第一章 再会 肆話 駄勇者
少し遅れてしまって申し訳ございません。ブックマーク2000人ありがとうございます!
勇者。
どんな人にも助けの手を差し伸べるそんな勇敢な人物。
その姿に俺は憧れた。
だからこそ、その憧れの存在と相対している状況が非常に相応しくない。緊張で胸が張り裂けそうなのだ。
「やはりこうなってしまいましたか.....」
「い、いや...だ、だって勇者だぞ? お、俺そ、そのあ、憧れでした!!」
俺はついつい握手を求めてしまった。まずい自分で自分が止められそうにない。
「ショックですよ、こんな疎遠な感じの対応.....」
「あっ...! す、すまない」
俺は寂しそうにしているファルを見て自分の過ちに気づいた。
「大丈夫です.....けど.....」
「.....けど?」
顔から湯気が出ているんじゃないかと疑うくらいに顔を真っ赤にしたファルに、俺は胸をキュンとさせられた。
「だ.....だき...............い」
「ご、ごめん。よく聞こえなかった」
俺の言葉が引き金となりさらに顔を赤くしてしまったファルだが、その姿にすら胸をキュンとさせられれしまった。
「~~~~!! 抱きしめてくださいって言ったんですよ!!」
俺は鈍感主人公ではないので、ファルがどうしてこんなことを言うのかは理解できている。
先ほどまで見せなかった女の顔に俺は今日何度目かわからないこの思いに駆られた。
「ほら、おいで?」
俺は準備完了したことをファルに知らせた。
「ぎゅ~~~っ!もう大好き♡愛していますフウリ様♡」
語尾にハートマークがついているのではないかと疑うくらいの甘い声で俺に抱き着いてきた。
「は、はははは」
俺は乾いた笑いしかできなかった。
正直こんな美少女に告白されるのは嬉しいが、状況があまり整理できていない今に答えを出すのはあまりにもファルに失礼だと思っているのだ。
だからこそ、俺はしっかり考えて答えを出さなくてはならない。
「それにしても勇者だったなんて、驚いたよ」
ファルとの抱擁があったおかげか、先ほどのまでの緊張がなくなっていた。
「はいっ、あっ...でも、私の勇者はフウリ様ですよ♡」
あれ? もしかしたらこの子...........いや、でもまだわからない.....よな?
「勇者だなんてかっこいいなー」
「ありがとうございます、あっ...でも、私は今フウリ様がカッコよすぎて眩暈が起きています♡」
間違えない、この子...............ダメな子だ!!
「こ、これからのことを教えてくれ」
なんか恥ずかしくなってしまった俺は、話を逸らすため話題を変えた。
「はい、まずは私とフウリ様の愛の巣であるこの屋敷でフウリ様と私が一緒に寝ます。あっ...でも、いや...寝るってそういう意味ではないですよ!? でも、いつかはそういう関係になるんだし...今からでも..........ふふふふふ」
「おーーーーい、もしもーーし」
自分の世界に入ってしまったファルを置いて俺は部屋を出ようとした。いや、お花を摘みに行こうとした。しかし、悪魔の手..........ファルによって遮られてしまう。
「どこに行くのですか? 私を置いてどこに行くのですか? あーー、まさかもう浮気ですか? 私の体に飽きてしまったのですか? 確かにまだ私とフウリ様は深い部分で交わっていませんよ? ですが、これから交わるではないですか? それなのに...それなのに!! 誰ですか私の愛しのフウリ様に色目を使いやがったメス豚は! 今すぐその首を落としてやる!!」
もしかして、この子
暴走機関車?
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