イリスの本音
僕は今日、100階層のボスを味見するつもりで入った。
しかし、入った部屋から出られなくなってしまった。
やばい!やばい!やばい!
目の前には七体のドラゴンが。
僕は一体だけ倒すのでやっとだが七体は無理だ。流石のイリスでも七体のドラゴンを倒すのは無理だろう。
どうすればいいか、僕にはわからなかった。
僕が考える間も無く攻撃される。イリスが僕を守ってくれているがそれも時間の問題だろう。
「ミナト!」
「どうしようとか考えるな!」
「もう戦うしかないだろう!」
イリスは僕に怒鳴るが僕は目の前の光景が恐ろしすぎて戦う勇気が出ない。
「おい!」
「戦え!」
「ミナト!」
イリスが僕の名前を叫ぶと同時にイリスのバリアが破れた。
もう無理だ。
僕は勝てないと悟った。
「もう無理だ」
「勝てないよ」
僕が倒れたままそう口にしたが、イリスは立ち上がり僕の前で再びバリアを張る。
「何が勝てないだ」
「戦ってもないくせに」
「お前は本当に口だけだな」
イリスが僕を挑発した口調で言ったが僕には響かなかった。
「そうだよ」
「僕は口だけで何もできなよ」
「だからクラスの皆からも馬鹿にされて海斗も諏訪もそれに巻き込まれて」
「僕は...」
僕はここで死んだほうが楽だと思った。
「お前は弱い!」
「そんなだから皆とやらに馬鹿にされるんだ」
「見返したくないのか!?」
そろそろイリスのバリアが限界を迎える。
「もういいよ」
僕はもう...
「さっさと動け!」
イリスの声が部屋中に広がる。
「お前の事情なんか私にはどうでもいい!」
「お前が元の世界に帰りたくないのは分かった」
「だが私は違うこの世界を冒険したいし世界征服だってしたい」
「お前はもう誰のところにも帰れなくてもいいが私は会いたい人がいるんだ!」
イリスのバリアが砕ける。
僕はとっさに砕けたバリアと共に飛んでいったイリスを抱えバリアを張る。
「僕にだって帰り場所はあるし会いたい人だっている」
「勝手に決めつけんな」
「そうか」
イリスが弱々しい声で僕に返事をするため僕は彼女に「ハイ・ヒール」をかけて傷を直す。
「それでどうするんだミナト」
イリスが僕に問う。
「やるだけやる」
「それでダメならそこまでだ」
僕は覚悟を決めた。
「そうか」
「ちなみにさっきのバリアで私の魔力はもう底が見えるほどしかないからドラゴンの相手は2体が限界だ」
魔力?
僕は聞き覚えのない言葉を聞いたが、それはあとで考えることにした。
「この戦いはおまえが剣技と魔法を同時に使えるようにならないと負ける」
「いいか、私とお前の命はお前の成長にかかってる」
「くれぐれも私を殺すなよ」
イリスはニヤリと笑ってドラゴン2体の所へ走っていった。
僕も覚悟を決めたからにはやるしかない!
「やるだけやる」
「死んだらそこまで」
「だが、ただでは死なないぞ」
こうして本当の100階層のボス討伐が始まった。