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孤独が好きな少年の見ている世界  作者: 竜神早音
孤独が好きな少年の見ている世界 -1-
2/18

1-2

 学校初日から嫌な気分になった、少年 蓮田雷。そんな少年を嫌な気分にさせた少女 愛宕楓夏は、そんなことは知らぬと言わんばかりに話しかけてきた。

 しかし、その時彼女も困る出来事が起こっていた。

 まだまだ蝉がうるさい9月1日。


「暑い熱い…こんな時に走らなきゃよかった…」


 腰まである黄色の髪をした少女的な少年が、公園のベンチで項垂れていた。

 髪が地面に触れ、色白の肌に玉の汗が浮かんでいる。

 学校から走って数十分。学校と家の間にある公園で休んでいた。

 暑さを恨みつつ地面を見つめていると、誰かがこちらに近づいてくる。

 地面を見つめ続けている視界に運動靴が入った。

「ん…?」

 足の向きを見る限りこちらを見ているのがわかる。

 面倒くさそうに顔を上げると、声をかけられた。と言っても、相手の顔が見えない。頑張っても相手の膝くらいまでしか見えない。長い髪がカーテンのように視界を遮っている。ここが限界なのだ。


「隣いいですか?」


 あー、この人も暑さで休憩しに来たのか。

 頑張って顔を上げる。頑張ったところで見えるのは話しかけてきた人の膝くらいまで。

 横に退いてスペースを作る。


「ど、どうぞ」

「ありがとうございます」


 顔を上げる力を抜いて、また項垂れる。


「だ、大丈夫ですか?」

「だいじょうぶですよ」

「言葉に元気がないように感じるのですが」

「だいじょぶですからー」

「お茶飲みますか?」

「いやいや、そろそろ帰るのでいいですよ」


 右手をヒラヒラと振って断ることを示す。しかし、なかなか体に力が入らない。


「家はどこですか?付き添いますよ?」


 疑問が浮かび上がる。

 あれ、おかしいな…ここの人だったら俺がどこに住んでるのかわかるはずなのに。長髪男子の時点で俺が『蓮田雷』ってわかるくらいにはインパクトあると思うんだけど。

 不思議に思い、ちゃんと顔を上げて相手の顔を見る。


「付き添いますよ、雷ちゃん?」


 転校生がいた。転校生もまだ家に帰ってない。その証拠に鞄がベンチの端に置いてあり、制服も着たままだった。しかし対照的なのは、雷の服装。灰色の生地に緑色で模様が描かれた七部袖のTシャツに緑色の七部丈のズボン。完全に私服だった。

 この町では学校側が制服着用を強要していない。卒業式と学校外での授業は制服を必ず着用という決まりがあるが。

 今日来たばかりなのだから、校則を知らないのかもしれない。それに転校生だから、特別な行事という意味も含めて制服を着ていたのかもしれない。

 ただ一つ気になることがあるとすれば、この転校生が話しかけてきたことだ。

 敵意のある目で見つめる。相手は怯むことなくこちらを見続けている。


「朝のことわすれたの?…事務的な会話以外話しかけるなって言ったよね」

「極めて事務的だと思うけど」


 転校生との会話を思い出す。項垂れ、地面を見た。

 ため息がでる。自分の間抜けっぷりに。暑さで頭がおかしくなったかもしれない。

 呻きながら、空を仰ぐ。転校生の顔が見える。すごく自信たっぷりな顔だ。

 長い前髪が汗で顔に張り付く。


「確かに」

「でしょう?」


 勝ち誇った顔でこっちを見てきた。その顔を見ているとすぐに目を逸らした。腹が立つ。ただでさえ、前髪が汗で張り付いて嫌なのに。

 でも、今は事務的じゃない。だから話しかけられても相手にしなくていい。


「それにしても、つらそうだけど大丈夫?」

「……」


 もう話すことはない。

 無言で立ち上がる。

 

