第1話~怒りの灯~
冴島「この世には、現代の科学では説明できない不可思議な事が山の様にあふれている。その一つが「超能力」。ここ「双葉会総合病院・特異体質科」ではそんな不思議な能力に目覚めた悩める人々を診察し助けることを目的として私が設立した科です。・・・なんと言っても超能力研究は私の専門分野ですからね。」
渡「冴島先生!何ぶつぶつ喋ってるんですか!?」
冴島「あぁ。渡君、コーヒーのおかわりお願い。」
渡「ご自分でお願いします。・・・大体、ここは診察室であって先生のお部屋ではないんですから!もっと片付けて下さい!・・・まったく・・・」
冴島「なになに?なんでそんなにご機嫌ななめ?」
渡「はぁ・・・小児科に残ってればよかった・・・」
冴島「なんか言った?」
渡「今日は午前中患者さんがいらっしゃるそうです。」
冴島「そうなの?昨日はそんな話無かったけどなー?」
渡「それが、昨日の夜先生がお帰りになったあと警察から電話があって・・・」
冴島「警察ってことは郷田くんからか・・・また事件がらみねー・・・」
渡「しっかりお願いしますね?」
冴島「で?どんな事件?」
渡「あんまり詳しくはきいてないんですけど、ファックスで資料が来たんです。・・・どこかにあると思うんですけど・・・ちょっと待ってください?」
冴島「また、面倒な事件を適当にこっちの病院に回してきたパターンじゃないの~?」
渡「ちゃんと片付けてくれないから・・・どこにあるかわかんないじゃないですか・・・まったく・・・あ!あった!これこれ。・・・えっと・・・「吉岡光輔」21歳・男性。市内に住む大学生です。」
冴島「若くて羨ましいねぇ。」
渡「昨夜、大学の友人と自宅で酒を飲んでいた際、酔って口論になり、その最中友人の身体がいきなり燃え上がる。周囲に火の気はなく、2人ともタバコは吸わないためライターも無かった・・・と。現場に発火の危険がありそうな物はなく・・・勿論リンなどの反応も一切無かったため警察ではこれ以上捜査不可能・・・後は任せた!冴島ちゃん。だそうです。冴島ちゃんって・・・」
冴島「ふーん・・・パイロキネシス・・・かな?こりゃ面白そうだ。」
渡「面白がらないで下さい。」
冴島「で、その燃え上がった友人ってのは?」
渡「火傷が数箇所あったものの命に別状は無いそうです。」
冴島「そっか・・・」
渡「患者さんの心のケアも必要ですかね?」
冴島「そうだね・・・」
吉岡「(ノックの音)」
冴島「どうぞ?」
吉岡「失礼します・・・」
渡「吉岡光輔君?」
吉岡「・・・はい。」
冴島「おはようございます。どうぞ。座って?」
吉岡「・・・はい。」
冴島「はじめまして。冴島孝徳です。」
吉岡「よろしくおねがいします・・・」
渡「荷物、預かりましょうか?」
吉岡「いえ。結構です。」
渡「でも、診察の邪魔になりますから・・・」
吉岡「いいっつってんだろ!」
渡「!!カルテに火が!!」
吉岡「えっ!?」
冴島「落ち着いて、吉岡君。大丈夫だから。渡君!水!!」
渡「はい!!」
冴島「・・・ふう・・・なんとか・・・火は消えたかな・・・」
吉岡「あの・・・」
冴島「落ち着いて。昨日の夜何があったのか詳しくきかせてもらえるかな?」
吉岡「・・・友達と、いつも通り家で酒のんでて・・・内容なんて全然覚えてないようなくだらない内容だったんですけど・・・なんか途中から喧嘩みたいになって、俺腹が立って友達に殴りかかろうとして・・・立ち上がった瞬間・・・目の前で・・・」
冴島「友人が燃え出した・・・と?」
吉岡「・・・」
冴島「今までにこういう経験は?」
吉岡「あるわけないじゃないですか。」
冴島「そっか・・・ちなみに、君短気な方?」
