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【第三章あとがき】(※イラスト付)

 アリス事変、第三章『三月ウサギと鏡の迷宮』をお読みいただき有難うございます! 自分の気持ちや考えを吐き出す場が欲しく、あとがきという体で綴らせていただきました。後半はちょっとしたイラストも。

 ネタバレなど諸々あるので、是非三章をお読みになってからお越しください。




【インスピレーション元は、雪の女王】


 本章を書くにあたりインスピレーションを得たのは、童話『雪の女王』です。雪の女王は、“悪魔の鏡の破片”が目と心臓に刺さった少年が、雪の女王に連れ去られ、少年を探して少女が旅に出る……愛と勇気の物語。少女の涙が少年の鏡の破片を溶かします。


 『三月ウサギと鏡の迷宮』では少年役を夢子に。少女役を黄櫨にしました。鏡の呪いを目に受け、幻にさらわれた夢子を、助けに行く黄櫨。ヘイヤの槍に貫かれた夢子……涙する黄櫨を見て、夢子は覚醒します。


 『鏡の国のアリス』のオマージュとしては、鏡を介し別の空間に移動すること。あとはさりげなく、act5「不穏」で偽物の橙に引っ張られ走るシーン。(『鏡の国~』のクイーンにビューンと手をひかれるシーン)


 鏡とは一体何なのか、後半の夢子の不気味さはなんだったのか、語っていきます。




【鏡とは】


 “鏡”という存在は、童話アリスの世界ではとても重要なものの一つだと考えています。『不思議の国のアリス』の続編『鏡の国のアリス』で、アリスを別の世界へ引き込んだ存在。世界の境界。『アリス事変』の世界でも鏡は特別です。


 鏡は時間くん同様に、世界の重要なファクター(因子)の一つで、可視世界と不可視世界の境界を生み、内と外を隔てるもの。 以下のような性質があります。

 ・異なる場所へのゲートとなる

 ・人の感情、意識エネルギーを拡大・縮小する

 ・見る者の現実を捻じ曲げる、内面や望みを映し出す


 夢子がアリスの残留思念に触れて見た“夢”からも、時計と鏡が特別な存在だということが分かるようになっています。ヒントは散らばっていて分かりにくいかもしれませんが……実はこの二つは、外の世界(異世界)から持ち込まれたものなんです。だから異端で、特殊。(参照:二章Act1.「現の夢、夢の現」/三章Act28.「異変明け」)

 つまり夢の世界の“二人”も異世界人。二人の正体は次章で明らかになります。


 鏡の人格“鏡也”は、アリス――紫を慕い、夢子を恨んでいます。が、最終話で明らかになったように夢子の傍に居た“紫”の正体でもあるので、夢子に対しての感情は自身でも分からないくらい複雑なもの。鏡の中で血塗れの夢子を見て動揺したのは、彼の本心です。夢子が真実に気付いた時、夢子の中で彼がどういう存在になるのか、お楽しみに。




【主人公について】


 本章では“他者からどう夢子が見えているのか”を意識して書きました。

 可愛げのあるところ(相手による)、何を考えているのか分からないところ、飄々としているところ……と、普通ではないところ。夢子視点だと分かりにくい、本人の異常性。内に秘められたものが、感情が増幅する鏡の影響で少しだけ表に出てきました。


 例えばそれは、紫への執着心。一章の初めから普通の友人としては重めの執着心を描いておりましたが、今回は幻として紫が現れたことで顕著になりました。


 そして、夢子の中に眠る何か。現実世界から突然やって来たにも関わらず、不思議の国を受け入れ、順応し、時にこの世界の人々より理解している。鏡が語ったことが全て彼女の本心なのか。ミツキを否定したのは何故なのか。夢子の中には本人も知らない――忘れている何かが眠っています。




【ミツキについて】


 異世界人、ミツキ。元の世界で居場所を失った彼女。実は一章のタルトにもそのような描写を入れています。彼の場合は破綻した人格、凶暴性、その裏に潜む劣等感、自傷の痕。この世界に来る異世界人の共通点が、何かあるのかもしれません。


