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『赤瞳の戦姫』~転生したらオークに拾われました~  作者: オオノギ
幼少期 第一章五節:生誕祭、最後の日(前編)

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第044話 二人の歩幅


『魔力収納』を練習していたアイリに、

フォウルが起こされたのは、日が昇った昼前だった。


欠伸をしているフォウルだったが、

昼前だと気付くと腹がやや鳴り、

それに釣られるように、アイリもお腹を鳴らした。



「……腹、減ったなぁ」


「うん……」



丸太の上に座っていた二人は、

空腹を我慢しながらそう言う姿は、

随分と見窄(みすぼ)らしいものに感じてしまう。


フォウルの話では、

自分の『魔力収納』の中には既に食料も無く、

あるのは精々、水だけらしい。


アイリは言わずもがな。

『魔力収納』を先程学んだばかりで、

中に入っているのは薪一つだけと、

背負っている魔剣と、ポケットにある銀貨3枚だけ。


二人はこの場に食料が無い事という事実を、

どうするべきかと考えていた。





「嬢ちゃん、お前はあの町に(もど)……」


「やだ……」


「………」


「フォウルさんも一緒に(もど)……」


「嫌だ」


「………」



先程から憮然とした表情のままの二人は、

この状態がしばらく続いている。


フォウル曰く、

腹が減ったならアイリだけヴェルズ村に戻れという話に。

ただし、自分はもうあの村には戻らないという。


アイリ曰く、

フォウルも一緒ならヴェルズ村に戻るという。

一緒に行かないのなら戻らない、というオマケ付き。


互いにソコから一歩も譲らず、

また一歩も譲れないという状態が続いていた。



「……俺が昨日やらかしちまったのは嬢ちゃんも見ただろ。村の連中は''もう祭りを台無しにしたオーガお断りだ''っつって、戻っても受け入れないだろうぜ」


「……わ、私がお願いしてみるから、一緒に行こう…?」


「嫌だ。わざわざ嫌な顔されるのが分かりきった場所に行くのはな」


「うぅ……」



お互いに強情な意見が交えられ、

話は平行線になりつつある。

しかし互いに鳴る腹の音だけがその場に響き、

やや気まずい空気が流れていた。


フォウルは実はこの状態で、

山へ向かい魔物を仕留めて食材にしようかと考えていたが、

魔力制御がまだ甘いアイリを連れたままでは、

気配を悟られて魔物が逃げるか、

逆にアイリの『突然変異体(アルビノ)』の特性から、

その膨大な魔力に惹かれて不用意に魔物を呼び寄せ、

『魔獣』へと進化を求めるを魔物を、

街道近くまで呼び寄せかねない事を懸念していた。


実際に、今の状態でフォウル達の周辺に魔物が寄り付かないのは、

魔物が嫌う薬香を周囲の木々に擦り付け、

更にフォウル自身が発する魔力の波動で、

山にいる魔物達に圧力を掛けて牽制しているのだ。


それにフォウルが山へ行くとなると、

今のアイリが素直に待っているとも思えず、

フォウルも迂闊にその提案をできずにいた。





そんな状態が動くきっかけとなったのは、

先に我慢ができなかったアイリだった。



「………っ…」


「ん?……お、おい、嬢ちゃん?」



目に涙を溜めながら、

我慢するようにお腹を押さえ、

口のへの字に曲げて、

アイリは泣くのを我慢していた。


今にも泣き出しそうな表情のアイリに、

フォウルは気まずそうな表情と口調で声を掛けた。



「――…はぁ……。そんなに腹が減ってるなら、本当に一人で戻ればいいだろうが……」


「……戻ったら、フォウルさん……居なくなっちゃう気がします……」



ギクッという擬音が付きそうな表情を、

図星を突かれたように浮かべたフォウルの顔を、

横目で確認したアイリは、

自分が考えていた事が当たっていたと確信した。



「……やっぱり、居なくなるんですか…?」


「ん、んー……」



アイリの追求する言葉を、

低く唸りながら言葉にならない声で返すフォウルの態度に、

アイリはフォウルの行動を確信から確定へと変化させた。



「…………」



アイリは心の中で、

不意にセヴィアの言葉を思い出した。


祭り四日目の競合訓練、その昼食後の時。

セヴィアとアイリが二人で話していた、

あの会話を。


『「アイリちゃんは、もしかして……あのオーガと一緒に付いて行きたいと思っている?」』


不意に聞かれたセヴィアの言葉に、

アイリはあの時には驚くだけだった。


しかし、今は違った。


自分の中の選択肢として、

このままフォウルが村から出て行くのなら、

いっそ付いて行ってしまおうかと、

そんな事を心の片隅で考えているのだ。


その時アイリの脳裏には、

ヴェルズ村の人々の顔が思い浮かんだ。


今まで自分に優しく接してくれた人々より、

自分の思いを優先させて、

その人達から離れる事を考える事に、

