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天に花の如く舞い  作者: ひよこ
二段ベッドの宇宙
35/48

契約の子

眩しい光を感じて茅乃は思わず横を向く。そこには愛らしい娘の寝顔があり思わず笑みがもれた。

しかしその子が伸びをして手のひらを広げた時、再び忌まわしく悲しい記憶が彼女を捉えた。

「茅乃、この子は星を掴むよ。手のひらの痣は幸運の印だ」

夫はそう言って私を慰めてくれる。

でも違う。私のせいだ。この子がお腹にいる時、火事を見てしまった私のせい。

生またばかりの赤ん坊の手のひらを見て動揺する茅乃に、そんなものは迷信ですよ、と助産師は言った。

それともこれは罰なんだろうか?

翔子を救えなかったことを忘れるな、と神様に言われているのだろうか?

大切な幼馴染を助けられなかった自分に、この子を育てる資格があるのだろうか?

生まれたばかりの我が子を抱きしめる喜びより、雪の中で感じたあの見えない影が今にも伸びてきて、赤ん坊を連れ去るのではないか?と言う不安に怯えてしまう。

               

「茅乃、眩しかったかい?すまない。でも、窓の外を見てごらん」

夫に言われるままに目をやると、カナリアの羽色に輝く空には幾つもの天使の梯子が伸びている。

「1日の間に命が続けて誕生するなんて、従兄弟と言うよりまるで3つ子だね。しかも今日はずっとヤコブの梯子が空に架かっているなんて…」

「ヤコブの梯子と言うの?」

「ああ、だからこの子達は契約の子だよ」

「契約の子?」

「見よ。一つの梯子が地に向け立てられている、その頂は天に届き見よ、神の使い達がその梯子を上り下りしている」

「聖書…ね。…ヤコブ…主からこの地を約束された神の子」

「そうだ。茅乃、この子達も神が遣わしたんだよ。何を契約してこの世に誕生したかは解らないけれど、少なくとも君と僕を親に選んでくれたんだ。たくさんの笑顔と幸せをこの子にあげよう」

「そう…ね」

茅乃は改めて目の前にある小さな存在を愛しく思った。

「貴方はまるで天から梯子を使って降りて来たみたいね」

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