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決意

「ありがとう。下がっていいわ。」

寝る支度を手伝ってくれた侍女に感謝を伝え、ベットに身体を沈めて目を閉じた。

けれど眠りは訪れない。刻一刻とその時が迫っていた。

頭の中でこれまでのことを何度も振り返り、明日の準備に余念がないか確認する。

朝日が昇る数刻後、その時は訪れるのだ

自分がすべきことをイメージして固めて、何度も反芻する。

その瞬間だけは失敗してはならない。不出来な自分には、随分と分不相応な役回りだ。覚悟なんて、一晩かけても足りない。

大切な瞬間が迫っているのに、寝る気にはなれなれず、バルコニーへでる。

月が明るい夜だった。

ふと視線を感じた気がして下を見やると、花壇のそばに男が立っていた。

夜の海のような静かで深い青の瞳と視線がかち合う。

散歩、、ではないだろう。きっと、自分を心配して、けれど部屋に訪れる勇気もなく、そこに佇んでいたのではないか。

『ずっと、そばにいさせてください』

ささやかすぎる願いだった。

手を重ねて、包み込むように優しく握られて。

あの人が願いを口にしたのはその時の一度だけ。

記憶が鮮明に蘇り、胸がいっぱいになりそうになって、慌てて部屋に戻った。

いけない。今はそんな事で心を奪われている場合ではない。

一歩一歩進むのだ。まずは明日、完璧にしてみせる。

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