表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/101

第四章(10) ヒスイの仕事と、村の変化

「_____なんて『酷い偶然(神様のイタズラ)』なんだ。」


「ウズメ、どうしたの? 私が必死に編んだ(作った)衣装に、何か不満でも?」


「え?! 違う違う!!

 いや・・・まさかお披露目会が、『冬(11月)』になるとは思わなかったからさ・・・

 冬ってこんなに寒かったっけ?」


「ウズメなら大丈夫でしょ、だって一度も体調を崩した事なんてなかったじゃん。」


 ヒスイが疲労困憊状態から復活したのは、仕事を終えた(衣装が完成した)1週間後。

だが、目を覚ましてもヒスイの体が動くようになるまでは、更に一週間の期間を費やした。

 

 完成した直後、文字通りヒスイは『力尽きた』

目醒めた直後も、倒れた前後の記憶が曖昧になって、完成した衣装を見てヒスイが放った一言は


「完成・・・させたんだっけ・・・???」


 ヒスイが宿の外を見た際も、自分がカミノー村まで来た記憶が曖昧になって、ミラとウズメが1から10まで説明した。

 彼女が混乱するのも仕方ない、ヒスイが頑張って、力尽きている間に、村全体がだいぶ変わっているのだから。




 まず、ウズメが頑張って柵を引っこ抜き、凹み(へこみ)を一つ一つ丁寧に埋めた結果、村が以前より大きくなった。

 そして、森(村)の外へと続く道も、ウズメの協力もあって、きれいに整備された。


 ただ草を除去して地面を整えただけなのだが、ウズメ達3人が雑草をかき分けて村に来た時よりは、だいぶ綺麗になった。

 これなら人だけではなく、『馬や』『馬車』も村に来れる。つまり、『地位が高い人(城下町からのお客)』も集客できる。


 だが、まだ旅人を村へ連れて来る(観光させる)には、色々と準備が必要。

道の周りはまだ草ボーボー、周囲にそびえる木々も、少しずつ伐採していかないと、薄暗い小道になってしまう(昼間でも危ない)。


 以前は魔族に怯え、まともに(昼間でも)木を伐採する事ができなかった木こり。

だが最近は、常時森の中で、木を叩く音が聞こえる。

 それくらい、森には『放置された資源』が山のようにあった。


 長い間、管理もできずに放置されていた(手入れができなかった)森には、丸々1日かけないと切れない大木もちらほら。

 大木一本を、村に被害を与えない(直撃しない)ように、ゆっくり慎重に切り倒すだけでも、半月は費やしてしまいそうな程。


 ウズメも協力するものの、木の伐採は初めての経験だった為、なかなか切れない(しぶとい)大木の幹を前に、ひたすら睨めっこをしていた(どうすれば切り倒せるか考えていた)。

