愛をとりもどしたくなかった
アルセイデスは思った。
校庭で戦闘機が墜落。中村武志が失踪し、その妹の中村美緒が激しく混乱している。
暇だからという理由で、地下1階をブラブラ散策していた時、携帯端末によって現在の状況を確認した。
「……お姉ちゃんのしわざですって!?」
でもどうしろっていうの? 私は"まだ"動けないし。
アルセイデスには、まず自転車どころか、バイク、軽飛行機、戦闘機、巡洋艦、潜水艦、ついでに戦艦、そして艦娘。全ての使用が禁じられていた。
それは単純な理由。
『あらゆる乗り物に乗っても構わんが、命令なく操舵するな!』
と、命令されている訳で。
ってことは、乗っても良いのよね?
と質問したら……
『全て禁止!!』
というお言葉を頂いた。
いや、そもそも今、とんでもないことが起こってるんだよ!
地下から上がると、案の定騒ぎがおこっている。
(えッ? イヤだよ!! お姉が武志とタンデムランデムーなんてやらかしたらって言ったら、美緒ちゃんが暴走するに決まってるんだよ!! え、どうするの? この状況を?! 私には無理だよー 予定と違うじゃない、観光気分で来たのに)
可哀そうなアルセイデス。だが、そんな人に声をかける、全く気を読めない人がいた。
それは、まぎれなくヤツさ。
そう思ってたし、予想してたアルセイデスは、逃げた。
代わりに犠牲になったのは、赤城香織であった。
そして出てきたクリーチャーは……
美緒、中村美緒!!
「コーブラー……」
あー、言っちゃったよ、美緒ちゃん。
赤城香織はそう思った。サイコガン持ってる、金髪のオッサンの姿が、薄っすらと背後に見えたような気がした。
「コーブラー……」
二度も言わなくていいの、本当に駄目だから。
「お前を殺す」
いや、誰を?
「あの、あのね? 美緒ちゃん? 話をちょっとだけでもいいから聞いてくれる?」
赤城さんは、美緒を説得しようとした。
「戦闘を終了します。お疲れさまでした」
……なんか違う。説得失敗。
「ネームエントリー……」
「あーもー!! このポンコツがぁー!!」
そして、中村美緒は蹴られた。本人にとっては、初めての出来事であり、赤城香織にとっても、初めての暴挙というか、蹴りであった。
「任務完了、帰投する、ついでに自爆する」
え? なにをどうやって? ご自宅ですか? ご注文はうさぎですか?
そのまま中村美緒は気絶状態となった。バタリ、と倒れて、そのまま動かなくなった。
赤城香織も壊れ始めた。
「終了します、お疲れさまでした」
あの、何が?
結果、残ったものは、気絶した中村美緒と、うなだれてる赤城香織の二人。
そして、状況を理解するのを放棄したアルセイデスであった。




