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ゼロストライク  作者: 漢汁
1章・青い春の中止
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バラライカ

 指パッチン!

 話をしよう、あれは1日前だったか、一週間前だったか……まぁ、そんなことはどうでも良い。

 私にとっては今日の出来事たが、君たちにとっても今日の出来事だ。

 彼には1つの名前があった。

 そう、最初に出会った時は……武志。

 彼は本当にいい奴だったよ、今も、そして未だに。

 あいつは人の話をよく聞くが、何故かどうでも良いことに巻き込まれる。

 ……まぁ、良いやつだよ。


「と、どっかで見た夢を、また見たんですけど」

 中村武志なかむらたけし、17歳。先日に学校の校庭に落下してきた戦闘機のパイロットに拉致された、可哀そうな人。

「ざっけんな! 現実を見ろクソボケ!!」

 そのパイロットは、メルセイデスというお名前で。いや、現実を見ても宇宙に飛んだ時点で、現実ってなんなん? という状況。何でこんなことに……

「おいテメェ! マニュアル読んだか? 基本操作出来るようになったか?」

「わかりませんよ。猿でもわかるって、絶対無理なレベルでしょうが」

「ならアホでもわかるバージョンだな。左コンソールあたりに転がってるはずだ」

 そう言われて探してみたら、見つかった。けれどもその場所は、コクピットの天井。一枚の紙が張り付いていた。

 読んでみたけど、自動モードにせよ――と。要約すると、それだけしか書かれてない。

「……あの、これだけでどうしろと」

 と言ったら……

「気合で何とかしろ!」

 うわ、完全な脳筋だよ、この人。


 マニュアルを読んで、ヘルプモード、オプションから簡易操作モードに切り替えると、レーダーとマップ画面が表示された。

 丁寧にディスプレイとHMD(ヘッドマウントディスプレイ)に出現するマーカーで、モード変更、表示切り替え、スイッチの場所、それらの操作方法などを丁寧に表示してくれる。忘れたらもう一度説明が表示される機能付き。過剰過ぎるゲームのチュートリアルかよ。

 惑星を一周している間に、一通りは覚えられたと思う。

 あと、パイロットスーツも着た。コクピットのスペースにある程度余裕があったのと、自分の身体が柔らかかったので、あまり苦労しなかった。

 HMDに着装方法とか、必要なケーブルやホースなどの取り付け位置の表示されるし。


「で、一応星の周回軌道上に乗ったけど、どうやって進路変更すりゃ良いの?」

 このバカ操縦士め、んなことド素人の俺に聞かないでよ。

「わかりません」

 すみません、アホなので素直に答えておく。

「は、ざけんな! 何のためにお前を拉致……ゲフンゲフン! スカウトしたと思ってる?!」

 あ、拉致した自覚はあったんだね。首根っこ掴まれて、ガクガク揺らされてる。脳みそシェイクされちゃうよー。

「き、気持ち悪くなってきたから、も、もう止めて……」

「お、ああ、すまない」

 解放された。まぁ、元々酔いには強いから、どういったことでもない。

 気持ち悪いと申告したらあっさりと止めてもらえるのは、先程の失態が尾を引いているのか。

「え、えーと、一つ提案があるのですけど? 聞きます?」

 この人の都合で、いつまでも宇宙に居たくないし。自分が考えた行動パターンを提案してみることにした。

「……へぇ、なによ?」

「赤道付近で軌道航行状態で、スイングハイ不能なら、オススメできない方法があるのだけど」

「え、どういう方法? あ、何でもやらないけど」

 ん? 今、何でもやらない……か。何気にフラグをかわしやがった。

 でも俺はあえて言う。

「やらないか?」

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