吉岡「・・・いや・・・自分ではそうは思わないんですけど・・・この頃なんか色んなことにムカつくって言うか・・・おかしいんです・・・今までは、少しぐらいのことなら我慢できたんですけど、最近は細かいことで一々腹が立ってしまって・・・」
冴島「内面の急激な変化か・・・吉岡君。この世に超能力なんてほんとに存在すると思う?」
吉岡「?そんなの・・・あるわけ無いじゃないですか・・・」
冴島「んじゃ、ちょっと実験。ここにトランプがあります・・・よ~くきって・・・はい。一枚好きなの選んで?」
吉岡「はぁ・・・」
冴島「はい。君が選んだのは1枚のカード。トランプはジョーカーを除いて52枚。マークを当てるだけなら4分の1の確立。数字を当てるだけなら、13分の1の確立。だけど、数字とマーク両方を当てるには52分の1の確立。」
吉岡「何が言いたいんですか?」
冴島「ここに封筒があります。」
吉岡「それが?」
冴島「この中に、君がひくカードの数字とマークを予め予想して書いておきました。」
渡「いつのまに・・・」
冴島「渡君。封筒持ってて。」
渡「はい。」
冴島「吉岡君。君が今持ってるカードは何?」
吉岡「・・・スペードのキングです。」
冴島「渡君。封筒開けて中身読んでみて?」
渡「はい。・・・・・・スペードの・・・キング・・・」
吉岡「え!?」
冴島「種も仕掛けもありません。超能力ってのは、世間一般に認知はされてないけど実際に存在するんですよ。」
吉岡「こんなのただの手品じゃないですか・・・」
冴島「なんならもう一回やってみる?トランプじゃなくてもいいよ?そうだな・・・例えば、このサイコロにしようか?・・・ここにサイコロが3つ。赤色と青色と緑色。全ての目を当てるには単純計算で6の3乗。つまり216分の1の確率。2回連続で3つのサイコロの目を当てれば216の2乗。もはや手品の一言じゃ片付けられないと思うけど?やってみる?」
吉岡「やってみてくださいよ。」
冴島「んじゃ。」
吉岡「待って!・・・サイコロ、俺が振ります。」
冴島「そ?んじゃお願い。・・・先に、予言書いとこうかな?・・・っと。はい、渡くん持ってて。」
渡「はい。」
冴島「じゃ、お願い。」
吉岡「はい。・・・赤が3。青が5。緑が1。・・・」
冴島「渡くん?私の予言・・・読んでみて?」
渡「!赤3。青5。緑1。・・・当たってます!」
吉岡「!そんな!?・・・なにかトリックが・・・」
冴島「なにも仕掛けはありませんよ。トランプも合わせて考えれば、サイコロと両方を的中させる確率は216掛ける52分の1。これだけでも十分信じてもらえる証拠だと思うんだけど・・・」
吉岡「・・・じゃぁ貴方も超能力が?」
冴島「少なくとも、世界中には君以外にももっとたくさんの超能力者がいる。・・・というより、人類は全員超能力を持ってるんです。ただ、それに気付けるか・使えるか。あるのはその違いだけ。」
吉岡「・・・俺は・・・」
冴島「自然発火能力。パイロキネシスって言葉くらいきいたことあるでしょ?」
吉岡「俺が超能力者?・・・そんなこと・・・ありえない・・・」
冴島「君の話から推測するに、おそらく君の力は感情と深くリンクしてる。特に怒りの感情に強く反応して力が発現するみたいだね・・・」
吉岡「・・・怒り?」
冴島「昨夜の友人との件も、さっき病室に入ってきてすぐの件も、君の心の怒りが炎となって表に表れた。」
吉岡「・・・じゃぁ、俺が少しでも怒ったら・・・何かを燃やしてしまうってことですか?」
冴島「そんなに怖がらなくても大丈夫。能力をコントロールする訓練をすれば、日常生活には何の支障も無くなります。」
吉岡「訓練ですか?」
冴島「自分の思い通りに能力を使えるようになれば、感情の動きに関係なく能力を抑えることができるし、使いこなせるようにもなる。」
