正義は魔王軍!?
何となく思いつきで書いてみましたw
――『異世界』
現世界ではなく、現実でもない場所。
――異世界には魔王がいて。
絶望が溢れ、死者が溢れ。
――異世界には勇者がいて。
希望が溢れ、生者が溢れ。
日々の幸せな暮らしをし、魔王に苦しめられても、最後は勇者がやって来て魔王を討伐する。全てがハッピーエンドで終結する世界。
―――のだが…。
そんな話は現実世界の夢物語。
そんな話は意味の無い妄想で。
そんな話は人々の願望でしかない。
――そう。願望なのだ。願い、そして望むもの。例え無いと分かっていたとしても、誰しもが一度は抱く、異世界に行きたいという現実逃避。
異世界に行って楽しく暮らしたい。
異世界に行って幸せになりたい。
異世界に行って人々を救いたい。
異世界に行って美少女と遊びたい。
異世界に行って…異世界に行って…異世界に行って…異世界に行って―――
―――そう。誰しもが望む現実逃避の全てが―――――
全てが上手くいっている、または自分自身が有利な立場に立っているものしかない。
ただの妄想で、ただの願望でしかないから。
確かにそうかもしれない。だがもし、万が一、異世界に召喚された場合。
召喚されざるおえなくなった場合
人々は皆、一度はパニクるだろう。
――それは異世界に飛ばされた事ではなく。
――それは魔法が使われている事ではなく。
――それは変な生き物が走っている事ではなく。
とてつもなく現実味溢れていて、法や決まりが細かく、急激な人口増加による職業難に満ちたこの世界に驚くだろう。
――――現に。召喚された少年。正義真は偏に思ったのだった。
□■○■□
―――無一文。
実際には少しは持っている。持っているのだが、全財産784円というのは、はたして持っているという部類に入るのだろうか。俺は疑問に思う。
目に深い隈を持った正義真はコンビニに入る。コンビニ内の冷気に気分を少し良くしたマコトは、カップラーメンエリアに直行する。
「一つ200円以上もするのか…。このボッタクリがっ…!」
小声で文句を言いながら、一つ税込200円ちょっとのカップラーメンを3つ、かごの中に放り込む。
父はマコトが小さい頃他界し、母も二年前に他界した。それからというもの、マコトはいわゆるヒキコモリというものになった。ここ二年間、母の遺産を頼りに生活してきた。生活―――と言っても酷いものだ。ここ二年間、カップラーメン以外のものを口にしていない。ヒキコモリに最も重要とされるもの、コンピューター。それにばかり金をかけていた。ネトゲにネトゲ。1にネトゲに2にネトゲ、3 4がネトゲで、5にカップラーメン生活だった。そして遂に、母の遺産も尽き、本物の一文無しになったのだった。多分これが最後のカップラーメンになるだろう。
そう思ったマコトはコンビニから出る。家までは徒歩15分。ほぼ一本道。一直線が長いため飛ばす車が多い道。当然今日も飛ばす車がいる。
「危ねぇったらありゃしねぇな。……ハァ…。」
ため息を一つ。そんな事より自分の事を考えなくてはならない現実に気が重くなっていた。
「これからバイトするのもなぁ…めんどくせぇ…。」
テンテンッテンッテンッ―――――
「…ボール?」
道路の方へ跳ねていく黄色いボール。それを追いかけるように――――
――――女の子も走って行く。
キ―――――――――――――ッ!!ドガンッ!!
――声なんか出なかった。声よりも何よりも――――――
―――先に体が動いていた。
『…ハハ…何やってんだか俺は。』
マコトは頭から血を流しながら路上に倒れている。
「―――――ぉいおいおい!大丈夫か!?誰か救急車!救急車呼んでくれ―――――!!」
ざわめく現場に、うぁんうぁんと泣く女の子の声が微かに聞こえてくる。
『子供は無事だったのか…。初めて正義真に相応しい行動が出来たんじゃねぇかな俺…。』
ドクンドクンと、脈打つように頭から血が溢れ出てくる感覚を体全体で感じる。
『暑い様で寒いような…これが死ぬって事か…。』
地面が血で真っ赤に染まっていく。周りの音がだんだん消えていき、意識が朦朧としてくる。自分の死が近づいてくるのが明確にわかる。
『なんか散々だったな俺の人生…。』
救急車のサイレンが聞こえる。
『来世はもっと真面目な人間に生まれ変われたら良いな…。』
ピーポーピーポーピー…ポー………
その音を最後に正義真は命を落とした。
□■○■□
ここはどこだろう…?
長い間眠っていたような感じがするが、そうでもないような感じもする。
ガヤガヤと周りの音が静かに、ゆっくりと耳に届いてくる。
ぇー…と…俺は何してたんだっけ…。
「――い、君。おい!君起きろ!」
「ハッ!」
マコトは目を覚ました。すると目の前に大きな狼のような男が1人、仁王立ちをしていた。
「狼…男?」
明らかに異形の姿。驚きを隠せない。
「君。名前は何という?」
「え…?はい?」
いまいち状況が理解できないマコト。
「名前は何だと聞いている!」
「正義真と申します!」
プレートのようなものにメモをする狼男。
「良し。君にはまず、ギルドに行ってもらう。そこでステイタスを測ったり、ジョブを決めてもら―――」
「ちょちょッ!ちょっと待ってください!」
「あぁ?何だ?」
睨んでくる狼男。
「あ…いやぁ…あのぉ…ここは何処でしょうか?」
「はぁ!?何言ってんだお前。」
「あぁ〜いやぁハハハッ…。」
「魔界に決まってんだろ。」
「…。」
フリーズするマコト。
「ハハッ!ですよねぇ!そうに決まってますよねぇ………って!なるかァァァアアアア!」
これは転生者『正義真』の新たな人生の物語。
「何で魔界ィィィイイイイイイイイイイイイ!?」
面白そうだとか、どうだとか、なんでもいいんで、この作品の序盤を読んでみての感想あれば言っていただくと嬉しいですw