久遠の僕と永遠なる君 3話
目が覚めた。知らない天井。僕は一呼吸おくと、昨日あったことを思い出した。そうだ、僕は先生の家に住むことになったんだ。憧れの先生と同じ生活…なんだか嬉しくなってしまう。昨日起きた全部のことが突然で、まだ慣れないけど、ゆっくり慣れていけばいい。時間はまだある、と思った。リビングに行くと、先生が紅茶を淹れていた。茶葉の香ばしい良い香りが僕の鼻を抜けていく。「先生、おはようございます、紅茶を淹れているのですか?」僕は先生への挨拶を済ませ、気になる紅茶のことについて尋ねてみた。「はい、紅茶…好きなんです。貴方も飲みますか?」と先生は僕の分のティーカップを用意し始めた。僕は「飲みます!!飲みたいです!!!」と元気に答えた。僕は先生が淹れる紅茶に胸を躍らせながら席について待った。
まだ出会って1日しか経っていない、謎に包まれた先生。気づけば、僕は魔法だけでなく、先生のことも気になり始めていた。先生ともっとゆっくりお話しできる機会さえあれば…「閃いた!」僕は先生をピクニックに誘ってみることにした。「先生!今日はピクニックに行きませんか?僕、先生ともっと仲良くなりたいんです」。先生は少し間を置いて「構いませんよ、食事は保管してあるものの中から少し持っていきましょう」と言ってくれた。しかも、先生の家にある食べ物までわけて貰えるみたいだ。しかし、僕は食べ物を食べなくたって生きていける身…流石に先生にここまで迷惑はかけられないと思った。僕は申し訳なくなりながらも、断ることにした。「先生、僕は何も食べなくても大丈夫です、なのでその食べ物は先生が食べて下さい!」先生は「貴方もなんですね」と呟いた。僕は咄嗟に「どういうことですか?」と聞いてしまった。すると、先生は自分のことについて話し始めた。「私は不老不死なので、食事をいくら抜いても別に死んだりしません。貴方も食べなくても大丈夫と言っていたので、私と同じなのかと」。そうだったんだ…。先生は不老不死で僕よりもずっと長い時間生きてきたんだ。先生のことを少しだけ知ることができた。そして同じ…先生と同じところがあるのが心底嬉しくなった。でも、僕は不老不死ではない、残念だけどここは違う。「僕は食べなくても死にませんが、外傷を受けると眠ってしまうことがあります」僕は齟齬がない様に訂正をした。先生は「あぁ、そうなんですね」とただそれだけの言葉を発した。僕は先生の冷たい返事に身を竦めた。
僕たちはピクニックのための準備を進め、ついに出立の時を迎えた。が、行く先は何も決めていなかった。知らなかったのだ。まだ来たばかりで、この場所のことも何も知らないのに、ピクニックをしようだなんて…無謀にも程があった。僕があたりをキョロキョロ見渡していると、先生が「何が好きですか?」と聞いてきた。僕は「キラキラしていて綺麗なものが好きです」とわけもわからないまま答えた。「それなら良い場所があります」と先生がその場所へ案内してくれた。僕は先生がどんな場所に連れて行ってくれるか、期待に胸を躍らせながらついていくことにした。