 ミツキについては、悲劇のヒロインっぽい子にしました。華奢で、儚く、守ってあげたくなる感じ。人見知りだけど心を許すと笑ってくれる。純粋で素直。弱い所もあるけど、強い所もあって、不思議な力を持っていて……。ヒロインじゃん。

 夢子は敵対したことや、色々複雑な感情で、彼女に良い印象を持っていないです。(ミツキが異世界人であることが関係もしているのですが)


 ミツキとヘイヤの物語については、本編を忘れる程尺を取りました。これはこの物語は一人の主人公のものではなく、そこに生きとし生ける住人達の物語であるという想いもこめています。これまでの章も、それぞれにあるのは誰かの物語。


 不思議の国に来たミツキは、周りの人達と関係を築いていきました。常盤に憧れ、黄櫨に心を許し、ヘイヤはちょっと苦手に思っていたものの、構い続けられる内に愛着を覚え、後半で自分のために苦しんでいる彼には何かを感じていた様子。ヘイヤが最期に彼女に告げた言葉は、とてもシンプルです。


 ヘイヤは実は滅茶苦茶ピュアな青年なので、バーベキュー炎騒動の時にミツキが、花火に対して“好き”と唇で紡いだ瞬間に……撃ち抜かれてます(笑)




【重ね見る誰か】


 本章では誰かの面影を、誰かに重ねている描写が多いです。


 黄櫨は夢子に、かつて救えなかったミツキを重ね。

 夢子は黄櫨に、幼い頃の紫を重ね。

 ジャックは夢子に、少しロザリアを重ねています。強く見えるから、弱さを見せて欲しい。鏡也が見せた“弱々しい夢子”が忘れられない模様。夢子への勝手な憎悪は、王から命じられた彼女の援護を口実に、眠っています。


 常盤は夢子に、夢子の知らない夢子を見ている。

 ミツキは、モスにヘイヤの面影を見ている。


 ラファルは割と、目の前の皆を素直に見ています。




【アリス、紫】


 アリスの正体は夢子の親友、桃澤紫。ここまでで明らかになっているアリスと紫の情報を、ざっくりまとめてみました。


 ・アリスは創造主であり、世界を消去しようとしている。


 ・アリスは普段はバックグラウンドにおり、その姿を人前に表さない。概念的な存在だと思われている節も。夢子にアリスの姿が変わって見えたのは、表世界でのアリスの存在が抽象的なため。夢子のぼんやりしたイメージが反映された結果。紫がジャックが来る寸前でお面を付けたのは、あまり人に顔を見られて存在を認識されたくないため。紫が多くの人の目に触れれば、存在はハッキリしていく。


 ・アリスの魂は、不思議の国の物語を紡ぐためのエネルギー源。アリスは神であり贄である。消耗品。今のアリスである紫の期限は近く、次なるアリスとして夢子が選ばれる可能性が高いことを彼女は知っている。自我を保って居られる内に、紫は夢子を守るために世界を消そうとしている。


 ・夢子を不思議の国に連れて来たのは時間くんで、時間くんは世界に否定的な紫と夢子を交替させようとしている。しかしそれだけではない。“世界”の意思も関係している。(マンホールに落ちる前に、既に夢子には何かしらの兆候が出ている)


 ・何らかの理由で、紫は夢子を真実から遠ざけようとしている。夢子が何かに気付くことで彼女に危険が及ぶと考えている。


 ・常盤は夢子と紫の関係を知っている。アリスが紫だということも知っており、今の夢子の傍に紫は居ないと思っていた。同一人物は、二つの世界に同時に存在できないため。


 ・夢子と紫は幼馴染。幼い頃の紫は男の子みたいだった。紫がアリスとなった後、夢子の傍に居た紫の正体は鏡也。(ヘイヤもどきのように、それは紫でもなく鏡也でもない存在)




【その他雑多にしゃべる】


 ・個人的に好きな命名は、ミツキです。三月と書いてミツキで、三月ウサギのヘイヤに「サンガツちゃん」と呼ばせるのが楽し過ぎました。ちなみに三月の満月は「ワームムーン(Worm Moon=芋虫月)」という名称で呼ばれているので、芋虫のモスも三月。ヘイヤ、ミツキ、モスの三人は三月組と名付けよう。