「…っと」


 急に立ったからなのか、眩暈がした。


「ちょっ、大丈夫?」


 転校生が立とうとしているのが見えた。

 早く離れよう。

 ここに居たくない。

 嫌な気分になる。


「さようなら…脱水症状には気をつけて」

「当然気を付けるけど、雷ちゃんこそ大丈夫?」


 返事はしない。

 風邪だろうと何だろうと勝手に治る。それに、ただの立ち眩みだ。

 ヨタヨタと公園をでる。見られている視線を感じた。

 転校生がこっちを見ていたのだろう。


「雷ちゃん……」


 誰もいない公園に一人の少女の声が、とても小さな声が耳に届いた。

 正直、顔を見て転校生とわかった瞬間からだ。さっさと立ち去ろうと思った。

 理由なんてわからない。最後に呼んだ声は泣くのを堪えてたように感じたからかもしれない。

 そんな自分を軽く鼻で笑う。考え方を切り替えた。


「あー…考えすぎだな。そもそも俺に会って泣くって考え方がダメだわ。今日の俺は変だな」


 雷は真夏の空を見上げながら歩く。思ってることが口にでそうになる。

 喉まできた言葉を頑張って飲み込む。でも、思考は止まらない。


 でも、俺には君と会ったことがないんだ。俺からすれば、君は今日始めてあった人なんだ。そんな人に知人のように話しかけられても不気味なんだよ。


 雷はすでに気が付いていた。学校で話しかけられた時に泣くのを堪えていることを。

 その感情が、『うれしい』のか『悲しい』のか、はたまた『恐怖』によるものなのか雷は判断できなかった。


 君の知る“蓮田雷”が俺だとするなら、俺はそこまで優しくない。一人になることが出来るのなら『いじめ』はとても利用しやすかっただけなんだから。


 元々あった噂を雷自身がさらに悪い噂に変えて、広めたことを思い出し、呆れた表情をした。


 近寄るな、話し掛けるな程度に抑えようと思ったんだけど、想像以上だったわ。


 噂は人に伝わり嘘をまとい、また噂として人に伝わる。あとは行動に移してもらうだけで簡単に一人になれた。しかし、幼少の頃の雷にも誤算はあった。それは、行動。行動があまりにも度を越していたのだ。


「俺には仲良くした奴なんて、誰一人いないんだよ……ん?」

 

 熱い、暑い、夏の空を仰いで呟いた。太陽がギラギラと照らしている。

 ちょうど空に黒い影を見た。なかなか大きい。

 スーパーのビニール袋?

 太陽が眩しく手をかざそうとして気づいた。黒いシルエットはだんだんと近づいていることに。

 自分の真上に何かが落ちてきている。


「え?……ちょっ!?あ、あぶっ!?」


 慌てて後ろに回避する。

 落下してきたシルエットは目の前で鳥の羽のようにふんわりと着地していた。何かの物かと思ったそれは、白いワンピースを着た、黒髪の少女だった。だった。


「…やっと見つけました」

「危ないことを。気づくの遅かったら死んでたんだけど」


 雷はため息をついた。目の前にいる人物を知っているからだ。


「主なら回避できたでしょう?」

「できたけど」


 危ないことには変わりはないだろうに、とは口に出さなかった。面倒だから。

 少女は気づかぬうちに二度寝をした雷を起こしに来ていた天だった。

 この暑さのなか感情のない瞳が雷を捉える。


「それより主」

「どうした?」

「帰りが遅いので迎えに来ました」

「そうか…」

「はい」

「…歩かないの?」


 話すだけで移動する気配がない。ずっとこっちを見ている。表情に変化がなく、真顔で沈黙していた。

 ここはバス停のない道。つまり歩く以外に家に帰る方法がない。

 少し待つと彼女の口が動いた。


「上、渡らないんですか?」

「だから、上は危ないって」

「今は人が少ないですよ」


 右人差し指で空を指しながら言った。

 上。別に空を飛ぶのではない。ただ、電信柱と電信柱を飛び移って移動しよう、ということだ。一般人からすれば、なかなかありえない光景。だからこそ、雷は嫌そうな顔をした。


