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♠【恋愛】 名残花火
※リメイクしました。
雨音を聴きながら作ったしっとりとした即興曲です。
淀んだ空が降らす雨が大気の熱を奪っていく
先週までの暑さがまるで嘘のよう
私は夏の欠片握りしめ 虚空を見ていた
仕事で嫌なことがあっても
休日は彼に会えるから
それを励みにして頑張れた
それだけで幸せ感じていればよかったのに
愚かな私は心が揺らいでしまった
その報いか
彼は離れていった
言葉にも態度にも出した覚えがないのに
メールが少しずつ減って
しだいに予定が合わなくなって
声も聴けなくなり
いつしか
文字も見れなくなって
どうするのが正しかったの?
それでもしつこくメールすればよかったの?
彼も浮気してたの?
わたしにそれを問う資格はあったの?
訊けなかった……
多分、訊かなくてよかった
訊いても多分私達は
もう終わってたから
手の中の欠片を散らそう
握り潰してしまう前に
闇を彩る花にして
彼が来る日のために買った
花火はもういらない
火を灯したら色とりどりの花弁散らし
やがて灰になる
忘れるには丁度いい
私は夜空に散らした
夏の欠片を散らした……