いつのまにか日付変更線を越えて

そしらぬ顔で哀れな男の部屋を覗いていた


越えてしまった

安らかな昨日を



光のボーダー

闇のボーダー


それは昨日と今日との境界線


光のボーダー

闇のボーダー


それは運命を隔てるカーテン


go over

is

“ゲームオーバー”



どうかまだ朝よ来ないで

夢の続きを そう願った一瞬

そうだ 今僕の傍には愛する人がいるんだ

夢から覚めてクスリと笑う

扉の向こうから聴こえてくる物音がそれを教えてくれる

次の日の朝もこれからもずっと傍にいる人

それが当たり前になった人


over


そう 僕は乗り越えたんだ


border


別れの境界線を

そして


別れの後には

出逢いがあり

今の僕たちの姿がある


ボーダー


闇を越えて


ボーダー


今日を照らす


一つの別れを乗り越えて一人の女性に出逢い


ボーダー…


go over

is

“スタート”


闇を越えた今 僕らは光のなか


今度はゆっくりとフェイドアウトしていけるといいな




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