少しだけ胸の奥がチクリと(うず)いた。


しかし、アイリのそんな思いとは別に、

自然と口から零れるように、

アイリはその言葉を口にしてしまった。



「……私も、付いて行っちゃダメですか…?」


「!!…………」



アイリから漏れるような言葉に、

フォウルは目を見開いて驚くが、

何故だという言葉や、

駄目だという言葉を口には出さなかった。


ただ、先ほどより苦々しい表情を浮かべ、

本気で悩む様に腕を組んで頭を左右に揺らして考え、

それが停止すると、大きな溜息を吐き出して立ち上がった。



「……分かった、俺の負けだ。――…でもな。入り口まで行くが、村の奴等が拒否したら嬢ちゃんだけ中に入れ。俺は拒否されたら、ドワルゴンの拠点ってのを虱潰(しらみつぶ)しに探しに行く。ついでに山に居る魔物の数匹狩れば、腹の足しにはなりそうだからな」


「!!……う…、はい…」



そう口に出してテントを折り畳み始めるフォウルと、

その様子を見つめながら何かを考え始めたアイリ。


前日の後夜祭で高台での一件直前、

フォウルはミコラーシュと話し合い、

既に周辺の地理が書かれた地図を渡され、

ドワルゴンの拠点(キャンプ)があるだろう場所に、

印を付けてもらっていた。


フォウルは既に祭り中のヴェルズ村に(こだわ)る事なく、

目的であるドワルゴンに遭遇できる準備が出来ていたのだ。


アイリはその様子を見ていた。

そしてフォウルが、

いつでもここから去れる事を知っていた。


フォウルの意思がアイリに折られた形に見えるが、

彼が山の中に入っていくのが1日伸びるか、

もしくは1日だけ早くなるだけという事を、

アイリは無意識に考えていた。


そしてアイリの最後の言葉を拒否する様に、

自ら村への敷居を(また)げるかを試すフォウルの言葉。


それは明確に、

アイリの同行を拒否する行動だと、

アイリは捉えたのだ。


アイリは寂しい気持ちを感じていた。


確かに数日。

たった数日の出会いで、たった数度の同行だけ。


フォウルとアイリの間にある唯一の接点は、

互いに『前世持ち』という共通部分だけ。

歳も違えば種族も違う。

生まれた場所も経験してきた事も違い、

何よりアイリでは、

フォウルに必要となれるほどの何かも無い。


ただ一方的に頼るしかない。

自分という存在はただフォウルの迷惑になっていた。


そんな思考をアイリが考えても、

仕方のない場面だっただろう。





アイリとフォウルのこの時の思いに、

第三者から見ても何か差異があるのは明らかだった。


けれど、それが互いに伝わらない。


アイリは幼いながらに大人びていても、

正しい深慮を考えられるわけでもなく、

正しく相手の行動を捉えられる常識を、

持つわけではなかった。


そしてフォウルも、

見識と知識を持ち幾多の経験を積み重ね、

豪腕剛勇として名を馳せた猛者だとしても、

彼は感情と記憶を持ち、独自の思考を持つ生き物なのだ。





アイリとフォウルはこの時、

互いにすれ違いを生んでしまった。


そして、たったそれだけの事が、

あんな悲劇に繋がってしまうことを。


この時の誰もが、

予想などできるはずもなかった。





*





フォウルは自分のテントを撤去し、

テントが張られていた平地から、

アイリとフォウルの二人は適度な林を抜けて、

ヴェルズ村へと続く街道の表通りに出た。


アイリが来た時には既に夜だったので、

辺りの風景を良くは見ていなかったのだが、

周りは木々に囲まれた場所で、

ヴェルズ村を囲う壁が遠くからでも見える。


アイリは初めて村の外から見える光景を見たが、

周囲の四方が木々に囲まれ、

ヴェルズ村を囲う様に幾つかの山々が点在している。


表通りの街道の地面だけが平らを(なら)され、

潰れた小石が敷き詰められて、

歩くのに不自由が無い道へとなっていた。




歩く中で、アイリには気になる物が視界に入る。


道の端には幾つか岩を削ったような置物があり、

そこに不思議な印が記されている。


アイリは気になっていたが、

先ほどのフォウルのやり取りを気にして、

今は何も聞かずに歩こうと思っていた。



「……『守護(しゅご)紋印(しるし)』ってやつだ」


「え?」


「そこらへんにある岩の印だ。魔力ってのは自然の中にもあるのは、さっき教えたのは覚えてるな?」



唐突に口を開いて話しかけるフォウルの言葉に、

アイリは驚いていた。

何故自分が気になっている事に気付かれたのか、

そして何故説明してくれるのか。


アイリには理解ができなかった。

けれど、フォウルの質問に答えるように、

アイリは首を縦に頷かせる事を優先した。


マナの樹の事を話された時に、

それらしい事を聞いていたからだ。


それに呼応するように、

フォウルは話の続きを始めた。



「魔大陸の土や木、水や風には魔力が結構な量が含まれている。『紋印(しるし)』ってのは、元々は今より更に古い時代の奴等が利用していた、『自然の力』を利用する為に考えたモンだ」


