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天に花の如く舞い  作者: ひよこ
忘却の河
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みそっかす

「……おもしろい…人…」

「おもしろいの一言じゃ、くくれないよサッチン先輩は 」

                         

「すっげえ、パワフルだな。ダンナ、存在感薄いじゃん」

「我が社のナンバー2を捕まえて失礼な。草加さんはああ見えて現場ではすっごい人なんだから」

「……いい…夫婦…だよ…」

「へえ。珍しいじゃん。ユネがそんな風に言うなんて。こりゃかなりシッカに毒されてるな」

「何?その毒されるってのは?草加さんもサッチン先輩も文句なくいい人に決まってんじゃん」

「わかってるよ。奥さんはともかく草加さんは俺も一緒に現場に入ってるからさ」

「奥さんはともかくってのもムカつく!!」

「…真っ直ぐ…だから…」

「真っ直ぐって何が?」

「……うん…真っ直ぐ…目を見て…怖いくらい…ああこの人…本当に…真っ直ぐ…だって……稀有…」

そう言って湧泉音は黙り込んだ。

必死に言葉を探しているようにも見える。

                                  

サッチン先輩のあの射るような眼差しの中に、湧泉音は一体何を見たんだろう。

稀有……稀有な人と言いたかったんだろうか。

真っ直ぐに生きる、稀有な人。

傷ついても、苦しんでも、自分を信じて進む人。舞台美術に取り組んでいる時のサッチン先輩は、正にそんな感じだ。自分や周りに決して妥協を許さない。

それが職人と言うものですよ。天花、君の回りはそういう人ばかりでしょう?

パパは本当に自分の会社とそのスタッフ達に誇りを持っている。

この地方都市においても、東京に引けを取らない集団だと、前の会社の同僚から電話がかかるたびに自慢する。

みそっかすの私としては少々焦ってしまうのだ。皆の足を引っ張らずにこなすだけで精一杯だから。

ああまた落ち込んでしまいそうだ。

ちょっとブルーな気分を引きずったまま、私達は夕暮れ迫る秋葉神社にやって来た。

日暮しが1日の終わりを告げる一番好きな時間帯だ。

        

いつも思うけど、神社って何でこんなに背筋がピンと伸びるんだろう。本来は願い事をしに来る場所なのに。まるで罪の告白をするみたいな。

          

どんなにごまかしても、悪いことは全部見られてる感じの緊張感。今日みたいに自分に自信が無いことを考えさせられる日は特にだ。

まっさらな気持ちで神様に会いに来るって難しい。

「……火伏…の…神…」

「ヒブセ?ああ火を防いで消すってことか?ふうん、じゃあここら辺は神様に守られてるから、火災が少ないってか?」

「ううん。私が生まれる前にこの近所で大きな火事があってママの幼馴染が死んだって聞いたよ」

「…神は……役立たず…」

「バッカ!お前、仮にも神社の境内だろ!神様に聞こえたらどうすんだよ」

「あら、琥珀ったら。神様なんて信じないんじゃなかったの?」

「うっせ!俺は宗教が嫌いなだけなの。だから、有神論者ではある。が、無宗教ってこと」

               

「何か、言ってることカッコイイね」

          

「神は、いていいんじゃないか?そう思った方が人間救われるっつうかさあ」

                  

「…神は……救い?…」

「まあ、神さんてのは優しくはなさそう…だけどな」

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