吉岡「・・・どんな訓練ですか・・・」
冴島「さぁ・・・それは自分で見つけてください。」
渡「先生!それじゃ無責任すぎます!」
冴島「私はパイロキネシスの能力者じゃないからねー。使い方のわからない能力の使い方をどうやって教えてあげろっていうの?」
渡「だからって!」
吉岡「ふざけんなよ・・・ここにくれば、助けてくれるってきいて来たのに・・・」
渡「熱い・・・なに?この熱気・・・」
冴島「吉岡君。また能力が暴走するよ?」
吉岡「知るかよ・・・この部屋ごと燃やしてやる。」
渡「吉岡君!落ち着いて!」
冴島「これ、リラックス効果のあるお茶です。」
吉岡「は?」
冴島「飲んでみてください。」
吉岡「ふざけんな!」
冴島「いいから飲みなさい。」
吉岡「・・・」
渡「飲んでください?」
冴島「未来の鍵はこの手に・・・」
渡「え?」
吉岡「飲めばいいんだろ?飲めば!・・・(深呼吸)」
冴島「落ち着きました?」
吉岡「・・・はい。すいません・・・」
冴島「リラックス効果抜群ですねー。」
渡「熱気・・・おさまりましたね・・・あ、どうぞ座ってください。」
冴島「超能力者の多くが、力を得た代わりに何かを失ったと答えています。」
吉岡「何かって?」
冴島「人によって様々ですが・・・あなたの場合、恐らく穏やかな性格を失いそのために短気になってしまったんでしょう。」
吉岡「・・・」
冴島「顔には人生がそのまま表れるものです。あなたの顔は穏やかで、喧嘩など程遠い優しい顔をしています。」
吉岡「・・・」
冴島「以前は優しい穏やかな性格だったんでしょう。21年間の積み上げてきた人生はどうやっても隠せるものではありません。」
吉岡「はぁ・・・」
冴島「しかし物は考え様です。何かを失ったと考えるか、それとも・・・」
吉岡「それとも?」
冴島「能力をコントロールできるようになるには時間がかかるかもしれません。でも、必ず今までどおり過ごせる様に私が全力で協力します。だから、一緒にがんばりましょう。」
吉岡「もとに戻れますかね・・・」
冴島「さてと、今日の診察はこの辺にしましょうか。なるべく苛立ちを感じることは避けること。それから・・・」
吉岡「あの・・・」
冴島「このお茶。持って帰ってください。それから、これ。」
吉岡「え?」
冴島「リラックス効果のある香りを染み込ませたポプリです。もし力が暴走しそうになったときは、これを匂って気持ちを落ち着かせてください。」
吉岡「ありがとうございます。」
冴島「昨夜の火災の件も、科学的に説明がつかないでしょうから、法で裁くことも出来ないでしょう。」
吉岡「・・・法で裁けなくても・・・俺は・・・」
冴島「あなたが友達に火をつけてしまったことは事実です。でも、それはあなたの責任ではありません。あまり自分を責めないことです。」
吉岡「・・・お見舞い・・・行ってきます。」
冴島「えぇ。」
吉岡「あの、お茶・・・ごちそうさまでした。」
冴島「いえいえ。」
吉岡「失礼しました。」
渡「・・・なんか彼・・・ころころ雰囲気変わりますね・・・」
冴島「昔の彼の姿と短気になってしまった今の姿。突然の変化で色々と内面的な部分が不安定なんでしょ。お茶で落ち着きを取り戻して一時的に昔の姿に戻った感じかね?」
渡「友達と・・・仲直りできるといいですね。」
冴島「それは無理だろうな。」
渡「え?」
冴島「恐怖って言うのは簡単に取り去れるものじゃない。炎に包まれた友達は、恐らく吉岡くんに恐怖を感じてる。それこそ怪物を見るような目で見るでしょ。今まで通りに仲直り、とそう簡単にはいかないだろうな。」
渡「そんな言い方・・・だったら先生の力で仲直りさせてあげてくださいよ!」
