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ゼロストライク  作者: 漢汁
1章・青い春の中止
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それはまぎれもなくヤツさ

 彼の、中村武志の扱いは酷かった。

 そう、掃除用具入れのロッカーから、コッソリと抜け出せられなかった彼は、黒瀬のフォローで一時何とかなったけれども、結局妹に連行された。そして、その妹、美緒にに折檻された。

 それはもう、プロレスラーも頷けるレベルで、あらゆる技を披露してくれた。

 一番効いたのは、チョークスリーパーだった。頭部へのダメージはリスクが高いということで、美緒は許してくれた。でも関節技は別だと。結果、生き抜いた。いや、普通生きれるから。


 アルセイデス事件(武志曰く)そして、黒瀬事件(美緒曰く)後、美緒に発見された武志は、地獄に近い折檻により、全て白状した……が、美緒の怒りは収まらかった。

 よって、プロレス技を受ける羽目になった。


 アルセイデスは相変わらず……ではない。過剰な武志とのコミュニケーション、ボディーランゲージ含めてのアプローチが多い。つーか、いつの間にか消えたり現れたりと、忙しいヤツだ。

 あと、美緒のことを"ちゃん"付けで呼ぶようになっていた。

 休み時間になると、アルセイデスがくっついてくる。そして美緒がやってくる。

「は・な・れ・ろー!!」

「イヤデース」

 きゃっきゃうふふ……なのか?


 同級生は、既に何も言わない。むしろ、武志の妹、美緒が怖いので、何も言わなくなってしまった。

 ようするに、生贄と同じような感じに近い。

 いや、転校生で赤髪の美少女だろ!? 手を出そうとする気は無いの? 不能なの? バカなの?

 ……と、ツンデレ口調で言いたいくらい、誰もが何も言ってこない。たった2日で。

 転校生来たんだよ? 普通何らかの口撃とかするでしょうがっ!!

 でも、みんな目をそらす。アレェ!?


 今のところ、それ以外の変化はない……と思ってた。

 だがしかし、最近判明した。

 アルセイデス、あいつ、なんであんな目立つアホ毛があるの? と思っていたら、アレ、ウィッグだったらしい。運悪く接触したヤツの情報から。

 でもそいつ、手が痺れたとか、気分が悪いと言って、そのまま戻ってこない。


 もう疲れた、今日は早く帰ろう。

 いつもならだらだらと、部活とかで使用されていない空き教室で、夕日を眺めながら友人らとゲームでもして暇をつぶすところだが、とっとと帰ることにした。

 そう思い、カバンを手にした時、窓ガラスや教室、自身に僅かな振動を感じた。

 携帯端末のバイブレーターではない。自分の身体に感じるだけならわかるが、窓ガラスまで震えないだろう。

 あと何か音がする。風を切るような音が近づいてくる。それだけではない、ジェット機のような音も混じっている。それがだんだん大きくなっていく。 

 嫌な予感がしたが、窓に近寄ってみる。夕日が見えるのは良い、夕方だからそれは当然。明日はきっと晴れ。

 それだけだったら良かった。夕日をバックにして、三角形に近い形をした物体、航空機らしきモノが見えなければ。

 距離はかなり近いし、高度も高くない。

 めっちゃ逆噴射してるわー。

 墜落しますね、間違いなく。

 てか、こっち来るなッ!!

  

 人間、突然の出来事が起こった場合、咄嗟に行動できないが多い。だが、非日常を過ぎる生活を強いられている俺にとっては関係ない。

 身体が勝手に動くのだ。もちろん正しい方向に。

 こういう時はどうすべきか? 窓の付近は駄目、遮蔽物の下に隠れるくらいか。

 とっさの判断だが、これが正しいかわからない。目の前にあるもの、机の下くらいか。

 爆発だけは簡便な、そう祈りつつ衝撃に備えた。


 数秒後、非常に大きな音と衝撃。窓は……全壊だった。俺の体は、無事、その他確認。

 恐る恐る窓から校庭を見ると、飛行機? 良くわからないが、校庭に機首らしき部分から突き刺さっていた。

 いや、航空機でも、あれは戦闘機に近い形?

 つーか、この酷い状況なのに、戦闘機が原型を留めてるのが謎。普通は木端微塵だよ。

 そう思ってる時、戦闘機らしき航空機のキャノピーが開いた。

 ……あ、ヘルメット、ゴツイね。

 そして、メットを脱いだ姿は……女性? だよね。

 金髪の女性らしき人が降りてきたけど、墜落の衝撃か、ふらついている。

「おい、誰か乗れるやついねーのか!?」

 流暢な共通言語で喋っているということだから、普通の人間だろう。

「ウッ!! ヲ、ヲエ、ゲロゲロ……」

 はい、嘔吐ゲロしてます。

「……このような辱め、クッ殺せ!」

 訂正しよう、種族は女騎士だ。

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