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ゼロストライク  作者: 漢汁
1章・青い春の中止
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進撃のキモウト

 事の始まりは、一昨日のことだった。

 いつものように、朝起きて、朝食のパンを食べながら豆乳を飲んでいたら、妹に「パンには牛乳でしょ!」と言われる。結局は妹も豆乳を飲む。

 いつものように、妹と一緒に玄関を出ると、丁度お隣さんの幼馴染の女の子と遭遇する。

 その胸の大きな幼馴染の女の子と牛乳の話をしていたら「この乳女め……」と、まな板な妹が怒り出す。

 そして、頭の悪い口論が始まったところで、俺は逃げた。

 ダッシュで学園に到着。普通科3年の教室に入り、友人? いや、悪友とくだらない雑談を始めていたところで、事件が発生した。


 時は08:30。先生が入ってくる。いつもの朝礼……であるハズだった。

「はい、皆さーん! 突然ですが、今日から新しいお友達がクラスに加わりますぅ」

 ……は? あとその間延びしている口調を何とかしろ、そこの女教師。

 確かに童顔で一歩間違えて手を出したら、違う理由で通報されるのに。

 あと、本当に突然だね、転校生がやってくるタイミング。

 長期の休み明けでもなく、月始めでもなく、週明けでもない。火曜日だし5月の下旬という忙しい時期だ。

 しかも普通科。この学園なら、違う科目だったらありえる話だけど。


 色々とツッコム理由はあるけど、その件は放置する。


「ではではー、どうぞお入りくださいなッ」

 なッじゃねーよ。と思った。

 トコトコと、教室のドアから入ってきたのは……赤毛の女の子だった。

 でもなんだ? あのアホ毛。人を一突きで殺せそうな鋭さなんですけど。

 女の子、彼女は教卓の近くまで移動すると、初めて声を出した。

「初めまして、私、えーと、アルセイデスと言いま……いえ、申します」

 まぁ、赤毛だし、俺らの国の人じゃないだろうし。

「えーと、他に言いたいことは?」

 いや、無いでしょ。

「えっと、はい……」

「ではでは、お席は……西村君の後ろで」

「わかりました、って、西村君って、どのお方です?」

 酷い、説明が雑だ。

「一番後ろの窓際の席から、一つ左の、上から二つ目の席の男の子よ。目つきの悪いのが特徴だから、すぐ判ると思うよ」

「あ、把握しました」

 酷い!

「はい! では着席してください」

「わかりました」

 とことこと歩いてくる女の子。名前? もう忘れた。

「お世話になります。アルセイデスです。よろしくお願いします、デス」

 今、デスを2回言ったような気がするけれども。ギャグなの?

 それよりも、名字は?

「……よろしく」

 何か朝から疲れた。


 だがしかし、この妙なフラグ的な状況に過剰反応するお方により、事態はややこしくなる。

「はっ!? 何なの? このプレッシャーは!!」

「えっ!? えっ? 美緒ちゃん、どうしたの?」

「兄貴の近くに、危険な女の気配がする」

「いや、そりゃ共学だし、いつものことじゃないかな?」

「違うッ! 今までの女共の反応がおかしい!!」

 中村美緒の友人、赤城香織は思った。

 ……ああ、美緒ちゃんは、もう止められない。

「兄貴! 今助けに行くからね!! ……あ、先生、急用が出来ましたので、只今より欠席しまーす」

「OK」

(先生、雑過ぎるよ……)

 赤城はそう思ったが、その短い思考時間で、美緒は武志のいる教室へ向かってしまった。

「……守れなかった」

 この学校の校舎は4階、屋上は普通科一般生徒は基本立ち入り禁止。地下は2階まであるが、こちらも普通科一般生徒は立ち入り禁止。

 美緒達、特科1年の教室は2階、武志ら普通科3年の教室は3階。タイムリミットまで、あと15秒。

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