プロローグ
初投稿だからお手柔らかにとか在り来たりなことは書きません。嘘です、誹謗中傷怖い。
沢山の人に主人公に共感してもらえればと思い、本作品を書き上げました。多かれ少なかれ、共感する点はあると思いますが、共感する点があるかないかは読まないと分からないので、読んでみることをおすすめします。おすすめしますよ。
まぁ、楽しんで頂ければ幸いです。
俺が変わったのはあの日からかも知れない。
誰もいない部室でただ一人、思慮に更ける。
今思えば、にわかには現実と信じ難いことばかりだった。目を閉じれば、あいつらが目の前で騒いでいる様子が瞼の裏に浮かんでくる。
別にもう会えないワケじゃないけど、別にそんな遠くにいるワケじゃない。俺が少しだけでも勇気を出せるならば、すぐに会える距離に居るのに。
俺は少し軋んでいる椅子から立ち上がり、近くの古びたクローゼットにそっと触れた。何故この部室にあるのかも、いつからそこにあったかも知らないクローゼット。
時々思い出す、あの世界での記憶。
最初は分からないことだらけだったけど、あいつらのお陰で俺はあっちでも生きていけた。
途中、強大過ぎる敵との戦闘で死にかけたりもした。生きるのを諦めかけたりもした。けど、諦められなかった。
あいつらが居てくれたから。
腰にはもう、愛用していた剣はない。世話になった鎧もない。
しかし手首には、約束の証であるブレスレットがついている。これだけが、俺とあいつらを繋いでいる宝物。
「また、会えるよな」
そう呟き、再び椅子に座った。
俺の名前は間瀬明日人。とある物語を紡いだ人物でもあり、語り部でもある人物。俺はきっと、この夢みたいな物語を、いつまでも、どこまでも忘れることはないだろう。
……。
「本当にそうだったらなー……」
どうも、頭の中が中二病全開で、色々考えてみる高校生の間瀬明日人です。今のは全てフィクションです。オールフィクション。大嘘つきです。
あの日っていつ、まだ入学三ヶ月よ。あいつらって誰よ、友達少ねぇから知らん。
しかもクローゼットとか何ニア国物語だよ。ヘルニアではない。国民全員腰痛めてそう。
ブレスレットは単なるブレスレットです。(定価五百円。カッコイイ)
そして自分はなんて中二なことを考えていたのだと後悔の雨あられ。
ちなみに、この部屋にいる理由は授業サボり中だから。この教室は本館から離れた別舘にあり、今は使われていないのでサボりスポット(自分専用)なのである。決して部室ではない。
まぁ前置きはこの辺でいいだろう。
「もしも」――というものは誰もが思ったことがあるだろう。もしも異能力があったらとか、もしも自分が伝説の勇者とか、などなど。
別に非日常でなくとも、沢山の美少女とのハーレムものでも、一人の女の子と純粋にラブラブするのでも一向に構わない。いや、一向に構わないとか言える立場ではない。
以上のことが全部叶ったら『滅茶苦茶可愛い彼女持ちで伝説の勇者で最強の異能力を持っている』というトンデモ人間になってしまう。なんというか小学生が思いつくような『うちゅーさいきょうのぼくだけのろぼっと』的なものを感じる。
とにかく、今俺はそういうのに憧れてしまう年頃なのだ。そういう人の中のたった一人なのだ、俺は。
そういうのがやりたければ演劇部に入ればいいという話なのだが、主役を張れるほどの演技力も声量も特徴も俺にはない。
それに、演劇では駄目なのだ。
本物の日常であるからこそ、いいのではないのだろうか。演技の才能云々がないことに言い訳をしているワケではない。日常であるからこそのリアリティなど、日常でしか出せないものというのもあるはずだ。それをやるのが演劇ですけどね。
うーむ……実に哲学的だ。
そもそもこの学校演劇部ないけどな。何も知らんのに演劇について語ってすんません、はい。
取り敢えず、演劇をしてないにしろ一つだけ言いたいことがある。
小学生の頃、担任の先生はこう熱く語っていた。
『いいかお前ら。一人一人が主人公だ!お前ら一人一人の名前がドラマの題名だ!!』
まるで金八先生のような仕草で語っていた。髪の毛がないのにエアで髪を振り乱していた。髪の毛ないから。
そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。いや、先生には重要なことだろうけども。
当時の俺には、その言葉の意味が全く理解出来なかった。ただ呆然と、陽光を浴びて煌めくハゲ頭を眺めていた。
今の俺は、その言葉を思い出す度にため息がでてしまう。
あの言葉は、虚偽妄言でしかないからだ。一人一人が主人公というのは明らかに矛盾している。文面的にも意味合い的にも。
別に俺は特別な人間じゃない。特別な何かを持ち合わせているワケでもない。普通の人間だ。
仮に俺がその主人公とやらで、俺の名前がドラマの題名なら、そのドラマの視聴率はほぼ0だと思う。
それに、非日常がやってきたところで、自分がその非日常の中心には立てない。バトルものだったらすぐ死ぬポジション。学生D辺り。台詞、もとい遺言は「こんなはずじゃなかった!!」とかかな。お前は誰だよ。
以上のことを踏まえて一体何が言いたいのかというと、詰まらないのだ。自分という人間が。特別になりたい。特別な何かを持つ人間になりたい。 決して「俺は人間をやめるぞー!!」とかではない。極論それでも構わないが。
だがその願いですら、特別ではないだろう。
特別になりたいという願いが特別ではない……。
うーむ……実に哲学的だ。
一人哲学を繰り広げていると、最後の授業の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響く。
「先生に怒られるの嫌だなぁ……」
欠伸を一つしながら、教室のある本館へと思い足取りで戻っていく。
俺は今日もいつもと変わらず、普通に普通で普通な普通の日常を送っている。
普通、か。
うーむ……実に哲学的、には程遠いかな。
後書きを書くなんてプロの作家さんみたいですね。なんだか楽しいです。
この後書きを読んでいる方は、本編を読んでくれた方々だと思います。本当にありがとうございました。
題名アホみたいに長いですよね。最近は題名が長い小説が流行ってますが、別に乗っかったわけではありません。
もしも、最初の投稿作品を読んで興味を持って頂ければ、続きを楽しみにしていて欲しいです。更新は不定期ですが。
ちなみに著者は演劇部員です。