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・転生【騎士王の剣】→最強への鍵

「となると……次は、こっちかな」


 オーラが見えていたのは服だけではない。

 【騎士王の剣】からは、さらに強烈な赤い光が立ちこめていたことを思い出した。


 俺は壁にかけていた【騎士王の剣】を取った。すると魔法のタブレットがまた現れ、そこに転生の候補を表示してくれた。


――――――――――――――――――――

名称:騎士王の剣

特性:

 ・騎士王の加護(不活性)

   絶対に打ち合いで力負けしない

   (あと1回の転生で活性化)

転生候補:

 ・微睡みの銀の細剣

  特性:睡眠付与

 ・オーラハルバート

  特性:オーラエッジ(武器射程アップ)

 ・武道神のバンテージ

  特性:武道神の加護・速攻

     (格闘の才能付与・瞬発力倍加)

 ・スタッフ・オブ・シコミ

  特性:居合いの達人

 ・フレイムシールド

  特性:炎攻撃吸収(火事注意)

――――――――――――――――――――


 これは王家の始祖が握っていた由緒正しき剣だ。この間まで現王の血染めのオラフの相棒でもあった剣だ。

 それを転生させれば、これらの強力な特性を得られるという。


 この中で特に気になるのは【武道神のバンテージ】だ。瞬発力倍加はどんな状況でもムダにはならない。


 そもそもハルバートなんて12歳の少年には持てない。フレイムシールドなんて持って歩いたら、即お縄か、殺してでも奪い取られるだろう。


『私も転生しよう。他でもない、オラフが愛した君のために』


 落ち着きのある男性の声が剣から響いた。


「いいのですか……? 君は王家が滅びるまで、捨てられるどころか、崇拝され続ける存在だと思うのですけど……」


『立国の始祖の剣としてか。その名誉は要らぬ』


「名誉は要らない……? いったいどうしてですか?」


『私は騎士王ドレイクと崇められる男が好きではなかった。とても、嫌っていた』


「自分の持ち主なのに……?」


『騎士王は征服者だ。当時アリラテの前身となる異民族の国を蹂躙、屈服させたのが騎士王だ。私は戦う力を持たない多くの民を斬った』


 そんな黒い歴史があるなんて知らなかった。アリラテの歴史は黒い物ばかりだけど、自分たちの始祖が悪党だなんて知りたくもなかった。


「オラフは好きだ……。やさしく、強く、私が虐げた異民族の民のために、気高く戦う男だ……。私は――いやオラフは、私を使って自分の父親を斬った」


 そう、それがうちの家に祖父がいない理由だった。血塗れのオラフと呼ばれた男は、祖国で反乱を起こした父親を、アザゼリア帝国の兵を引き連れて鎮圧した。


 世間では『自らの処刑を免れるためだった』とされている。


「苦渋の決断だった。オラフは我が子に同じ苦しみを味わわせたくないと、しばしば私に語っていた。……バンテージなら、もう2度と人を斬らずに済む」


「よくわかりました、貴方に新しい人生をご用意いたします。持ち主が犯した過去の罪を忘れて、俺を最強の格闘家にして下さい」


「君の気質は剣とは合わない。これからは君の拳となろう」


 魔法のタブレットを操作して、リィン・サイクルを発動した。

 剣は分解され、インゴッドの形まで戻ると、それは二組の鈍色のバンテージに変わった。


 それを俺は腕に巻いて、拳を握り締めた。ただちに瞬発力倍加の恩恵が全身に広がった。

 突き出された拳は銃弾のように鋭く、ステップは一瞬で倍の距離に俺を運ぶ。


「おやつの時間ですぜ、王子殿下。……お?」


「あ、ちょうどいいところに。ゴルドーさん、俺とちょっと格闘の訓練をしてくれませんか?」


「いいけどよ……なんだぁ、そのピカピカの布切れは……?」


「たぶん、手加減はいらないと思います。本気でどうぞ」


「おいおい、王子様、軍人さんをバカにしちゃぁいけねぇ。……ご要望通り、本気でいくぜ?」


「さあ、どうぞ!」


 ゴルドーさんを格闘に誘った。

 なんだかんだ彼は手加減してくれた。子供の誘いに嬉しそうに笑う姿がとてもやさしかった。


「む、なんだ、こりゃ……!? う、うおぉぉぉーっっ?!」


 けれどその余裕のやさしさが驚きに変わった。


「もっと容赦なくお願いします! ラッシュで力いっぱい殴りかかってきて下さい!」


 本気になったゴルドーさんの猛ラッシュを全て止めた。

 倍加した身のこなしで歴戦の軍人さんを翻弄し、ゴルドーさんが息を上げるまで、絶対に打ち負けることのない打ち合いを交わした。


 どんな攻撃も止められた。つまり、俺は体格の不利を克服したことになる。


「う、うぇぇ……っっ、な、何がどうなってやがるんだ……っ?! よくわかんねーが降参だっ、こりゃ拳じゃ勝てる気がしねぇ……!」


「ありがとうございます、とても参考になりました! この調子で構築していけば、父上を越えられる日がいつかやってくるかも……!」


 武道神のバンテージも嬉しそうだった。血塗れの人生を捨てて、騎士王の剣は俺の拳となってくれた。


 魂を宿った物品に新しい人生を与える能力。それが【リィン・サイクル】。

 これを使って強力な特性の集まった装備をそろえれば、最強の戦士となるのも夢ではない。


――――――――――――――――――――

名称:武道神のバンテージ

特性:

 ・騎士王の加護

   絶対に打ち合いで力負けしない

 ・武道神のバンテージ

  特性:武道神の加護・速攻

     (格闘の才能付与・瞬発力倍加)

――――――――――――――――――――


 もっと、もっとあの赤いオーラを放つ物品をかき集めなくては。

 天使様が下さった最高の力に、僕はオモチャを与えられた子供のように夢中になっていった。


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