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天に花の如く舞い  作者: ひよこ
忘却の河
21/48

神様と同じ

       火之迦具土ノ命

そう言われれば優しくないかも。

ここに祭られているその神様はもともとイザナギとイザナミの子供として生まれた。

だが、火の神を生んだことで母イザナミは火傷を負って死んでしまうのだ。

それを怒ったイザナギは子供である迦具土を殺してしまう。

神様って案外激しいんだね。

お賽銭を入れ静かに両手を合わせながら3人で頭を下げた。

「…迦具土…湧泉音…です」

そう,ここの神様と湧泉音の名字は一緒なのだ。最初はその偶然にビックリして一人で興奮したものだった。

「ベルンシュタイン・フォーンリックも名乗っとけよ。でも神さんが混乱するかもしれねえな、ちょっと笑える」

     

「笑うなんて不謹慎な。神様と同じ名前って、凄いことよ」

「…いや……べつに…」

          

「クールだなお前!もうちょっと他にリアクションないのかよ」

「しっ!静かにして!!」

              

ああこんなに騒がしかったら神様も呆れてしまうよね。

お願いごとなんてて聞いてくれるわけがない。大丈夫かしら?琥珀のデビューに湧泉音の復学。そして私の未来。

「しっかし、神様ってのは人間の流行先取りだなあ?」

「…何…が?…」

立て看板で由来を読み上げながら琥珀が首を振る。

だって、神様とは言え、父親の子殺しだろ?

チチオヤノコゴロシ

何て嫌な響きなんだろう。今まで気が付きもしなかったけれど、確かにそう言うことではないか。

ズキンと胸が痛んで思わず息をのんだ。

得体のしれない恐怖感が湧き上がっては渦巻く。

怖い。何故だかしらないけれど怖いのだ。2人は何も気が付いてはいないけれど。

                    

「確か学校で習ったよなあ。黄泉の国にイザナミを迎えに行ったイザナギが振り返ってしまう話」

                           

「…ギリシャ神話…も…オルフェウス…エウリデーケ…」

                

「吟遊詩人の話か」

                  

「…琥珀……みたい?…」

「オウッ。俺様は魂の吟遊詩人だ。今は亡き恋人の面影を胸に流離うんだよ。ああ、愛しのエウリデーケ」

琥珀ったら。そのおどけた仕草に吹き出しそうになり、さっきまでの恐怖感と不安感は消えて行った。

昔からそうだ。

私も湧泉音もすぐへこむ人間なのだが、琥珀は違う。

逆にそんな微妙な気配を察してか、いつにもまして明るくふる舞い、周りを巻き込んでいく。

自分を憐れんでる時間がもったいない、前を向けよと、言葉ではなく態度で示すのだ。

チャラチャラしたあのポーズの裏には、自分に負けるのが何より嫌いで決して揺らがない芯を持った琥珀がいる。

     

最もそう思われること自体、彼は好きではないのだろうけど一緒に居て救われたことも多いのは事実だ。

                           

それから私達は一気に階段を駆け下りて、鳥居の近くまでやって来た。辺りには夕闇が迫り私達のバイクのシルエットだけが沈黙している。

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