冴島「渡君。安易に能力に頼るのはやめてください。これは吉岡くん自身の問題です。それはそうと、お茶おかわり。」
渡「ご自分でどうぞ!」
冴島「・・・どんなものにも限界はあるんですよ・・・それが例え未来を操る力であっても・・・」
渡「吉岡くんが傷付くってわかってて見送ったんですか?」
冴島「受け入れなければならない現実ですから・・・逃げていても・・・いつかは向き合わなければならないときが来る。それなら早い方がいい。超能力者となった自分と、世間での自分のおかれた立場・・・それと向き合う心の強さ。」
渡「だって、彼まだ21歳ですよ?まだ若いのに・・・友達から怪物みたいに見られるなんて・・・そんな悲しいこと・・・」
冴島「人は、自分達の常識から外れたものを認めることを拒む。それどころか自分の視界から消し去ろうとする。誰もが平凡な普通を望んでいるんです。少数派の能力者達は偏見や差別でこれから迫害されることも覚悟のうちに入れておかなければならない。」
渡「迫害って・・・」
冴島「そういうことから能力者を救ってあげるのが私達の仕事です。」
渡「・・・救うって・・・友達無くしたり、能力の代わりに何かを無くしたり・・・悲しいことばっかりじゃないですか・・・」
冴島「まずは・・・自分の能力自体を受け入れること。能力の代償についても、「何かを失った」と考えるか、それとも「新たな何かを得た」と考えるか・・・ようは感じ方の違いですよ。」
渡「新しい何かを得たって・・・超能力を得たってことですか?」
冴島「違う違う。例えば吉岡くん。彼は「以前の穏やかな性格」を失った。それを彼は「以前は少しのことなら我慢できた」と表現してたでしょ。穏やかだったのは、相手の意見を黙って聞いて我慢していたから。だから喧嘩にもならない。でも、今の彼は違う。きっと自分の思いを素直にハッキリ言える人間になった・・・って考えると、どう?」
渡「けど、それじゃ自分の意見ばっかり主張する自己中って言うか・・・」
冴島「そこは本人が細かいところをコントロールするしかないね。何かを失ったと言っても、結局最後は自分次第。それは超能力者も、そうじゃない人も同じことだと思いません?」
渡「はぁ・・・」
冴島「まぁ、今回は失ったのが性格的な部分だったから言えることですがね・・・」
渡「なんか言いました?」
冴島「いいえ?」
渡「はい。お茶どうぞ。」
冴島「あれ?自分で入れろって言ってたくせにいれてくれたんだ?」
渡「あ!そう言えばいつの間にか・・・先生?能力使いました?」
冴島「渡くん。私は日常生活で安易に力を使うことは好みません。」
渡「・・・じゃぁなんでだろう?」
冴島「さぁ?・・・・・・あとは、吉岡くん自身が現実を受け止めきれるかどうかだね・・・」
渡「・・・」
冴島「それともう一つ。新しく得たものに気付いてくれるかどうか・・・」
渡「その手助けはしないんですか?」
冴島「今はまだ・・・ね?自分で気付くことに意味があるから・・・」
渡「あ。電話。・・・はい、こちら特異体質科。・・・え?」
冴島「どうしたの?」
渡「吉岡くんが!」
~数時間後~
冴島「また派手に炎使ったみたいだね?」
吉岡「・・・ポプリいただいたのに・・・」
冴島「あんまり役に立たなかったかな?」
吉岡「そんな・・・すいません・・・」
渡「お茶どうぞ。」
吉岡「ありがとうございます。」
冴島「・・・友達とは仲直りできなかったみたいだね?」
吉岡「はい・・・」
冴島「それどころか、怪物と罵られたんじゃないですか?」
渡「先生!!」
吉岡「俺は・・・ほんとに怪物ですから・・・」
渡「そんなことない。吉岡くんは怪物なんかじゃない。」