 ・嘉月会メンバーが互いを想い合う気持ちは、家族や親友より遠くて、近い。存在が心の安寧に繋がっている。一人一人は孤独を好んでいる。このタイプが、今のところ登場人物には多いです。時間が身勝手で、現実世界とは違う家族形態が多いこの世界の特色かも。(人が自然発生するので、出生率は滅茶苦茶低いという設定がひっそりあります)


 ・黄櫨はめっちゃ愛されキャラです。独特の透明感、清らかさ。誰の心の壁も取り払う少年。本章で夢子との話をちゃんと書けて良かった。


 ・ラファルはめっちゃ良い奴です。特別な名前は持っていないけど、だからこそ凄い奴。実は努力家で、過去編から現代に至るまでにかなり強くなっているのですが、努力は人に見せません。ヘイヤみたいな天才に憧れている。


 ・ピーターがパンプディングを作ってくれました! 自分の作ったものをニコニコ食べる夢子が面白いんだと思います。ちなみにピーターからはお菓子の匂い(小麦粉とバターとか、バニラエッセンスの香り)がして、ジャックからは妖しげな香水の匂いがして、常盤からは紅茶と、ほんのり紙とインクの匂いがします。黄櫨はなんか、とにかく可愛くていい匂い。


 ・ちょっとした小ネタ。もし夢子が男だったらどうなっていたのかの妄想。まず第一章でほぼバッドエンドです。暗い色の髪と目の、異世界人の男なんて、ジャックの憎悪が百倍くらいになるに違いない。ピーターの態度はちょっと軟化するかも。常盤に取り入った悪女だと思っていたので(笑)

 生き残った場合……二章。橙はもしかしたら恋しちゃうかも。その場合、時間くんとアドルフに恨まれて、またも生存率が下がりますね。

 しぶとく三章を迎えたら、ここでの展開はあまり変わらないでしょう。ただヘイヤやラファルが、“ああ、常盤は女に興味が無かったんだな”と思うくらい。




【そして、物語は四章へ】


 四章では遂に、夢子がアリスを捕らえます。ネオ和風な世界観からガラリと変わってSFっぽい感じに。名前だけ出てきていたリアス教国が舞台です。

 橙・時間くんが再登場し、活躍予定。ピーターが夢子と関わる中で変化していく様も。


 それでは第四章『アノニマスの白昼夢』もお楽しみに!


 以降は手描きイラストを公開しています。

 ※主人公夢子の容姿を出していますので、ご注意ください。



――――――――――――――――


挿絵(By みてみん)


【参照初期表紙イラスト】

 永白はサイバーパンクな和風の雰囲気。



挿絵(By みてみん)


【黄櫨とミツキ】

 表紙絵にもなっていた二人。



挿絵(By みてみん)


【ヘイヤとミツキ】

 こんな密着することは、多分出来なかったに違いない。

 ヘイヤはミツキを追いかけたり構ったりしていたけど、ミツキが逃げないと戸惑うと思う。



挿絵(By みてみん)


【ジャックとロザリア】

 この二人をまた登場させることができて良かった!

 ロザリアは、夢子と気が合いそうだなあ。



挿絵(By みてみん)


【冬仕様の常盤】

 シンプルなコートをかっこよく着こなして欲しい。何着ても似合って欲しい。



挿絵(By みてみん)


【夢子と黄櫨】

 鏡の中を進む二人。少年と年上少女の組み合わせってときめく。



挿絵(By みてみん)


【夢子とラファル】

 担がれた夢子。シリアスな状況でコミカルなシーンを書くのが好きです。



挿絵(By みてみん)


【夢子詰め】

 表情の変化は大きくないけれど、色々な顔はします。



挿絵(By みてみん)


【夢子と紫 (幻)】

 紫の緑色のコートの似合わなさ……。

 彼女には寒色が似合います。ちなみに昔書いた紫のグレーダッフルコートは以下。



挿絵(By みてみん)


 そんな紫を慕うのは……


挿絵(By みてみん)


 怪し過ぎて最早ギャグみたいになったフードの男。



 おまけ……

 十年以上前の、モスとヘイヤのイメージ画。

 モスは怪しくなり、ヘイヤはぽけ~っとなりました。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)



 ここまでご覧くださり、有難うございました!

 これからもよろしくお願いいたします。

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