第二話「投げられたボール」
その村は深い森の奥にあった。
そこに住むものは皆美形であり、耳が長いのだ。
そう、エルフだ。
ユデマはエルフの町の近くの湖に落ちてしまったのだ。
——
「もしかして、龍の子ですか!?」
「え、あ...いや...っす」
なに、龍の子って?こちとら世界のママやぞ!
しかし、この子可愛い。そして胸がでかい!
なんだこの美乳は!?見たことがない!
てか、耳が長くて金髪とかエルフやん。
「龍の子さん! あの高さから落ちて無傷の体、そしてその魔力! 私、お願いがあります!」
「う、うぉん」
「私の妹を助けて欲しいんです!」
「あー、う、うぉん頑張る」
ろくに話も聞かずに返事してしまった...
——
その後、女の子に付いてこいと言われエルフの町に来たのだが、めちゃ広い。
普通エルフがいるのって森の奥でめっちゃ狭くね?
あーあとついでに流行病治すために満月の夜にしか咲かない花探しにきてまーす。ウェイ
「てことでここに今夜は野営します」
「あ、うっす」
「龍種の血を引くユデマさんが来てくれてきっと龍神様の導きですね」
「あーそうね。宗教の方なのね」
うわー宗教家って変なとこに地雷ありそうで怖いんだよなー。
しかし、こんな子と一晩過ごすのかぁドキドキしちゃうよぉ。
そんなことを思いながら野営の準備を完了した。
「ここで間違いないですよね?」
「え? 知らんけど...」
「私達の町で流行っている病ドライム病を治すためにその治療薬である月光花...地図を見る限りではあってます。」
「ほーん。ま、間違ってないでしょ」
ドライム病。
全ての種が持つ魔力が異変を...まぁ簡単に言うとみんなゴホゴホ言って弱ってるからこの花食わせろって話。
男エルフのほとんどは既に病に侵され月光花が咲くこの森は魔物が多く女だけじゃ危険で入れないと困ってたわけだ。
「でも、凄かったです! ユデマさん、襲いかかってくる魔物達を一撃で倒してしまうんですから!」
「お! そ、そぉーかなぁー」
やべっ褒められちった。嬉しみ。褒められて伸びるタイプなんだよね。
と、そんな話をしていると何やらエルフちゃんの様子がおかしい。
「どったの?」
「感じませんか?」
「え、感じているんですか? 心のじゅん—」
「私達見られてます」
「...あっ、そう」
どうやら思い違いだった。
周りを見るとあからさまに熱々のお湯を入れた後の湯気でふにゃふにゃってなってる木がある。
多分なんかいる。
「そこにいるのはお母さん分かってますからね! 出てきなさい!」
するとその木陰から男が出てきた。
いや、男と言うほどではない幼い顔つきと銀髪の髪、150くらいの身長。少年だ!ショタだ!
「良く私の隠蔽魔法を見破りましたね。」
「隠蔽魔法!?かっこいいやん。
ラーメンの湯気みたいだったけどね。」
「は?馬鹿にしてません?」
「誰だお前は!?」
「え、?は、? え、えっと...申し遅れました。
私はアスラン王国第二騎士団特番隊『無音』のアーミル!
月光花は、渡しません!」
「なぜだ!」
「あなたに教える義務はありませんッ!」
そう言うと彼は腰に手をやり...
ビュンッ!
ものすごい速さで短剣を投げてきた...んで俺の胸...ちょうど心臓のとこに刺さってる。
「ユデマさん!」
「次はあなたですよ!ハァァァァァア!!」
エルフちゃんにも短剣が投げられる。
が、それは届かない。
なぜならそこにいる男は...
ユデマだからだ。
「なぜだ!?確かに心臓に刺さったはずだ!」
「おん刺さってる。でも俺心臓100個あるから」
「は?ひゃひゃく!?」
「俺な、中学の時に小学生にボールぶつけられたんだよ。だから怒った。ならそいつどうしたと思う?」
「は、は?何を意味のわからな—」
「逃げたんだよ、そのクソガキ。しかもそいつ、妙に美形だった。
だから俺は、今度クソガキにボールぶつけられたら社会的なんて無視して殴り返すって決めてんだよ!」
実話です。
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