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23.魔力の知覚




 翌日から、ユウタはクレアの指導を受け始めた。魔力の感覚を掴むところからである。通常ならば、綺麗な女の子に手を掴まれるのは青春的な意味合いでドキドキするのだろうけれど、ユウタは今、違う意味でドキドキしていた。彼のドキドキは恐怖方面である。そしてそれは後ろで腕を組んで見ている黒髪の青年が原因だった。


 エリアスは久しぶりに見守り(注:彼の中では決してストーキングではない)に来たら見知らぬ男が紛れ込んでいたので若干警戒していた。リヒトはよかった。良からぬ行為をする男ではないとわかっていたからだ。けれど、未知の存在はすぐに認めるわけにはいかない。


 ユウタの緊張を感じ取ったクレアは、不思議そうに顔を上げると、エリアスは軽く微笑んでいた。なお、クレア本人は「なんでこの人、ここに来たんだろう?暇なのかな」なんて思っている。


 まぁいいか、とユウタに向き直る。関心が移ったのが不服だったのか、再び空気が重くなって、ユウタは「勘弁してくれよ」と思った。怖いので飲み込んだ。



「今、私が君に魔力を流し込んでいるのを感じるか?」


「う、うん。なんか熱い感じがする」


「目を閉じて、自分の中に流れるそれを掴め」



 クレアはユウタがそれを掴みやすくするために流す魔力を抑えて誘導するように少しだけ流す。すると、ぶわっと。溜め込んでいたものを押し流すように彼の中の力が流れ出して、彼が己の力を掴んだのだと気付く。



「もう少し抑えろ。そう、ゆっくり。魔力が血液のように全身を巡り、身体を動かす。そういうイメージで動かしてみろ」


「難しい、な」


「最初はそんなものだ」



 最初はエリアスを気にしていたユウタであるが、魔力の操作に集中することで完全に意識から彼の存在が消えた。

 魔力を感じられるかどうかは本人の素質もあるが、どれだけ早くから魔法に関わることができるかにもかかっている。だからこそ、基本的には貴族の方が魔法に関する仕事につく人間だって多いし、それ以外であれば魔法を使う冒険者の家族であるかだ。クレアのように冒険者でもなかった平民から魔導師になれる人間はレア中のレアである。ある意味では運が良かったともいう。


 魔力を掴み、動かすことに慣れれば次は己の適性を探さなくてはいけない。クレアは魔法なら大凡のものは使えるが、基本的に人間はある程度得意・不得意な魔法が存在するし、使うことができない魔法も存在する。例えば、コルツ王国の勇者は肉体強化や聖剣に関わる魔法は扱うことができたが、普通の火や水の魔法などは使いづらそうであった。聖女もまた、浄化と治癒と結界に特化していた。



「君は、人助けが趣味なのか?」


「いえ」



 エリアスの問いにクレアは軽く首を振った。



「ユウタはまともでない魔導師や愚かな魔法士、あとコルツ王国みたいな平民を利用するだけ利用してポイみたいなところに引っかかると碌なことにならないだろうから引き受けました」


「……確信があるのか」


「勘ですよ。師、曰く少しでも害が想定される時は最悪を前提に考えて行動するべきだ、とのことです」



 クレアは知っている。ユウタがちゃんと聞いているかはわからないけれど、異世界からの渡人というのは魔力が強く、最初の扱いを間違えると国を一つ消してしまうこともあるということを。

 記録を見たときを思い出して溜息を吐いた。おそらくは、彼の召喚された国には、彼を御し切れるだけの魔導師や同等の力を持つ戦士がいなかったのだろう。ユウタの話を聞いている限りでは王族からは丁重に扱われていたようであった。そうなると、渡人の魔力を甘く見て召喚に踏み切ったのだろうと想像はつく。



(まぁ、大きな戦力がなかったから召喚に踏み切ったということでもあるのだろうが)



 御しきれない力など持っていても仕方がないのではないかと思っても、本当のところはその国の上部にしかわからない話であるので考えるのをやめた。住んでもいない国のことなど、関係のない話だ。

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