吸血鬼と森の廃墟
吸血鬼と森の廃墟
検証の結果、おそらく強い。ということが分かったわたしは、
「・・・フフフ」
調子に乗って探索の続きをすることにした。
2階があることが分かったのでそのまま2階の探索へ。
1つ目の部屋
ガレキ、だけ。何か使えそうなものとかも無し。何に使う部屋なのかもわからない。
2つ目の部屋
瓦礫、 だけ。やっぱり使えそうな物も無し。1つ目の部屋と同じ間取り。
3つ目の部屋
がれき、だけ。使えそうな物どころか屋根すら無くなっている。
4つもの部屋
ついにガレキどころか床すらなくなった。なんだこの屋敷
5つ目の部屋
4つ目の下、やはりガレキだらけでいいものもない。
「なんで、何もないんだ・・・」
転生直後のスタート地点としては最悪では?転生前の私は何をしたんだろうね?
などと天を仰いでいると、
「なんだあれ?」
この暗闇でもよく見える私の目が、窓のふちに何かを見つけた。上のふちだ。これは、煤?
私は外に出た、そして理解した。
相当な火災だったのだろうか、残っている窓という窓から大量の煤が立ち上っていた。よく見てみれば、下には外壁か何かの燃えカスが積みあがっている。
探索しても何もないわけだ、すべて燃え尽きたのだろう。本当に最悪のスタート地点だね。
・・・
本当に全部燃えたのか?火は上に燃えていくはずだ。なら、下は?
こんな大きな屋敷なんだ、地下の一つや二つあるかもしれない。
「探索続行だね」
空が白み始めたころ、わたしは入り口を見つけた。
「まさかこんなところにあるとはね」
そこはエントランス、あの豪華な階段の下だった。
中央の踊り場、その瓦礫の下にそれはあった。ほかの石畳のタイルのように偽装してあったようなのだが、長く放置されすぎたのか、その部分だけタイルの色が変に違ったのだ。
そして、ここの主人は火事の後でも見つからないようにしたかったらしい。この崩れた踊り場、支えの柱が木で出来ていたようだ。燃えカスが変に多い。
「これは、いいものがありそうだね!」
わたしは、タイルを引っぺがしてその下の梯子のようなものを降りて行った。
そこにあったのは研究室のようなところだった。
地下の部屋なのに壁にある電灯のようなものでぼんやりと明るい。電灯というか宝石?光る宝石だろうか。
部屋の中にはいたるところに本が並び、ホコリを被ったガラスのような容器が並んでいる。
そして部屋の真ん中には、
「何このでっかい釜」
人が一人入れそうな釜がある。表面には金と掘り込みで模様が刻まれている。なんか高そうだね。
周りにはたくさんの本が詰め込まれた本棚らしきもの。本の名前はよくわからない図形が並んでいる。この世界の文字かな?
わたしはその知らない文字の本を手に取り、
「”カーナ地方の魔法草図鑑”」
題名を読んだ。
カーナ地方ってどこだよ。というより、何で読めたし
あれか、転生特典の自動翻訳とか、そーゆーやつか。
まさかと思い、地面に”カーナ地方”と書いてみた。記憶にある、日本語だった。
「自分で覚えろと?」
勉強は嫌だったので(めんどくさいし)どーにかこの世界の言葉を書けないか頑張ってみよう。
意外と簡単にできた。
この世界の文字を思いながら書くと、この世界の文字に。
日本語を思い浮かべながらだと、日本語に。
・・・ちなみにロシア語を思いながらだとロシア語で書けた。
ついでに普通に読めた。前世に欲しかったな、これ。
つまり、このたくさんの本は全部読めるだろう、ということ。
つい、読みたくなるが、先に探索を済ましてしまおう。残りは少なそうだし。
でもこんなのが沢山あるなんて
「実は最高のスタート地点だった?」
ほかには隣に仮眠所?らしきところ(ベットだったものと簡単なキッチン?)、何かよくわからないモノが詰め込まれた部屋、そして
「なんだここ・・・」
牢屋っぽいところ。
何かの、動物の死骸、完全に腐りきって骨しか残ってない。
蛆も虫もいない。相当長く放置されていたんだろうか。
オオカミとかウサギっぽいもの、さっきの熊らしき骨も、一番多いのは
「人間かなぁ、この骨」
多分人骨、だとおもう、そんな骨。
「やっぱり、最悪なスタート地点だわ」
最悪なのはスタート地点だけであってほしいね。
左右に続く牢屋、その中に結構な数の骨。通路に真ん中に何かローブのようなものを着た、1人分の骨。この部屋の主だろうか?
通路自体は行き止まりだったので、そのまま折り返して探索続行。
また別の部屋を見つけた。ここは・・・書斎?
いくつかの本が並んだ小さな本棚。そこに並んでいるのは、
「”ジーノ・ロンドの研究録”」誰だよ
まあ、この研究室の住人だろう。たぶん。
まだ丈夫そうな椅子があったので、そこにかけて読んでみることにした。8巻ぐらいあるけど。
まだ裸ですがエロさはないです
着るものがないだけです