ある日の会話
手紙を開くのと同時に、真っ赤な薔薇の花びらが、ひらりと机の上に落ちた。
「——恋文ですか?」
「そうだと思うのだけど、これじゃダメね。ほら、見て。」
「…….これは酷いですね。"私のとても大切な荷車な人"?、"貴方の骨を求める"は、口づけかな。ミスだらけで非常に読みにくいですね。」
「代筆じゃないことは確かね。——あら、南の聖堂がもう少しで完成するそうよ。今回の誘いはお断りさせていただくけれど、いつか行きたいわ。」
「返事は書いておきます。」
「…そう?では、お願いするわ」
「以前、そこの街に任務で訪れたのですが、宿泊した宿のりんごとレモンのタルトは美味しかったですよ。」
「まあ、ぜひ食べたいわ。今度にでも—-」
姫様は机の上の紙の束をちらりと見て、1番上の一枚を手に取った。
「いえ、今は難しいわね…」
「お疲れでは?少し横になられてはいかがですか。」
姫様は、書類から視線を外し、肘をついて手に顎を乗せる。
「でも、私が休むというと、いつも貴方は部屋から出てってしまうでしょう?添い寝くらいしてほしいものだわ。」
手に持っていた紙を危うく落としそうになって、持ち直す。
「…姫様。」
「ふふ、なあに?」
姫様は揶揄うように笑ったが、その瞳の奥は、どこか遠いところを見ているようで、胸がざわつく。
不意に、壊したくなった。
ブロンドの髪を一房すくい、口づける。
「………」
「そういう顔をするくせに、変なこと言わないでください。」




