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ターマ神官は今日も祈り続ける

作者: ミズコー

 魔王討伐の旅に出てはや1年。

 俺はついに【ターマ神殿】へ到着した。


 思い返すと、これまで長い旅路だった。


 始まりは王様からの呼び出しだった。

 いきなり王様に呼び出されたと思ったら、

 布の服と棒きれを渡されて魔王を倒してこいと無茶ぶり。


 今思えば、王様には俺が裸に見えていたのだろうか……。

 バカには見えない服なんて買った覚え無いんだけど。

 

 最初は魔物に襲われて死にそうになったけど、魔法を覚えて魔物を狩って、

軍資金を貯めて装備を調えながらどうにか進んできた。


 だが、辛かった旅もここまでだ。

 今まで歩んできた旅路で培った経験を糧に、今日俺は『勇者』に転職する。

 便宜上名乗ってきた肩書きではなく、職業としての勇者に……。


 職業としての勇者につけば、強力な魔法を覚えることが出来るし、

今までの職業『戦士』では装備できなかった強力な武器も装備出来る。

 各国の王様と謁見するのも順番をすっ飛ばして割り込めるし、援助金もガッポガッポ。


 そんな夢の冒険ライフを想像しながら、俺は神殿の内部を見回した。

 勇者に転職するには、誰に頼めば良いのだろう。


 しばらく周囲を散策していると、『転職希望者はこちら』という立て札を見つけた。

 立て札に書かれた矢印の先には法衣を纏った神官が立っている。

 どうやら彼に話しかけて転職するらしい。


「あの……すみません。勇者に転職したいのですが」

「おお ああああ(俺の名前) よ。 ゆうしゃに なりたいと もうすのじゃな」

「→はい

  いいえ」

「では ああああ よ。 志望動機を簡潔にお願いします」


「へ?」


 途中から神官の口調と態度が急変した。

 てっきり、この後は勇者の気持ちになって祈るものだと思ってたんだけど。


「えっと、以前の職場ではとんでもない嫌がらせを受けていたんです。

 檜の棒と布の服一枚だけ渡されて魔王を倒してこいって……。

 しかも、道中の旅費や薬草代、それに装備の買い換えも全部自費で……。

 勇者になれば国からの支援も受けられるし、強力な魔法も使えるので、是非なりたいと」


「なるほど。つまり、志望動機は待遇の改善とキャリアアップのためということですね」

「き、キャリアアップ……? あ、はい。そうです」


 聞いたことの無い単語にたじろいでしまうが、とりあえず肯定しておいた。


「では、勇者になった後3年後の自分を想像できますか?」


 3年後……。いや、3年もあれば普通に魔王城に到着して魔王倒してるだろう。

 魔王を倒してしまえば勇者なんて職業は意味を成さないわけで、職業自体が存在しないと思う。


「たぶん3年後は勇者やってないと思うんですけど……」

「なんと ああああ よ 3ねんもたたずに たいしょくすると もうすか」


 神官の口調と態度が元に戻った。

 ひょっとして、俺はこの人におちょくられてるのか?


「さっきから何なんですか!? 早く転職させてください。

 転職するためにターマ神に祈りを捧げることが貴方の仕事じゃないんですか?」

「ああああ よ。そう焦るものではない。これも転職に必要な儀式なのだ

 それに、私の仕事は祈ることだが、祈る相手はターマ様ではない」



 その後も、神官から色々なことを聞かれた。

 家族構成やら、持病の有無、深夜の冒険は可能か等々。

 そしてついに俺が待ち望んだ瞬間がやってくる。


「では、ああああ よ。勇者の気持ちになって祈るのだ」


 目を閉じて、勇者として活躍する自分の姿を想像しながら祈る。

 すると、脳内に直接声が流れ込んできた。


『ああああ 様


 おせわになっております。職業を司る神のターマです。


 本日はお忙しい中、面接にお越しいただき誠にありがとうございました。


 慎重なる選考を重ねました結果、

 今回はご期待に添えないこととなりました。


 何卒、ご了承頂きたく、よろしくお願い申し上げます。


 また、詳細の選考理由につきましては開示を控えさせて

 いただいておりますので、併せてご了承ください』


「へ? え? なにこれ?」


 目を開けてキョロキョロと周囲を見回す。

 神官が軽くため息をつくと、両手を胸の前で組んで祈りのポーズを取ると、

 淡々とした口調で語り始めた。


「今回はご期待に添えない結果となりましたが、

 今後のああああ様の転職活動とご活躍を心より

 お 祈 り し て お り ま す」

神官「では ミズコーよ。こんな糞SSを投稿した動機を簡潔にお願いします」


 思いついてムシャクシャして書いた。

 投稿サイトならどこでもよかった。

 反省はしていないし、後悔もしていない。



 きっと探せば似た内容の作品が一杯ありそうだったけど、

せっかく思いついた内容をボツにするのも勿体なかったので書いてみました。

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