「そりゃ、道なりに行くより、直進でいける上の方がいいけどさ・・・」

「何か、問題でもありますか?」


 電信柱だけじゃなくても、木だったり屋根だったり。とりあえず、足場として活用するなら、と言う意味も含まれている。ただ問題が。


「天、今はお昼。見上げるだけで見えちゃうよ。人が『少ない』のであって、『いない』ではないんだから」

「気配を消し、一般人が見えない速度で移動すれば何とかなりませんか?実際にそうして移動していました」

「そうしたら、そのビニール袋もたねぇだろ?」

「そうでしょうか?」


 と左手で持っているビニール袋が裂けてないか確認する天。入っている物が落ちていないということは、外のビニール袋は無事ということだが。

 そもそも人間が気のせいに出来る速度ってのは結構速い。もしくは、小さいか。その速度もしくは小さい袋はここにはない。そもそも、見る人が考え事でいっぱいなら見失うか。

 温い考え方をしていると、「あ」という声が聞こえた。


「…裂けてますね」

「はぁ」


 ため息混じりに天を見ると、お菓子の袋を取り出していた。その袋が渡される。

 天の口が開く。雷の目は渡された袋に書かれている文字を見つめていた。

 真ん中あたりで縦に裂けていた袋をこちらに見せてくる。


「お菓子の袋ですね」

「俺の頼んでたやつ」


 程よい甘さ、程よい食べやすさの小さい豆粒くらいの大きさのチョコが袋からこぼれ落ちている。


「…あ、あの主」

「なに?」


 チョコがこぼれ落ちていく袋を手にため息をつく。まだ、残っているチョコをつまみ、食べ始める。


「お茶、どうぞ。今日忘れてましたよね?」


 ビニール袋から水滴が付いてるペットボトルを取り出していた。

 差し出されたのは冷たいお茶だった。


「ありがとう」


 冷たいお茶を飲む。

 ま、足りない分は明日買えばいいか。


「いえいえ、どういたしまして」

「……それじゃ、歩くか」

「え、歩くのですか?」


 家に向かって道を歩こうとすると、天の顔がとても嫌そうな顔をしていた。

 手招きで催促をすると、少し悩んだ末に渋々首を縦に振った。

 雷に頼まれたお菓子の罪悪感からなのか、承諾したようだ。上を渡るな、とは言わないが一般人に見られるとなかなかややこしいことになる。

 一般人……そうだ。

 

「なぁ、天」

「はい?」

「愛宕楓香って子知ってる?」

「……いえ、知りませんが」

「そっか…それじゃ、誰と勘違いしてるんだか」

「主のような人はそうそういませんけど。そうですね、昔遊んだという方は女の子の場合があるのではないかと。そういう設定の物語もあるわけですし」

「天、それは俺は昔から女の子のように見えてた、ということでいいのかな?」

「……そんなわけないですよ」

「今の間は何」


 確かに、昔はそう見えてたけどさ。それが理由で虐められていたわけだし。その状況をさらに加速させたの俺だけど。

 天が持ってきてくれたお茶を飲みつつ、今朝のことを聞く。


「鈴、やっぱり怒ってた?」

「いえ、怒る間もなく急いで学校に行きました」

「ってことは帰ったら文句言われるかもな」

「そうだと思われます。それと主…」

「大丈夫だろ…練習に付き合うだけなら」

「主、前にいらっしゃいます」


 誰が、と言わない。いつの間にか腹に小さい握り拳が入っていたからだ。天を見ていた顔が引きつり、自然と正面を向く。そして、衝撃があった部分に視線を送ると握り拳があり、軽く捻れば折れそうな腕。そして、見覚えのある顔に目が動く。


「おかえり、雷にい」


 やさしく微笑んでいる少女と目が合った。

 有名な服の会社のロゴが入った白の半袖のTシャツに、膝上くらいまでのピンク色のスカートを着ていた。そして、雷を幼くし、活発にしたような小さな女の子がいた。ただし、髪の色だけは違って薄い黄色だった。


「うぐっ」


 遅れてきた衝撃に咳き込む。

 雷の妹、鈴。彼女の拳は見事に鳩尾に突き刺さっていた。

 ゆっくりと拳が離れてくる。あまりの痛さに膝をつく。

 後ろに細い腕が回され、襟を掴まれる。一気に力を入れられ、ひっくり返される。

 正面に天がいた。

 引き摺られる体勢にさせられた。


「さぁー、雷にい。今朝のストレス分、やろうか?」


 低い、低い声が耳元で囁かれた。

 暑さによる汗ではない嫌な汗が噴き出す。


「や、やらな……ぐふっ」


 襟を思いっきり引っ張りあげられ、首が絞まる。

 最後まで言わしてくれない。


「やるよ?やるったらやるの」

「て、天。たすけ」

「天、急いで料理の準備頼んでもいい?」

「え?えっと、構いませんが」

「ほら、上、走るための口実できたよ」

「あ、そうですね。急がないとダメですものね」

「た、助け」

「さぁ、雷にい。一緒に楽しいことしよっか。とりあえず、私の部屋ね」


 首がしまる。雷の顔が段々青ざめていく。口が震え始めた。

 首がしまって呼吸が!

