この世界に来た
第10話 この世界に来た
イグニス『そうやって…気付きを与える。』
イグニス『今の私が、貴方様に出来ることはこれだけです。』
イグニス『ローサルさんともいずれ…お会いになられる時が来るでしょう…』
神様『…』
イグニス『少しずつ思い出してください。』
イグニス『それでは…私はこれで…』
瑠華『あの人は、ファルスさんの知り合いですか?なんか良い人でしたのでしたね…』
神様『まあ…そんなところだ。多分…』
瑠華『良かったですね!名前思い出して…』
神様『そうだな…』
瑠華『では…帰りましょうか…』
ファルス『ああ…そうする…』
ファルス『瑠華…やけに今日は機嫌が良いな…』
瑠華『今日から新しいドラマが始まるので…』
ファルス『ああ…それでか…』
ファルス『漫画が原作だったよな?タイトルは確か「君と結ばれるのは」だったな…』
瑠華『そうなんです!念願の実写ドラマ化!あの人気俳優さんも出ているので楽しみなんです。』
テルミス『あれ~!もう帰るんですか?』
テルミス『あの人に、会ってみたかったのに~!』
オルメス『私は…スイーツと言うものを食べられましたので…満足です。』
ラークス『オルメス…お金というのは?』
ラークス『それとも…またあの力を使ったの?』
オルメス『はい…』
オルメス『美味しかったですわ…』
オルメス『この力のおかげで…また、いつでもスイーツが食べられます。』
ラークス『いや…感想じゃ無くて…』
イグニス『あの方に、また進展がありました。』
イグニス『私達が見届けるのです。』
オルメス『面倒ですね…』
ラークス『天使の君が言う…』
テルミス『見届けるぞー!おー!』
ーーー
ペガサス『また姉貴…食べ過ぎだ…』
ユニコーン『だって…この世界の人参美味しいんだもん!』
ペガサス『それはそうだけど…』
ユニコーン「止まらない!?」
ペガサス(何やら…ふざけた奴らが、帰ったな…)
ーーー
ひたすらにこの世界が…窮屈だった。
俺だけが…特別な世界…
他のどの白馬とも違う…容姿で産まれたっけ…
それと同時に…ある特別な力を持って産まれた。
そんな…自分だけの世界が…今では建物で溢れかえる…
何処までも見渡せた自分の世界が…阻まれる…
姉貴と共に…何者かによって呼び出され…この世界にやって来た時から…俺はある目標を追い求めた。
それは…欲求であり野心とも言える…全ては…この世界でも一番となる為に…
ーーー
ペガサス『よく慣れたものだよ…姉貴も…』
ユニコーン『うん?何のこと?』
ペガサス『別に…何も無いよ…』
ペガサス(さて…俺が、この世界でも一番であり続ける為には…2人の厄介な奴が居るな…)
ペガサス(俺は、昔から耳が良いから…聴こえたが…1人は、赤髪の角が生えた女…ドラゴンと言ったか…)
ペガサス「アイツは1番やばい…」
ペガサス(こんな奴が居て良いのか?と思う程…存在自体が何かの間違いだな…)
ペガサス(ただ…肉のことしか頭に無い…バカだと最初は思って居たが…)
ドラゴン「誰!?私の悪口を言う奴は!?」
ドラゴン「丸焼きにするわよ…」
ブボゥ!!
クラーケン「落ち着いて…ドラゴンちゃん…」
ドラゴン「それもそうね…この件も…いい加減、読者も飽きてきたでしょうし…」
ドラゴン「此処に、記さなくても…私は何処かで必ず聴こえているわ…」
ペガサス(もう1人…白髪のクラーケンと言う奴は、本性こそ見えないが…俺の力と相性が悪い…)
ペガサス(俺の見立てからして…粘り強いな間違いなく…)
ペガサス(さらに髪が、触手に変わった所を見るに…他に何かを隠しているに違いない…)
ペガサス(後は…ただのマヌケか…あいつは自分の能力を使いこなせず…逆に不便に暮らすマヌケだからな…)
ペガサス(デカい音を立てながら…目立った登場にしては…耐久のみが取り柄って所だろう…)
ユニコーン『野菜クレープも…人参ジュースも…美味しい…幸せ…』
ペガサス『食い過ぎだよ姉貴…』
「その頃、甘咲家では…」
ーーー
「ごめん…びっくりした?」
「いえ…大丈夫です。先輩…」
瑠華『ゼッタイ!瑠亜くんに恋してるよ…此処から始まったんだよね…物語が…』
神様『なるほどな…これが恋と言うやつか…』
神様『人間と言う生き物は、短命であり…生命を繋ぎながら次に託していくか…』
瑠華『次回が待ち遠しい!カッコよかった!ヒロインも最高!』
瑠華『私は、寝ますので…自分の部屋に行ってください…』
神様「急に態度が変わった!?」
瑠華『それと…自分の部屋…片付けて下さいね…整理整頓ですよ…』
神様『分かった。やっておく…』
瑠華『あと…歯磨きをしてから寝てください。』
神様『分かってる…』
シャカシャカ!
