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騎士団長と私と副団長と

騎士団長の愛妻弁当を、副団長が毎日自慢してくるんだが

作者: ねこぼし




「わー、美味しそうなお弁当だー」



お昼時、いつもの公園でお昼ご飯を食べていると隣のベンチから声がした。

そっちを見れば、副団長が騎士団長の膝に乗る弁当を見ている。

大袈裟に手振り身振りで美味しそうだと叫ぶ副団長。そしてチラチラとこっちを見ている。


最近、騎士団長の告白現場に会っていない。つまり告白しなくて良くなったという事だ。そして騎士団長と副団長が毎日、昼休み時に現れるようになった。これはつまりあれだろう。騎士団長よかったね。



「ん?こ、これは黒い豆かな」



「違う、肉だ」



「そ、そっか、じゃあこれは黒い……草かな」



「違う、野菜炒めだ」



私は彼らから視線を外して、昼ご飯を食べ続けた。私が食べ終わるまで隣から幸せそうな声がしていた。





ーーーーーーー☆





「わー、お、美味しそ……オエッ、お弁当?」



今日も昼ご飯を食べていると、騎士団長と副団長がやってきた。しばらくすると何やら変な臭いがする。酸っぱいような甘いような辛いような、変な臭いだ。



「どうした?」



「う、今日の弁当…何この色」



「あぁ、体にいいものを全部煮込んだ。これなら……」



「くっ!これは、絶対に彼女には食べさせられない!」



周りが鼻を押さえて立ち去っていく。私も臭いに耐えきれず席を立ち、隣をチラっと見てみた。

愛妻弁当を掻き込む副団長がいて、騎士団長がそれを止めようとしているのを見ながら私は仕事場に戻った。





ーーーーーー☆





今日も昼ご飯を食べながら本を読んでいると、誰かが近づいて来るのに気づいた。顔を上げると騎士団長が立っていた。その手にはお弁当箱がある。しかも近くには副団長がいない。



「えっと、こんにちは」



「………」



とりあえず挨拶してみると、騎士団長は眉を寄せて私を見下ろしてくる。どうしたんだろう?私の手作り弁当を見ている。



「団長!?また、いきなり何やってんの?」



ふらふらとした副団長もやってきて、私の弁当を見た。副団長が倒れたとか、昨日噂が流れてたけど大丈夫かな。

副団長はジッと弁当を見ていたが、泣きそうな顔になった。



「美味しそう……、ここ最近まともなお昼ご飯食べれなかったし、午後は毎日腹痛だし、本当に美味しそう、いいな食べたい」



「美味しそうだと?」



副団長の言葉に騎士団長は怒ったように低く呟いた。ここで喧嘩になっても嫌なので、私は恐る恐る自分の弁当を差し出す。



「あの、いつも美味しいって言ってましたよね?私も食べてみたいので、良かったらおかず交換してくれませんか?」



副団長が愛妻弁当より美味しいそうだから食べたいというのは、騎士団長が怒るはず。だから私が食べたいって言えばいいよね?



「え!いいの!交換します、お願いしま……いやちょっと待って。団長、今日のお弁当の中身見せて!!」



副団長は騎士団長から弁当を奪うと中身を確認してから固まっている。どうしたんだろう。



「え、えっと、黒色と紫色のもの以外でなら交換出来ます」



愛妻弁当を見せてもらうと、弁当の中身はほとんど黒かった。黒くない紫じゃない食べ物は……、この赤い木の実かな。皮ごと食べられるし、甘くて美味しいんだよね。でもこれ手作りじゃないかも。



「これください、それで副団長はどれにしますか?」



「あ、俺は「この黄色いやつ」



副団長の言葉を遮り、騎士団長は手掴みで卵焼きを取るとそのまま口の中に入れてしまった。



「だ、団長!!!ずるい!俺が食べたかったのに!!」



「これを食べればいいだろう」



騎士団長は愛妻弁当を副団長に渡していた。



「やだっ!」



「お前が食べたいって言ったんだろ、だから仕方なく……俺は本当は…」



「言ったけど、今日は普通のご飯が食べたいの!!」



結局、喧嘩しだした2人から逃げるように私は仕事場に戻った。なんか私のせいかもしれないけど、ごめんなさい。





ーーーーーー☆




次の日、お詫びとしてお菓子を作ってきた。お昼時、騎士団長を見つけて私は駆け寄った。



「あの!騎士団長」



驚いたように騎士団長は振り返り私を見た。



「すみません驚かせて、昨日の事謝りたくて…私のせいで副団長と喧嘩になってしまって、すみません」



「気にするな、向こうが勝手に怒ってるだけだからな」



だとしても、恋人と喧嘩するのって悲しくないかな。



「それで、その…これお詫びです」



騎士団長って甘いのとか好きなのかな。渡しといて心配になってきたと思っていたら、騎士団長は受け取ってくれた。



「ありがとう」



いつも怖い顔の騎士団長が、笑った?

私が騎士団長の顔を見ていると目があった。



「……好き、なんだ」



騎士団長はそう言って俯いた。その視線の先は、私があげたお菓子だった。



「良かった、甘いもの好きなんですね」



「………」



ホッとして私はもう1つお菓子を渡す。



「あとこれ、副団長の分です」



「副団長だと?」



いつもの怖い顔になった騎士団長に私は慌てた。



「あ、あの変な意味は無くて!えっと、副団長って優しいですよね!そんな方とその…恋人同士って素敵だと思います。では、失礼します」



そう言って私は頭を下げて仕事場に戻った。焦って変な事言ってしまった。



「団長!見てたよ!良かったね、お菓子貰えて」



何処からか副団長が騎士団長に近づく。しかし騎士団長はピクリとも動かない。



「………」




「団長?」



「彼女がお前の事を優しいと、恋人同士になれたら素敵だと……」



「え?そんなこと言ってた?多分、あの噂の…いやなんでもない」



まだ噂の事は言えない。誰が言い始めたのかそれを突き止めないと、とばっちりがこっちに来ると思い副団長は誤魔化した。



「しかも、お前の分もお菓子を渡してきたぞ!どういう事だ!!」



「ま、待って!勘違いだよ!」



この日騎士団長と副団長が痴話喧嘩していたと、街中で噂される事になった。




お昼は弁当作ってきたり、買って来たりしている。いつも公園で昼飯を食べている。今後は2人の邪魔にならないように、気をつけようと思っている。



騎士団長

告白が毎日失敗したので、今度は胃袋を掴むと言って、弁当を作って私に渡そうとしていた。今まで弁当どころか、料理すら作ったことは無い。貰ったお菓子は大事に食べた。美味しかった。ちなみに副団長には貰ったお菓子をあげなかった。



副団長

騎士団長が、弁当の姿をした危険物を私にあげようとしていたので、体を張って阻止した。そのかわり、自分達の存在を私にアピールしてみたが、結果的に騎士団長と出来てる噂が広まった。



愛妻弁当

いつも焦げているか、異臭を放っている。愛はいっぱい入っている。





読んで頂きありがとうございました。

前回は沢山の人に読んで頂き嬉しかったです。評価、コメント、ブクマありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] だw んw ちょw うwwwww そこで胃袋掴みに行こうっていう発想とチャレンジ精神がすばらしいです!!! [気になる点] 副団長の自己犠牲がいつか報われるか [一言] つづきがよめてう…
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