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よくわかってない
翌朝、オレは昨日の出来事が夢ではないことを再認するかのように飛び起きた。
質の悪い夢を見ていた。ゆっくりと深呼吸をして、落ち着かせる。
到底飯を食える状態ではなかったけれど、それでも何かを食わなければ。そう思う一心で、台所にあったパンを一枚、胃袋に押し込んだ。と言っても、仕事をするのにはまだまだ早い時間だった。
特に何も持たずに楽な格好で街をぶらついていた。
何かしたいわけでも、何か買いたいわけでもないけど。今のオレには過ぎていくものだけが重要だった。
ポケットに入れいている携帯が震えた。
オレはすぐに人通りの少ないわき道に入る。かけてきた相手の名前は上司で登録されていた。電話をとる。
「二時くらいに集まって~、じゃ」
そう言ってすぐに切られる。あっけにとられていて、数舜だけオレは電話から発せられる機械音を聞きながら話を整理する。
かけてきた相手は昨日知り合った職場の上司。女性で少し雑な性格だったと記憶している。そして話の内容は十中八九、仕事の事だろう。
現在は十二時半、今から家に帰って飯を食う時間はまだまだある。
2時に差し掛かろうとすころ、オレは地下のバーへ向かった。
ドア前でノックをしてガチャ、と鍵の開いた音が聞こえ、中から昨日のバーテンダーが出迎えてくれた。
「さ、もうほとんどそろっています。後は彼だけですね」
人懐っこい笑顔を見せながら、中へ案内してくれる。
よく考えてない