ちょっと気になるポーカーフェイスの山田さん
ポーカーフェイスの山田さんは、なにを考えてるのかわからない。
だけどずっと見てると、なんだか少し、面白いんだ。
昨日はポーカーフェイスのまま、顎をちょっと突き出して歩いてた。
その前の日は、ポーカーフェイスのまま、ゆっくりとお尻を振ってたよ。
どうしてなんだか、理由はまったく、よくわからない。
ついつい気になって、僕の視線は山田さんに向く。
たまに目があっても、山田さんは、見事なくらい表情筋が動かない。
変な子だってみんなが言ってる。
ちょっと怖いって、それもわかる。
今朝山田さんは、落ちていたハンカチを落とし物箱に届けた。
昼は、トイレのスリッパをきれいに並べたあと、30秒かけて手を洗った。
帰りはゴミ箱に捨てられていた自分のスニーカーを、ポーカーフェイスで拾って履いた。
ついつい気になって、僕の視線は山田さんに向く。
いつ見ても同じ、あの顔の下で、彼女はなにを思っているのか。
あまりにも気になった僕は、勇気を出した。
勇気を出して、「一緒に帰ろう」って誘ってみた。
山田さんは意外とよく喋る。
お笑い番組とゲームが好きで、勉強と運動は苦手。
思ったより普通で、期待外れだ。
もっとホラーなのかと思ってた。
給食はカレーが好きらしい。
「僕もだよ」って言ったら、山田さんが笑った。
あれから三年、僕は山田さんの彼氏をしてる。
お読みいただきありがとうございました!
こちらは、『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』に参加するべく書いた短編です。
選んだテーマは『ポーカーフェイス』です。
イベント参加は初めてなので、なにか不備があれば教えていただけると幸いです(;´∀`)