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ゼロストライク  作者: 漢汁
1章・青い春の中止
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悲しみの向こうへ

 何かヤバイ音が、下から聞こえてきた。

 今授業中だけど、それをすっぽかしてやって来る人は、一人知ってる。

 さて、俺は逃げるべきか? 大人しくするべきか?


「ねぇ、武志。この教科書、私よく読めないんだけど、教えてくれない?」

 あ、空気を読めない(そもそも読める人は、クラスメイトの一部しか居ない)ご婦人、アルセイデスが話しかけてくる。

 ヤバイ、あと5秒後には"デストロイゼムオール"という声と共に、教室が血だまりスケッチになってしまう。

「めんご、また今度!!」

 と言い残し、俺は逃げた。時間的に余裕が無いので、掃除用具入れのロッカーに。

 ガチャリッ! と戸を閉めた途端、ヤツはやってきた。キット来るー、じゃなくて来た。


「フーッ! フーッ!!」

 扉をスライドして開けるどころか、明後日の方向に飛ばした、とてもデンジャラスな妹がやってきた。

 口から水蒸気出しながら。お前は鬼かなんなん?

「あー美緒ちゃん? ちゃんと弁償してよね?」

「たやすいことではない」

 えー、スパルタン的な事言ってません? 誰かツッコんでよ!」

「で、お兄ちゃんはどこ!?」

 予想通り、俺が第一目標っぽいです。

「え? 武志君なら……そうね、屋上でお昼寝するって言ってたわー」

 先生のフォロー、ありがとうございます。


「え? でもさっきまでここに居たような気が……」


 アルセイデス! なんちゅーこと言うの!?

「そう、ここがあの女のハウスね……」

 美緒、危険なセリフを言うんじゃない。そして、アルセイデスの事を敵と認識してないことに、ちょっとだけ安堵する。

「そう、わかった。屋上行ってくる」

 あっさりと別ルートで殲滅する気だよ、この妹。

「あ、でも屋上は立ち入り禁止だし、施錠もされてるし、無理なんじゃないかなぁ?」

 先生、いらんこと言わないでください。

「は? ヤツが行けるんなら、私も行けるでしょ? 特科だし。閉まってれば壊せばいいの」

 物騒過ぎるだろ!

「あの、それより授業は?」

「知るか!」

 ああ、美緒が不良化していく……もう手遅れっぽいけど。

「授業中失礼しましたッ!」

 バンッ! と扉が閉まる音。そして、数十秒間の沈黙。


「ふぅ……あ、中村武志さん、出てきても良いですよ?」

 先生の問いかけに、誰も何も答えなかった。

「あ、あの、中村さん?」

 掃除用具入れのロッカーを、先生は恐る恐る開いたところ……

「きゃぁ!!」

 先生の悲鳴が聞こえてきた。

 生徒の多くが何事かと見に来た時……


 中に、誰も居ませんよ。

 妙な血だまりが残っていた。


 中村武志、どこ行った!?

 そして、誰もが気がついていること、それは……

「あら? そういえばアルセイデスさんは?」

 アルセイデスも消えていた。

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