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琥珀
「今はまだ解らないけどそのうちここに来た意味、みたいなものが出で来てくると思うよ?偶然の必然ってよく言うじゃない」
「……居るべくして…居る?」
「琥珀も良く言うでしょ?無駄なことは何もないって」
「…琥珀が…」
「私だってこっちに帰らなければ、音響や照明の仕事をしようとは思わなかっただろうし」
「…そうか……」
「まあ、あまり難しいこと考えずに過ごせばいいじゃない」
「……難しい…こと…」
「ゆね。パパやママとそんな話をするの?」
「しない……めんどくさい…」
色とりどりの花に囲まれた中で、忙しく立ち働くママと温泉好きなパパの顔が浮かぶ。
でも、それ以外の湧泉音パパは…
芸術家らしい気位の高さを持ってて、合理的に物事を考えるイメージがあるから……
偶然だの必然だの、デジャビュだのと言った話にはならないのかもしれない。
「琥珀なら、ゆねの話に上手く答えられるかもしれないのにね」
「…うん……来るって…」
「来るって、何処に?まさか、ここに???」
「……夕べ…メール…入ってた」
「何で、それを早く言わないのよ!!」
「…ごめん…」