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天に花の如く舞い  作者: ひよこ
二段ベッドの宇宙
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強くありたい

魂はいつも一緒だと琥珀がそう言ったのさえ忘れた頃、悪夢が再び訪れた。

そのせいで大学も休みがちになり、心配した母親に追い出される形でここに来たのだ。

ここに来た意味は……魂の欠片を集めるため?

 

それは琥珀も同じかもしれない。

それでは、シッカは何故あの絵を描きだしたのだろう。

琥珀に言った足りない何かを見つけたのだろうか?それとも見つける為に再び筆を執ったのだろうか?

まだ聞いてはいけないような雰囲気が、シッカの横顔に浮かんでいる。

その背景に似た空の写真を二段ベッドの天井に貼り足してみよう。

横たわりながら湧泉音はじっと天井を見つめた。相変わらず妖怪大宴会が行われてはいたが、その騒がしささえ今の湧泉音には心地良く思われる。

…独りじゃないよ……寂しくないよ……

二段ベッドの空から天使が舞い降りてくる。

湧泉音は白い翼が自分を包み込むような気がしていた。

仰向けになり考え込んでいるようにも、眠っているようにも見える湧泉音を琥珀はそっと仰ぎ見た。

もよことまろざらしと言う人ならぬ者達との宴も、ここに居る限り自然に思える。最近では、彼らの友達だかなんだか知らないけれど酒の肴目当てに、ベランダには近所中の猫達が集まっている。

サファリパークか?ここは……

そう言いながらも琥珀自身は楽しくて仕方がなかった。

石村プロデューサーに対する怒りも、デビューに対する悩みもどうでもよく思えた。ただ一つ夢のことを覗けば…

湧泉音が創作活動を休んでいるように、自身も新しい曲のイメージすらない。

シッカだけは一歩前に進もうとするかのように、毎日、毎晩カンバスに向かい続けている。

1人孤独に、何かと戦うように。

今までの泣き虫で甘えん坊の彼女とは少し違う。いや、湧泉音もそうかもしれない。

「止まってるのは俺様か…」

ノンアルコールのビールがやけに苦い。

  

小さなころからピアノを奏でるのが好きだった。

即興で作った曲に湧泉音が即興でハミングしてくる。俺達の観客はいつもシッカ、そして窓辺に集まって来る鳥たち。

何も恐れず、何も望まず、あれ程自由だった心は今目に見えない色んな枷をつけてもがいている。

薦められるまま音大に在学していれば、まだ呑気に過ごす時間の猶予があったかもしれない。

しかし、両親の望む姿は自分がなりたいそれではないのだ。

ではどうしたいのか?と自問しても答えは出ない。

俺がここに来たのは……?

3人でいたあの頃の自分を取り戻す為なのか?

シッカとは離れていても繋がっている自信があった。湧泉音とは繋がっていて当たり前だと思っていた。けれどあの時、湧泉音が側にいないことで自分の中のバランスが崩れたような気がした。

要はあの2人と一緒にいたいのだ。従兄弟離れ出来ていないのは、自分も同じだと少し可笑しくなった。

          

強くありたい。自由を手に入れる為には、誰にも何も言わせないくらいの圧倒的強さが無ければならないと思った。

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