 だがその分、やっとの思いで切り倒せた爽快感に、ウズメはすっかりハマってしまう。

元々コツを掴むのが上手いウズメにとって、一週間も手伝えば、大木を1人で切り倒せる。


 ミラも今まで一行の荷物を背負っていた経験が生きて、切り倒された幹を、何本も何本も、大の大人と一緒に村まで運んでいた。

 自分よりも小さい子供(女の子)が、体の何倍も大きい幹を軽々と運ぶその姿に、村民一同はただただ呆然とするしかない。


 そんな顔を見せられては、ミラもだんだん面白くなってしまい、家を新しい木材(壁・ドア)へ替える際も、ポンポン材料(木の板)を屋根に放り投げていた。


 森が開拓されて、頑丈な木材が手軽に手に入るようになった(森での作業が安易になった)為、短い間に村の建物もだいぶ綺麗になった。

 2回目に村へ来た時も含め、どの家々も廃屋に見える(倒壊寸前な)くらい古びていた。

だが、ウズメとミラの協力もあって、強風程度なら耐えられられそう(少しはマシになる)。


「えーっと・・・・・

 ヒスイ、このリボンってどこに結ぶの?」


「こっちこっち、太ももの上。

 ___あぁ、リボンの長さが左右で違う。ちょっとじっとしてて。」


 初めて袖を通した時も、着るだけで半日もかかってしまった(手間取ってしまった)。

今まで防具しか着たことがなかったウズメにとって、複雑で不思議な形をした服を着ることは、まるで『体操選手の準備運動』の様だった。


 ちなみにウズメは、まだ衣装に袖を通した姿を、宿の主人と女将には見せていない。

だから、村人全員に見せる初舞台(初舞踊)を、二人も楽しみにしていた。


 ヒスイがウズメの着替えを手伝い、ミラはホールで、料理や酒の提供を手伝う。

ミラはここでも、小柄な体型と倍以上はある体力を活かして、せっせと厨房とホールを行き来する。


「___よしっ、完成!!」


「結構軽いし、フィット感も心地良いな・・・」


「当然でしょ。」


「???」


「だってそれ、昔はウズメの防具だったんだから、着慣れた感があるのは当然よ。」


「そういえばそうだった!!!」


(___でも本当に軽く着れるなぁ。

 外見はだいぶ複雑だけど、そうゆうところも考えて、ヒスイは作ってくれたのかな・・・?)


 以前の防具よりも軽いのに、捨てている(無駄になった)部分は殆どない。

それも、ヒスイの実力のうち。

 切り取って貼り付け、削っては塗っての繰り返しは、気の遠くなる作業。

でもヒスイは、完成に向けて全力で取り組み、ようやく自分の納得する形になった(完成した)。


「____というかさ、本気でやるの?」


「___今日お披露目する事は決まってたじゃん、村の皆も集まってくれてるし、踊らないわけには

 いかないよ。」


「いや、そうじゃなくて・・・・・

 本気で『飛び降りるの』??」


「その方がインパクトあるでしょ?

 大丈夫だって、魔族に追われて、崖から飛び降りて無傷だったんだから。

 あの時の高さに比べたら、全然低いくらいだって。」


 二階のヒスイの部屋(控室)で準備を整え、少しだけドアを開けてホールの様子を伺う二人。

宿屋の主人と女将が頑張ってくれたおかげで、子供も含め、村人全員(約30人)が集結している。

 三人が思っている以上に、カミノー村の人口は多かった。


 城下町と比べたら天と地の差ではあるが、城下町の人の多さは、もう多過ぎて意識できない。

だから、一つの集会場で収まるくらいの量(人数)が、ウズメにとっては丁度いい。

 ___しかし、推測していた人数も大きく上回った(思っていたより多かった)為、本番を目の前に、まるでスライムのように震えが止まらない。


 魔王を倒す直前でさえ、そんな状況にはならなかっった為、ヒスイはそんな状態になっている(ブルブル状態の)ウズメを、ここぞとばかりにじっくり観察している。

 

 ニヤニヤとウズメを見つめているヒスイに、ウズメは自然と平常心を取り戻していく。

一時は会話すらままならなかった(言葉を発する暇もなかった)ヒスイ。

 しかし、衣装が完成した後のヒスイは、ウズメ達が知っているヒスイと全く変わらない。

それがウズメにとっては、一番強くて身近な安定剤なのだ。


「___じゃあヒスイ、『盛り上げ役』、頼んだよ!」


「えぇえ?!! アレ(段取り)ってそうゆう役目だったの?!!」


 ウズメは自らの拳に力を入れ、胸を強く叩く(自分自身に喝を入れる)。

そんな彼女の覚悟を見届けたヒスイも、ウズメの『踊り子としての新たな人生』を見送る役目を聞き入れ、勢いよく部屋を飛び出し、ホールで待機している全員に向かって叫んだ。


「さぁ皆さん!!! 今日はお集まりいただき、本当にありがとうございます!!!

 今日皆さんをこの場所へ呼んだのは、この村の『新たなシンボル(名物)』になろうと一念発起し

 た、かの魔王を倒した勇者一行の一人


 ウズメによるダンスをご覧いただく為でございます!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