「古い時代の、人達…?」


「……紋印(しるし)は言わば、魔力(マナ)の通り道だ。通り道を作って自然の魔力を循環させる。不自然な環境に魔力を循環させる(すべ)として、これが人魔大戦以後に荒れて枯れそうだった魔大陸北部に魔力を循環させる役目になっていた。……この紋印は、この道を通る奴等から漏れる匂いや魔力を、魔物や魔獣共に嗅がせない為に風の道を周囲に作っているようだ」


「そういうモノも、あるんだ……」



アイリは興味深そうに、

通り掛かりに見える『守護の紋印』を見つめつつ、

フォウルの後を追っていく。





フォウルは全てを語っていない。

その紋印は誰が作ったのか。


そして紋印(それ)が他の者達に、

どのような形で利用されているのか。

そしてそれが、どういう経緯で作られたのか。





この時点ではフォウルは知らないが、

アイリがこの村で拾われた時の状況にも関係する。


あの時のアイリの右足に着けられた鎖付きの足枷、

そして祭り中に語られた奴隷にも紋印は利用されていた。


魔力通り道は、自然の中だけではない。

魔族や魔物達の身体にも、それはあるのだ。


それを利用すれば魔力を持つ魔族でも、

魔力の自然回復力をやや上回る勢いで、

魔力が抜き取られてしまう。


そうなれば魔族の体内の魔力は枯渇し、

肉体的疲労や心身の疲労が通常よりも遥かに高まる。


つまり、魔族や魔物が弱体化する。


それこそ、普通の人間にさえ勝てなくなるほど、

魔族達が弱くなってしまうのだ。





そうして、魔族の奴隷が過去に増え続けた。

そして『人魔大戦』で、あらゆる形で利用された。


人間は狡猾だった。


奴隷になっていた魔族を囮にし、

救おうと同族達が近付くと、

その奴隷に取り付けた爆発物を起爆させ、

『魔物爆弾』と称して使っていたのだ。


その中には、魔族の女子供さえ居た。


自分の妻や子供を救おうとする男達が、

例え爆弾が取り付けられていると分かっていても、

見捨てられない、ならばせめてと……。


人魔大戦の序盤は、

そんな戦いが行われていたのだ。





本来なら『紋印(しるし)』も、

奴隷(その)ような使われ方をするなど作った本人さえ、

考えもしなかったかもしれない。


けれど人間は狡猾だった。


全てを利用し、

全てを楽に進めようとする。



或いはその恩恵で、

人間達には良い面を作ったかもしれない。


しかしそれ以上にソレは、

恩恵ではなく武器として向けられた者達には、

悪い面になるのも確かなのだ。





『アタシ』もフォウルと同様に、

そんな事をアイリには知ってほしくなかった。


けれど、『(わたし)』はいつか知るだろう。


それは『(アイリ)』が紋印(しるし)火薬(それ)と同じ脅威になり得るだろう、

『魔力』を持つ事を選んだのだから。





*





歩いて30分ほど。


アイリに歩調を合わせていたフォウルと、

合わせられながらもやや疲れを見せるアイリが、

ヴェルズ村の正門に近付きつつあった。


小石の歩道は広がりを見せ、

紋印(しるし)が描かれた岩も道以上に多く点在している。


ヴェルズ村の正面入り口は、

囲まれる強固な壁に挟まれるように、

一つの大きく閉ざされた木造(きづくり)の門で閉ざされている。


その脇で人々が通れる造りの小さな門が()り、

そこからヴェルズ村に入る人々や、警備隊が出入りをしていた。


大きな門にも同じような目立つ紋印(しるし)(えが)かれ、

ヴェルズ村を覆うように何かが覆っているのを、

アイリは魔力感知を行って初めて感じた。


薄いながらもヴェルズ村全体を覆うように、

『魔力障壁』が展開されている。

恐らくは自然の魔力と、

ヴェルズの魔力で維持している障壁だろう。


そう推察しているのは、

アイリではなく『アタシ』だ。





人々が通る小さな門にフォウルと共に近付くアイリは、

やや緊張感を強くしていた。


先日の後夜祭の一件でフォウルは、

尋常ではないほどの事態を起こしている。


だから今更ここに来ても、

やはり追い返されるだけだろうという、

アイリの思いは強まっていた。


それが強まった原因が、

テントを撤去する前に話した、

フォウルとのすれ違いが原因だった。


あの時は「私がお願いしてみる」と言っていた自信も、

