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地球の原材料  作者: 海那 白
情報
39/72

救助要請

 その後、しばしの重い沈黙があったが、その沈黙を再び破ったのは、火菜くんではなく霊子くんだった。


「…そ、そそっ…そういえば情!「水樹の仲間たちに会った時にみんなにお願いしたいことがある」とか言っていなかったっけか?」


 そ、それ、君が言い出すのか…。

 まあいいや。ちょうど機会を作ってくれたわけだし、遠慮なく利用してやらなくてはいけないなっ!

 でもこれを行ってしまった後、しばしの間、僕が僕ではなくなってしまう。

 そうなってしまうのが、僕は怖い。怖くて怖くて、怯えてしまっている。

 どうしよう。手足の震えがさっきから止まらない。

 しかし、僕はこの時のために生きてきた。

 だから僕は、今すぐにでもこの使命を果たすため、ある言葉を言い、ある契約をしなければいけない。

 怖い、怖い。怖くて、たまらない。

 もし本当のことがバレてしまったら、絶対に嫌われてしまう。軽蔑されてしまう。

 でも、言わなければならない。

 勇気を出せっ!僕っ!

 いざっ。


「あ、あのっ、僕っ、みなさんにお願いがありますのだっ」


 どうしよう。さっきより動機が激しくなっている。

 どうしよう。さっきより心拍数が上がっている。

 …そっか。僕は今、緊張しているんだ。

 これが、「緊張」という感情なんだ。

 …って、「そっか。」じゃないっ。

 そんなことを言っている場合じゃないんだっ。

 落ち着けっ。ひとまず落ち着けっ。とりあえず落ち着けっ。

 落ち着いて、落ち着いて続きを話せっ。


「ぼっ、僕の友達と僕を、助けてくださいませんか?なのだっ!」


 言った!僕は言ってやった!

 でもこれが、僕と僕以外の人にとっての恐怖の始まりだ。

 戦場に例えるなら、さっきの僕の言葉は開戦のラッパだ。

 みんなの方をチラリと見てみると、戸惑ったような顔をしていた。

 そんな中、花乃くんが口を開いた。


「あの…すまんが、何をどう助ければ良いかを教えてはくれぬか?」


 ご、ごめんなさい。


「お、お願いだからっ…何も聞かずに、助けてくれるかを答えてほしいですのだっ。お願いしますのだっ」


 最初はみんな不思議そうな顔をして見つめ合っていたが、少しすると、「困っているなら助けてあげなきゃだよねっ!」とでも思ったからか、みんなで目配せして同じ気持ちか確認し、最後に花乃くんが口を開いた。


「…分かった。助ける」


 そう言ってくれたことの嬉しさに、ついつい顔がほころんでしまう。


「…ありがとう、ございます…なのだっ」


 あまりの嬉しさに涙までもが出てきてしまいそうになるが、それはなんとか直前で止めることができた。

 僕は、今から少しの間、僕ではなくなってしまう。

 僕はそのまま、強制的に目を閉じさせられてしまった。

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