表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローたちへ  作者: あお
第1章
2/3

1-1


私の住んでいるこの街には5つの区がある。


北区、東区、西区、南区、そして中央区。


この地域に暮らす住人はこの街を“4区”と呼んでおり、この4区はあまりの治安の悪さから国から隔離された特殊な街。


そしてこれは、かつてその4区でNo.1と呼ばれた、そして私にとっての“ヒーローたち”の物語だ。



***



チュンチュンチュンと小鳥たちがさえずる声が聞こえて来ると、カーテンの隙間から眩いばかりの陽が差し込む。

それが、かつてここで過ごしていた私の朝の合図となっていた。

真っ白な壁、真っ白な天井、真っ白なシーツ、そして消毒液の匂い。

私はこの場所が好きではなかった。

それは、家族と離され、一人ぼっちで過ごさなければならなかったからだった。

時には苦いお薬を飲んだり、とっても痛い針を身体に刺されたり、嫌だと泣いても、白い服を着たここにいる大人たちは笑顔で「すぐ終わるからね」と言って、それらを強いてくる。

それでも、苦いお薬や鋭い針を我慢できたのは、私がそれらを受け入れると家族の皆が笑顔で「偉いね、美月」と言って頭を撫でてくれるからだった。



私には、同じ世代の子供たちが当たり前に出来ることでも、出来ない事の方が多かった。

例えば、運動や身体を激しく動かす様な遊び。

例えば、人混みの多い場所。例えば、長距離を移動するような旅行など。

窓の外から聞こえて来る、子供たちの楽し気な笑い声は、そうした私の劣等感を強くさせていた。



そんな私の世界を壊してくれたのは、他でもない“ヒーローたち”だった。




『美月、こっち来いよ!』




そう言って手を引いてくれた彼らは、今どこで何をしているのだろうか。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