決意2
新芽が芽吹いたばかりの季節だった。
夕陽が差し込む部屋に入り、姫様はゆっくりとソファに腰掛けた。
明かりをつけようとした侍女を姫様が制する。
「少し、このままにして」
姫様の様子から何かを察したようで、侍女が部屋から出ていった。
長い1日だった。
大勢の聴衆の前で堂々と全てを背負って立つ姿、意思を灯したその横顔を俺は一生忘れないだろう。
日が落ちると、窓から入ってくる風が少し寒く感じる。
「わたし、上手くできていた?」
ぽつり、と。焦点の合っていない目で、問うた。
男は跪き、答えた。
「ええ。本当にーーー素晴らしかったです」
どれだけ言葉を尽くしても、あの瞬間の湧き上がって溢れた感動を伝えられる気がしなかった。
「姫様、お願いがあります。」
前に進み続ける貴方に、ただそばにいるだけでいいと、これ以上は望むなと言い聞かせてた自分を打ち砕かれた。
諦め切れるわけがなかったのだ。この人を誰よりも思っていると自負していたのに。
そんな自分が、この距離で足りるなどと、愚かだ。
姫様の小さく震える手を両手で覆い被せて握った。
「俺を、あなただけの騎士にしてください。」
姫様は目を大きく見開いて、美しい瞳を揺らした。
今の俺に伝えられる最大限の言葉は、これしか思いつかなかった。
この覚悟が伝わるだろうか。
「それはーーーー」
潤む目を細めて、姫様はほおを緩ませた。