神様(ローサル…無くした記憶…)
神様(そして…この謎のテロップくん…)
神様(上の世界に戻る為には…まだまだ準備不足だ。記憶を無くしているということは…俺は、以前に何かをしようとしていた?)
神様(それも考えられるな…)
神様(この世界に落ちてくる時に聴こえた。あの声…あれは気のせいではない…)
神様(「その姿の限界を見せてみなさい」か…これが果たしてどういう意味を持つのか…)
神様(この謎のテロップ…いや…こう命名しよう…)
神様(黒歴史診断と…)
神様(愛称はテロップくんだな…)
その怪物…
天まで届く巨体を持ち…
小さき者達を焼き尽くし蹂躙する…
それが…
ドラゴンである…
ドラゴン『はぁ…ねむ…』
ドラゴン『授業…まだ終わらないの…』
「我々は!今宵!数多の仲間を葬ってきた!竜を滅する!」
「王国は、ひと吹きで焼き尽くされ…ある国は、ひと踏みで潰されたと聴く!」
「もう…我々に残された道は無い!愛する家族の為!」
「これから世界を知っていく…子供たちの為にも!私達が、世界を救おうではないか!」
ウォォォォォ!!
ウォォォォォォォォ!!
ペチャ
「あ…」
ドラゴン(あれは、散歩してたら…国を潰していただけだし…大体…小ちゃい国が悪いのよ…)
ヘックシュン!
「あ」
ブォバァァァン!!
ドラゴン(あれだって…空を飛んでた時にくしゃみしたら…たまたま…国があっただけだし…)
ドラゴン(人間なんて…ただうるさいだけよ…あんな生き物なんて、ひと吹きで終わりだし…)
ーーー
「竜よ…お前は、何故生まれ…何故混乱を招くのか…」
「私は、お前を倒す。」
「その時が来た時、その証として…此処に…」
「英雄の旗を立てる…」
ドラゴン(群がることしか…できないようね…)
ドラゴン(さようなら…)
「隊長!あの竜!口を開けています!』
「あの攻撃が来る…」
「終わりだ…」
「終わってなど…いない…」
「隊長?」
「私は、運命を受けし者…」
「その使命は、竜を滅し…竜殺しの栄誉を背負うことだ。」
「これがある限り…私は、前に進める。」
「いつだって…私の眼には、強者が映っていた。」
ドラゴン「こいつだ…」
ドラゴン「そう…こいつだ。」
その者と相対した時…
今までの記憶にない…身体の震えを感じた。
そうか…これが、英雄になる者の存在感…覚悟とは、この為にある言葉なのだろう…
名も知らない…強者を、前にして…
私は、生まれて初めて武者震いした。
ーーー
でも…その者との戦いは、一瞬だった。
「ゴホッゴホッ!」
「隊長!?その身体は!?」
「そうか…私の身体は、そう永く無いのだな…」
「竜を前にして…このような姿を、見せてしまうとは…無念…」
情けをかけるつもりは…最初から無かった。
ただ…真っ向から立ち向かう…
人間を見続けている間に、私の心は変わってしまったのかも知れない。
人間たちを、自ら滅ぼすことは一度もして来なかった。
いつも見逃してばかり…
戦えば、もちろん私が勝つ…
決して苦戦しない…何も不覚を取らない…
私が何もかも正しい…いつまでも中心で居たい…
だから…いつも1人ぼっちなんだ…
「ど…ド…さん…」
お肉だけが…私の生き甲斐…
「起き…ください…」
そう…何故なら…
「ドラゴンさん!」
「ハッ!?」
ドラゴン『私のお腹は、欲望のままに空くのです!!』
先生『ふふっ…そうですか…』
神様『まあ…お前…ずっと食べてるもんな…』
ドラゴン『な!?』
バッバッ!!
神様「えっ!?テロップくん!?」
休日は、一日中食べてばかりなので…
逆に太らないことを心配した父親が、凄腕の医師に診てもらったところ…
太らないどころか…消化器官が尋常でないらしく…
彼女の身体は、膨大なエネルギーによって成り立っており…
1日で『1000万kcal』を摂取しても足りないほど…
趣味は、レストランで食材在庫が切れるまで食べ尽くすことであり…
両親が、一番苦労したのは…彼女の食費ではなく…
幼い頃の建造物破壊である。
寝起きで敷地内が吹き飛んだことが多数…
神様(もはや化け物だな…)
これでも太ってる方である…
神様(まじか!?言わないでおこう…)
ドラゴン(はあ…嫌な夢見た…自分の夢は効くのよね…)




