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38.知り合いの妹




「悪かった」



 ストレートに謝られてベルナルドはそっと視線を逸らし、少し経って溜息を吐いた。当前だが、わざとではないと言われても、口を塞がれたままというのは苦しかった。



「お前、一体何者だ」


「ただの魔導師さ」



 そう言って返すと、シャルロッテはベルナルドにずずいと薬を差し出した。それを嬉しそうに受け取った彼は、シャルロッテの出した『飲んで』という文字を見て躊躇いなく口に入れた。止めようとしたクレアが間に合わないくらいに躊躇いがなかった。口に入れた瞬間、植物特有のエグみと苦味が彼を襲う。吐き出そうにもキラキラした目のシャルロッテが目の前に居て無理だった。なんとか飲み込んだがその顔色は悪い。



「……口直しだ」


「かたじけない」



 香りこそ花の芳しいものである。けれど、香りだけだ。その味はよろしくない。だからこそ、軽く説明をしてから渡すつもりだった。



「痛みはマシになったか?その痛み止めも膝に打ち込んだ薬に悪さをしないものを選んだのだが」



 そう問いかけたクレアにベルナルドは「問題はない」と返した。



「申し遅れた。私はベルナルドといい、そこに居られるシャルロッテ様の護衛騎士です。この度は姫様を助けて頂きありがとうございます」



 彼の言葉にクレアは小さく「姫様?」と呟く。彼女の頭をよぎったのは絶世の美青年。奴隷にされていたエルフの王子様、妹を探しに旅に出たリヒト・ファータ・フィオーレだった。



「私はクレアという。……すまないが、シャルロッテには兄はいるだろうか?」



 おずおずとそう問いかけたクレアにベルナルドは一気に厳しい目を向ける。「なぜ?」と返されたので素直にリヒトの話をする。



「そうでしたか?殿下が……それでどちらに」


「妹を探す旅に出た」



 入れ違いになるとか不運だなと思いながら手紙を出す手段をいくつか考えていた。

 あと、普通に気に食わなかったとはいえ、元旅仲間がやらかしていたので罪悪感がある。しかも、逃げる原因を作ったのも元旅仲間である。クレアが関与していないとはいえ、寝込んでいる間にやらかしやがった。基本、温和なエルフを襲撃し尊厳を奪い森を焼くとかちょっと常軌を逸していると今でも思う。



(そのことに関してはリヒトが帰ってくるまで黙っているか。治療を拒否されるのは困る)



 罪悪感はあるが、それよりもさっさと治療を終わらせたい気持ちの方が上だったし、一応国の方にも報告はあげているので治り次第保護してもらう運びになっている。自分に何かあったところで何もないが、ヤバい男の対処法は伝えておかないといけない。あの国の出身だと知った彼らが話を聞いてくれるとは、あまり思っていなかった。

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