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第一章 再会 プロローグ2

これが最後のプロローグです! ブックマーク150人ありがとうございます! 日間ランキング50位ありがとうございます!

 俺はとにかく進んだ。声のしたほうにとにかく進んだ。


 俺に何ができる? そんなことは考えていなかった。体が勝手に動いていた。


 森を抜け、広い草原が出てきた。そして、






 俺は衝撃を受けた。






 少女4人に相対していたのはS級モンスターである黒竜であった。


 黒竜は、伝説の存在として『勇者歴伝』に載っており、勇者が死闘の末倒したと書いてあった。俺は、実際に黒竜を見たことはないが、肌の色や、他のモンスターとは格が違う殺気の強さ。


 間違えない、黒竜だと確信した。今にも襲われそうな少女4人、俺のスキルなら彼女たちを助けることが出来るんじゃないか? 俺なら、あの伝説の黒竜を封印することが出来るんじゃないか?


 いや、馬鹿なことはやめろ! 俺には邪神を封印するという使命を創造神様から授かったのだ。ここで使ってしまったら、桁が違う犠牲者が増える。


 俺は、一瞬悩んでしまった。このスキルを使うかどうかに。


 そして、黒竜の爪が彼女たちに向かって振り下ろされた。


「きゃぁああああ!!!!」







 【封印】





 

 俺は彼女たちの前に立ちスキルをしようした。俺が憧れた勇者は助けを求める人誰に対しても救いの手を差し伸べるそんな姿だ。俺は何て馬鹿なことを考えていたんだ。俺は自分のスキルを失ってもいい。だから.....だから.....












 彼女たちを救ってみせる










◇◇◇


「おい! さっさとしろよゴミが!!」


「す、すいません」


 村一番の金持ちであるブッグが頬を殴ってきた。スキルをなくしてから5年。黒竜を封印した後、4人の少女を都市、いわゆる王都というところまで送った。3日間の旅になったが、彼女たちは俺に対して随分懐いてくれた。


 俺には妹などがいなかったため、妹が出来たようにも感じた。そんなことも束の間、別れの日、


「やだぁ! お兄ちゃんも一緒にいる!!」


「嫌です! 離れたくありません!」


「..........やだ!」


「嫌ですわ! 私はフウリがいないと耐えられませんわ!」


「ミナ、ファル、カノン、ローラ。みんなは俺と居ては不幸になってしまう。みんなはそれぞれに待っている華やかな人生を存分に楽しみなさい」


 4人は泣きながら抱き着いており、しばらく引きはがすことが出来なかったが、それぞれの両親と俺の協力で何とか引き剥がすことに成功した。


 泣きながら、抗議してくる4人に対して俺は、振り返らなかった。振り返ってしまったらまた戻りたいと思ってしまうからだ。彼女たちとの3日間は俺にとってもかけがえのないものとなっていたのだ。


 今は村で唯一の奴隷として、人糞や尿の処理、また探鉱に行き、『緑石』という冒険者や騎士たちには誰もが必要となる剣の素材の一部を毎日取りに行ってはブッグに渡している。


 もちろん、俺には金は入らない。だが、俺は、後悔していなかった。俺の行った行為は決して後悔するものではなかった。逆に誇りを持っている。4人の命を救えたのだから。そのためだったらこんな生活は屁でもない。しかし、


「邪神が復活したぞぉおお!!!」


 村には聞きたくもない言葉が流れた。邪神、創造神様すら恐れていた怪物が復活してしまったら、この世界は終わってしまう。


「おい、てめぇはここに残って、足止めでもしてろ!」


「そ、それはできない! 俺が死んでしまうではないか!」


「お前の命なんか誰も惜しみやしねぇんだよ! だから、さっさと囮になれや!」


 ブッグはそう言い、俺の足を切った。


「ぎゃぁああああ!」


「じゃあな、スキルなしのゴミさんよ」


 ブッグはそう言い残し、馬に跨り去っていった。一応、足は繋がってはいるが、おそらく歩くことは不可能であろう。






「グオオオオオオオオオオオオオ!!!」





 忌々しい雄たけびが村中、いや、大陸に響いた。


 その雄たけびを聞き、目の前をみると、山よりもはるかに巨大な黒い物体が俺の目の前に広がっていた。






『死』






 その言葉しか俺には浮かばなかった。逃げようとも思わなかった、黒竜とは比較にならないほどの殺気に俺は気絶しそうにすらなっていた。


 しかし、俺の前にいた黒い物体もとい邪神はいつの間にかいなくなっており、俺の目の前にはとって代わって4人の女性が立っていた。


「邪神なんてたいしたことないのですね」


「..........雑魚認定」


「貴方たちなんて必要じゃなかったのよ」


「そんなこと言っちゃダメだよ!」


 俺は目の前の女性たちに対して、なぜか懐かしさを感じた。


「お兄ちゃん!」


「わぁ!」


 急に1人の女性が俺の顔の真ん前に出てきて、驚いてしまった。いや、待てよ.....お兄ちゃん?ま、まさか!


「ミナなのか!?」


 そう、5年前に救った1人の少女の名前を俺は口にしていた。


「そうだよ! お兄ちゃん!!」


 そう言って、ミナは俺に抱き着いてきた。


「会いたかった.....ずっと会いたかった」


「ミナどきなさい! わたくしのフウリです」


「.........誰もあんたのフウリとは言ってない」


「醜いですね、ローラ。フウリ様は私のですけど」


「はぁ!? 偉く出たわねファル、殺されたいのかしら?」


 この名前にこの口癖、まさか!


「ローラにファルにカノンか!?」


「覚えててくれたのですね! フウリ様♡」


「当然ですわ!」


「..........大好き」


「あぁ、当たり前だ......ってはぁ!?」


 俺とこの4人との出会いが世界を大きく変えてしまう出会いであることはまだ誰も知らない。



 



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