 鈴の手を叩き、死にかけてることを伝える。


「あ、ごめん」


 そう言うと、首の締め付けが弛くなった。


「あ、あの…鈴?今からやること以外なら何でもするから、許して?」

「だーめ」

「…あの鈴様」

「天、どうかしたの?」

「現在…お昼過ぎています。主は明日、お休みです」

「そうね。で?」

「明日の朝から夜まで、と言うのはダメでしょうか?」


 明日、俺は苦労するのは確定か。


「んー、別にそれでも良いんだけど…今すぐやりたいんだよねぇ。それに、時間があるなら、明日もする予定よ?」


 ビクッと体が反応した。雷にとって恐ろしい光景が頭に浮かぶ。

 さっきから、雷が何を恐ろしく思っているのか。

 それは、雷の見た目が一番のヒントである。


「ね、雷にい?かわいい服着たいよね?」


 同意を求められても、俺は女装を好き好んでやっているわけじゃないんだぞ。っていうか、今日の半分と明日の1日って、あれか。着せ替え人形と練習か。練習は良いんだけどなぁ。ポーズは指定するわ、写真撮りまくって、周りに配るし、嫌な思い出しかない。ポーズのせいで体、痛めたし。


 昔、鈴に強制的に女装させられたときを思い出す。


 あのときの鈴は目が怖かった。あれは、絶対に逆らったら殺される。もう、諦めようか。天、助けてくれなさそうだし。


 半ば諦めに入った雷。


「私が鬱憤晴らしに練習に付き合いますよ」


 んー、ん?……天、助けてくれるの!?

 諦めていた雷の表情が明るくなる。もちろん、妹の鈴の表情も一瞬で変わった。


「え、本当!?」

「え、ええ。本当です」

「うーん。まぁ、天が相手してくれるなら…まぁいいかな。それに今朝は雷にいの登校を邪魔されないように動いただけみたいだし」


 あ、そういえば。俺、悪くないじゃん。


「じゃ、じゃあ」

「雷にい、天に感謝だね。仕方ないから今日は許してあげる」

「え、いや……あ、うん。ありがとう」


 助けてくれてありがとう、天!