冴島「吉岡くん?自分が超能力者になったこと、どう思う?」
吉岡「どうって?」
冴島「幸せか不幸かで言ったらどっちかな?」
吉岡「・・・不幸です。」
冴島「そっか。遺伝子的に見ると憎むべきは君の両親かな?君を特異体質に産んでしまった。そのせいで君は・・・」
吉岡「違う!父さんも母さんも悪くない!二人がいなかったら、俺は産まれてくることすらできなかった。むしろ感謝してます。だから、誰のせいでもない!」
冴島「あれ?怒鳴ってるのに何も燃えてない・・・怒ってるわけじゃないみたいですね?」
吉岡「え?」
渡「そういえば・・・熱気もない・・・」
冴島「ただ苛立つことと、自分の意見をハッキリ言うことは全然違う。君は短気になってしまっただけだと思ってるかもしれないけど、ほんとはそれだけじゃない。」
吉岡「どういう意味ですか?」
冴島「単に怒っただけだったらもしかすると、また何かを燃やしてしまっていたかもしれません。でもさっきは何も燃えなかった。あなたは心から両親の事を想い自分の気持ちを素直に話した。それは怒りであって怒りじゃないんです。」
吉岡「だって・・・ほんとに親のせいなんかにしたくないから・・・」
冴島「これで、怒っても力が発動しないこともあると、わかってもらえましたか?」
吉岡「はぁ・・・でも、普通に怒ってしまったらまた力を使ってしまうんですよね?」
冴島「・・・さっきの感情と、友人との口論の時の感情。同じ怒りでも、なにか君の中で感覚の違いはあったはずです。それが能力を発動させるスイッチ。」
吉岡「違いと言われても・・・正直わかんないですけど・・・」
冴島「それを、これから時間をかけてつかんでいきましょう。そうすれば、力のコントロールもできるようになりますから。」
吉岡「はい。・・・」
冴島「不安ですか?」
吉岡「いや・・・まぁ正直。」
冴島「一瞬、不安を隠そうとしましたね。けど、素直に言ってくれた。我慢すべきことと、一人で抱え込むことは違います。吉岡くんは、必要以上に一人で抱え込む性格だったんじゃないですか?我慢強さを失ったのはむしろ良いことだったのかもしれませんね。・・・まぁ会ったばかりで私は君の事をよく知ってるわけじゃないので、単なる推測に過ぎませんが。」
吉岡「大体当たってますよ。・・・けど、ハッキリ意見を言うか・・・昔の俺にはできなかったことだな・・・」
冴島「我慢することなく、自分の気持ちを素直に相手にぶつける。あなたはそういうことが出来るようになったってことです。ほんとは自分でこのことに気付いてもらいたかったんですが、君の力は少々危険ですからね。少し手を貸してしまいました。すいません。」
吉岡「いえ。ありがとうございます。」
冴島「んじゃ、お茶とポプリ。役立つかわかりませんが、また持ってってください。」
吉岡「はい。」
冴島「また都合のいいときに来てください。」
吉岡「じゃ、お世話になりました。」
冴島「はーい。」
渡「帰しちゃって大丈夫ですか?・・・また暴走しちゃったりしませんかね?」
冴島「んま、しばらくは大丈夫でしょ。・・・あ・・・そういえば友人の件を忘れてた・・・」
渡「噂拡がったら、吉岡くんまた傷ついちゃうな・・・」
冴島「拡がらないことを祈るしかないね。」
渡「祈るね・・・それしか出来ないのか・・・」
冴島「・・・未来の鍵は・・・この手に・・・」
渡「え?」
冴島「渡くん。お茶のおかわりー。」
渡「はぁ・・・何杯飲むんですか・・・」
冴島「・・・あ。電話。渡くーん?電話電話。」
渡「手空いてるんだったら先生が出てくださいよ!」
冴島「吉岡くんのカルテ書かないといけないからさ。」
渡「あー!もう!!はい、特異体質科です。・・・先生。」
冴島「なに?」
渡「新しい患者さんです。」