Start of Life
ーーー時は遡り5歳の頃
僕は保育園のグラウンドにある子供が入れるサイズの家に入って何をすることもなかった。しかし、これが日課となっていたのだ。
僕は孤独なのだ。そのうえ臆病者で弱虫だ。そして独りに慣れてしまっていたのだ。
紅月「孤独は良いな~」(でも、あれだな、ここまで孤独だとちょっと寂しいな……何だよ寂しいのかよ……)
そう、本音は寂しかったのだ。それは臆病で弱虫のせいでもあるのだろう。
すると、そこに近づいてくる二人の影が見えた。
???「あれ?何してるの?」
女の子が外から顔を出し、聞いてきた。
???「お!なんだなんだ?」
同時に後ろに居た男の子も聞いてきた。
俺は正直声をかけてくれたのは嬉しかったが、何故か邪魔だと思ったのか、自ら嫌われる言葉を放ったのだ。恐らくそれは人を信用できていなかったからだろう。
紅月「僕は一人が良いんだ、邪魔しないでくれ」(他の奴らみたいに興ざめしてどっか行ってくれ……)
僕は覚悟して言ったのに、二人は僕から見たら真っ直ぐな瞳で僕に言ってきた。
???「私は君と仲良しの友達になりたいの!あ、私の名前は一華 雫だよ!雫で良いよ!宜しくね!」
???「俺も同じだよ!俺の名前は赤坂 秀だ!俺も秀で良いぞ!宜しく!」
紅月(何でそんなに真っ直ぐな瞳で伝えてくるの!?)
俺はそう思い、半信半疑になっていると、
雫「そう言えば君の名前聞いてなかったよ!何て言うの?」
秀「そう言えばそうだった!」
紅月(会話になってない気がする。いや、まぁ、心の中で思っていることだから仕方ないけどね)
この際それは置いといて、二人は僕の名前を聞いてきたのだ。このまま黙るか、もっと酷い言葉を言えば良いと僕は思っていたが、僕から出た言葉は予想もしていなかった事だった。
紅月「……如月 紅月だよ」(え?いやいや何言ってんの僕!?何名前教えてるんだよ!?)
雫は何かブツブツと言っていた。
雫「こうが、こうがくん……言いずらいな~……あ!こうくんだ!」
紅月(何を言ってるんだ!?)
雫「宜しくね!こうくん!」
秀「宜しく!こうが!」
紅月(元々無かった人の信用……この二人は僕に真っ直ぐに言ってきてくれた。僕の思い込みかもしれないけど、きっと偽りではないのだろう。この二人になら信用してみたい!と、友達になりたい!)
この廻り出会いが僕の大きな変化の瞬間だった。
雫・秀「?」
紅月「……宜しく、雫、秀」
雫「うん!宜しくね!」
秀「おう!宜しく!」
翌日
僕はいつもの癖でいつもの家に入った。すると、そこに雫と秀が入ってきた。
雫「おっじゃましま~す♪」
秀「じゃましまーす!」
紅月「びっくりした!何で!?」
僕は唐突だったので、質問をした。しかし、雫と秀は当たり前のように言った。そう、昨日の事は半分疑ってしまっていたのだ。
雫・秀「友達だから(だよ)(だ)!」
僕はその言葉を言われたとき、いつも孤独で居たことを思い出し、いつもの場所でも空欄があり、その空欄が埋められたことに対して嬉しかった。
雫「どうして泣いているの?」
秀「だ、大丈夫か!?」
いつの間にか僕は泣いていた。
紅月「何でだろうね、でも、大丈夫だよ。悪いことではなく寧ろ良いことだからさ」
雫・秀「良かった~」
僕は初めて孤独を卒業し、それと同時に僕の人生が初めて始まりを迎え、動き始めたーーー。
雫と秀という素敵な友達によって、ようやく誰かに心を開くことができた紅月。
彼らの物語が遂に動き始めた。
次回は新しい仲間が出来ます!
まだまだ続くよ!