 天がこちらを見ながら溜め息をつく。近づいて小声で呟いた。


「主は身内とか関係なく、本当に人に弱いのですね」

「まぁね」


 まだまだ、元気な妹が声をかけてきた。

 羨ましいね、あの元気。


「天、早く帰ろ!私、今すごい戦術思いついたんだからっ!」


 テンションが上がってきたのか急いで電柱に跳びあがろうとする。慌てて目を逸らした。

 鈴、スカートなんだから気をつけて。


「はい、わかりました。楽しみです」


 妹を見守る姉のような優しい表情をする。

 鈴は笑顔で電柱に跳び上がって行った。


「楽しみです…か」


 小さく呟いた。

 楽しみにしているようには感じれなかった。顔だけ笑ってるように見える。

 目に光がない。無理やり表情を作って感情があるように見せているような、そんな感じをいつからか感じていた。

 昔はもっと無理せずに感情が出ていた気がする。

 いつからか天は、感情を出すことが出来なくなってしまっていた。それがいつ頃なのか思い出そうにも思い出せない。


「それでは、主お先に」

「うん、お茶ありがとうね」

「いえ。ではお気をつけて」

「ああ、助けてくれてありがとう」


 感謝の言葉を言ったそばから電柱の上に跳び上がった。なんだかんだと、天も鬱憤晴らしがしたかったのかもしれない。

 その場に残された雷は立ち上がって家を目指して帰ろうと立ち上がった。


「はぁ……俺も電柱使おうかな。ばれなきゃいい話なんだし」


 軽く電柱を見た後、トボトボと歩き始めた。

 結局、守ることにした。


          ★


 雷が公園から慌てて出て行ったすぐのこと。


「雷ちゃん、正直に言うけど。事務的じゃなくても、ちゃんと返してくれるよね……」


 転校生の少女の呟きがあった。


「雷ちゃんは優しすぎるんだよ。ま、変わってないだけ良いってことかな」


 生暖かい風が吹く。ジメジメする暑い夏でも涼しい。

 初めて会ったときのことを思い出す。

 よくわからない田舎に引っ越しをして、見知らぬ土地の幼稚園に預けられて。そこの子供たちがすごく珍しそうに見てくるで鬱陶しく思ってたっけ。


「はぁ~い、今日から新しく通う子が来ますよ~」


 入口の前で立っていると戸の向こうから大人の声と騒ぐ声が聞こえた。タイミングは聞いている。あの大人の人が声をかけてくれるはず。


「はい、じゃぁ、これからみんなと一緒に過ごすことになる、愛宕楓夏ちゃんです。入って~」


 合図が来た。目の前の引き戸を横にずらす。大人が一人とその目の前には簡易的な長い机が規則正しく4つ並んでいた。


 両親が両親だったから、物心が付くときには一通りの挨拶は身についていた。

 周りの子どもがうっとおしい。不思議そうに、ワクワクしてそうな顔をしている。

 でも、その中一人だけ違う雰囲気を出している子を見つけた。雰囲気と言うより、見た感じだ。長い机に一人でポツンと座っている。

 その子は長い黄色の髪の女の子だった。雰囲気は『関わってほしくない』ちと語っている。

 私は、鬱憤晴らしにその雰囲気を壊したい気持ちになった。

 だから、話しかけた。


「ねぇ、あなたの名前は?」


 こっちを軽く見た後、目を逸らした。


 な、ムカつく。なによ、この子。


「ねぇ、名前は?ねぇってばっ!な!ま!え!」


 軽く机を叩く。周りの意識を忘れるためにも。

 さっきから、「うわっ、話しかけてる」とか「げ、バケモノに話しかけてる」とか、うるさい。あなた達より、まだこの子のほうが楽しめるわ。


 長い髪の子と目が合った。あまりにも長くて、左目が隠れてる。


「うるさい、黙れ。話しかけるな」

「え……はぁ?何よ、その言い方!」

「言い方?ああ、悪かった。うるさいので、静かにしてください」

「謝る気ないでしょっ!」


 頬杖をついて、隠れていない片目が違うところを見ていた。

 周りが鬱陶しい中、唯一まともな子だと思っていたのに。


「鬱陶しいって思ったなら話しかけなくてもいいでしょ」


 違うところに視線を向けながら話しかけてきた。

 え、どうして私の考えてることが…。怖い。

 

「…怖いと思ったよね?こんなの気持ち悪いよね」


 言い返せない。考えてること、思ってることが筒抜け。


「なぁーんて、君意外と思っていること顔に出やすいね。それじゃ」


 言い返す暇も与えないで何処かへ行った。

 後ろから先生が話しかけてきた。


「ご、ごめんね、楓夏ちゃん。ちょっと、あの子変わってて」

「いえ、大丈夫です」

「楓夏ちゃん、しっかりした子ね。よしよし」


 頭を撫でられると、やっぱり子供だろうか。嬉しそうに、ニヘヘヘと笑う。


「あの子は蓮田雷。ちょっと怖い子でね、何もしなければ大丈夫だからね」

「う、うん」

「気を取り直して、みんなの自己紹介しよっか!」



 他の子の名前、聞き流してたなぁ。初めて会った時は男の子って知らなかったなぁ。2,3日して言われてから気づいたっけ。


「あー、懐かしい。それにしても、雷ちゃんにちょっかい出しすぎて私が浮かないようにするとか、本当に優しすぎるよね」


 公園の出口、雷が向かったところを眺める。


「さてと、雷ちゃんの家に向かわないと」


 公園から歩いて家に向かおうと公園を出ると、いた。今さっき、慌てて飛び出した人が。落ち込んでるように見える。

 う、項垂れている?あれ、どうしよう。雷ちゃんにバレルとちょっとまずいかも。あれ、立ち上がった。空を見ながら何か言ってる?


「いや、そんなことは置いておいて。まだ、雷ちゃんとは距離があるわ。なら、雷ちゃんに合わせて歩けば近づかないし、大丈夫…だよね」


 はぁ、雷ちゃんの家に行けるかなぁ。

 おはこんばんわ。早音です。すいません、ちょっとゴタゴタ(主にオンラインゲームのアップデートでしたが)してまして修正&加筆が遅れたこと、それにより投稿が遅くなったこと、謝罪します。すいません。

 

 さてさて、かるーっく投稿できなかった間のお話をしてみましょうか。

 えっとまず、定期試験があってですねテスト勉強の方をしてたわけですね。まぁこれは仕方ないとしてください。

 春休み入りました。「わーい」な気分なんですよ。そのとき思ってたんですよ、ゲームの休憩がてらに小説を書いていこうって。これ「俺、このゲームの休憩がてらに小説書くんだ」っていうものですよ。ええ、フラグ回収しました。

 でもね、ゲームだけが原因じゃないんですよ。そう、仕事バイトです。そっちでもさらに時間が奪われるという悪循環。そのおかげで先月の半ばから体調を崩してしまう始末。

 現在も咳き込みながらこれを書いています。

 

 

 さてさて、どうでもいい愚痴をこぼしましたし、書くことないですし今回はこの辺で。読んでいただきありがとうございました。(購入したタブレットPCで書きました)

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