長い長い物語 1
これは、昔々の遠い昔の、人間が生まれるよりもさらに昔の、とてつもなく昔の話です。
…そうですね、地球というこの星ができてから間もない頃の話です。
地球が誕生するとほぼ同時に誕生した、星・大地・水・風の四つの概念があり、それぞれが共に助け合いながら共存していました。
…ああ、概念というのは、イコールで精霊だと考えていただいて結構です。
最初の数日感は、とても穏やかで心地の良い日々でした。
でも、それはある日のこと、ほんの一瞬の出来事でした。
どこからともなく、ある巨大な隕石が地球に降ってきました。
その結果、風は遮られ、水は飛び散り、大地はえぐられ、星は傷つき、莫大な被害を受けることとなってしまいました。
四つの概念たちは、もうこんなことはあってはならないと思い、みんなで協力して、自分たちを確実に守ってくれるような生命体を、この地球上に生み出しました。
…その生命体こそが〝精華〟なんです。
その生命体は文句の一つも言わず、確実にみんなを守ってくれていました。
それから数百年たったある日、水の中に、何らかの生物が現れました。
…後に〝魚〟と呼ばれるようになる生物です。
心が寛容な水の概念は、その生物のことを〝水の一部〟だと受け止め、水という概念に書き加えてやることにしました。
それからまた数百年たったある日、大地に何かが生えてきました。
…そう、〝植物〟です。
そこまで心が寛容ではなかった大地という概念は、植物を〝大地の一部〟だと受け止めきることができず、
「水の中にいる生物が勝手にこっちに侵入してきたんだ。私にこんなものをどうにかする責任はない。…元はといえば、ガードが緩い水のせいだろう」
と言って反抗したり、
「そうだ。前に落ちてきた隕石のせいだ。あの隕石と一緒にこの種も落ちてきたんだ。たぶん…ううん、絶対にそうだろう。だから私は、水みたいにこれが〝大地の一部〟とか言って無理にでも受け止める必要性も感じないし義理も義務もない」
と言って責任を他の誰かに押し付けていました。
その結果、〝植物〟は、星などという概念と同じように、単独の概念としてこの地球上に存在する運びとなりました。
そして、四つの概念たちと同じように、あの生命体に一緒に守ってもらうことになりました。
それからまた数百年たったある日、水の周りに何らかの生物がいることを発見しました。
…つまり、〝虫〟です。
もう大地という概念には受け止めてはもらえないだろうと思い、その他の星・水・風・植物で話し合いをし、植物の概念と同じように対応するということに決まりました。
そして、同じように、あの生命体に守ってもらうことになりました。
その次に、音・霊・動物・鳥という四つの概念が誕生していき、地球はだいぶ賑やかになっていきつつありました。
前と比べて賑やかで明るくなったので、概念たちは嬉しくなった半面、新しく誕生してしまった存在たちをどのようにすれば良いのか、考えているのが面倒くさくなってしまったので、もう全てを概念として認めようということに決定されてしまいました。
そして新たに加わった四つの概念も、あの生命体に守ってもらうことになりました。
そんなある日のことです。
地球中に、大きな爆発音のようなものが轟きました。
空はたちまち灰色の煙で覆われていきます。
空からはたくさんの石と白っぽい細かい砂のようなものが降ってきています。
空にある濃い煙の先をたどって行くと、やがて大きな山にたどり着きます。
この時、他の概念たちには〝山〟の存在は十分に知られていました。
ですが、山の下には〝マグマ〟があることや、〝噴火〟という現象については、全く知らされていませんでした。
たったふたり、それを知っている概念がいました。
〝大地〟と〝火〟です。
大地の概念は、山の下にある〝マグマ〟の存在や〝火〟というものがあることを、他の概念たちに隠していました。
今までは地上に生物はいなかったのでなんとか隠すことができていましたが、植物・虫・動物・鳥という概念が誕生してしまったことにより、火山灰などが降り積もってしまうと、それらに悪影響矢損害やダメージが大きく出てきてしまったことで、もう概念たちには隠し通すことができなくなってしまいました。
その後、話し合いの場が開かれ、今まで隠していたことへの謝罪と、自分が知っている限りの詳細を、大地の概念は伝えました。
そしてその話し合いの結果、大地の概念が伝えてくれたことを他の概念達にも伝えることと、新しい概念として〝火の概念〟が加わることになりました。
それから、「こちらも、君になんの相談もせずに物事を進めてしまっている時が何度か会った。…だから、すまない。許して欲しい」と逆に謝られてしまった後に、「…これで、お互い様だ」と、みんなで笑いあいました。
ちなみにだが、火の概念もあの生命体に守護してもらうことになったらしいです。
あの生命体は、「山が噴火したことで数多の概念へのダメージを受けさせてしまい、申し訳なかった!」と被害を受けた概念たちに謝罪したら逆に功績を讃えられてしまい、「あれを止められなかったのはしょうがない」と言われて水に流されてしまいました。
そして、一人でこんなに多くの概念たち守らせてしまうのはあまりにも酷すぎとでも思ったのか、記念品として、みんなが一人ずつ小さな生命体を作り出し、それをあの生命体へとプレゼントすることになった。
あの生命体は、なんだか申し訳なく思い、もっと頑張ろうと心に誓いました。