今は欠片が少し残っている程度のものだろう。


『自分が説得しても無理かもしれない』


その思いがアイリにどんどん強くなり、

そして諦めと哀しみを含んだ表情を、

(かろ)うじて堪えさせていた。



「――…おい、嬢ちゃ――…」



そんな表情のアイリに、

フォウルが声を掛けようとした瞬間だった。




「おぉーい!アイリィー!」



大きな声を張り上げるように、

誰かがアイリの名前を呼んだ。


その声は人々が通っている小さな門から聞こえ、

中に入っていく人々から逆らうように、

誰かが飛び出してアイリ達に近付いて来た。


その人は、緑色の肌で耳が(とん)がり、

小柄な身体で素早く、そして頭が禿げていた。



「……!!ジャッカスさん!?」



誰が近付いてくるのか気付いて声を上げたのは、

塞ぎこむような表情を取り払ったアイリだった。


ジャッカスはアイリとフォウルの二人に近付くと、

息を切らさずに身軽な素早さから緩やかに停止して、

二人を交互に見てニカッと笑顔で笑った。



「遅いじゃねぇかよ!もう昼過ぎだぜ!?何やってたんだ、二人とも?」


「え、あの……」


「……俺にも言ってるのか?」



フォウルにもそう聞くジャッカスの様子に、

怪訝そうな表情のフォウルと、

驚いたようなアイリの表情に、

やはりジャッカスはニカッとした笑顔のままで答えた。



「何言ってるんだよ。お前さんも祭りに来た客人なんだろ?だったら祭りに来て()()すのは、俺等の役割だ」


「……俺が昨日やったこと、もう忘れてるのか?」



フォウルがそう聞いたのは、

ジャッカスを馬鹿にしているとか、

そういう話では無い。


確かにジャッカスは自分で自負するほどの馬鹿なのだが、

それでも昨日のフォウルのやった事を知るどころか体験すれば、

そんな態度を取れるはずがない。


もしかしたら大魔導師(ヴェルズ)が、

あの場に居た全員の記憶を忘却させる魔術でも使ったのかと、

むしろそっちの可能性を強く疑っていたのだ。





しかし、ジャッカスはそれも否定した。



「もうあんなこと気にしてる奴なんていねーよ。それより、大事なアイリを勝手に持ってどっか連れてくんじゃないかって、ドキドキしっぱなしだったさ」



アイリに向けてニカッとした笑顔を向けるジャッカスは、

そう言って茶化すように、フォウルの考えを否定した。


ジャッカス自身、

それがフォウルの疑惑を否定した言葉だとは、

気付いてさえいないのだろう。



「……だったら、嬢ちゃんだけでも連れ戻しに来れば良かったろうに」


「そこらへんも、実は話にはなってたけどさ。ミコラーシュ様が二人の様子を見に行ったら、心配無いって言ってたぜ?」



そう言うと、二人は驚く表情になった。

ミコラーシュが偵察に来ていた事に気付かなかったのだ。


アイリはともかく、

あのフォウルさえも気付いていなかった。

それがアイリの驚く理由であり、

フォウルの精神状態が先日から乱れていた事の証明になるだろう。


そんな二人を追い討ちするように、

ジャッカスは続きを話し始めた。



「テントの中で二人仲良く、寝布団で仲良くグッスリだったって聞いてよ。違う意味でやべーんじゃねーかって疑ったのが居たぐらいで、特に気にした奴なんていなかったぜ?」



そう、アイリとフォウルが時空間魔術(パラム)習得の為に、

瞑想していた時に、ミコラーシュが来たのだ。


二人とも無防備に寝ている姿に呆れつつも、

それほど心配しなくて良いかもという安心感が、

その時の場には漂うほど、二人の寝姿は健やかだったらしい。


違う意味でやばいという言葉と意味には、

敢えて突っ込まないでおこうと思う。





そこまでの経緯を話された瞬間に、

アイリのお腹から「グウゥゥ……」という音が鳴ってしまった。


魔力収納の訓練と数十分ほど歩いたことの疲れもあるが、

朝食、そして昼食を食べていない状態では、

子供の姿のアイリには空腹感が強いようだ。


お腹を鳴らした事で恥かしさでやや頬を赤らめながらも、

それを聞いたジャッカスは、ニカッと笑ってアイリの手を優しく掴んだ。



「腹減ってたのかアイリ!ほら、屋台でメシ食わせてやるからさ!――…ほら、オーガのも何やってんだ?一緒に行こうぜ」


「…!?」



アイリの手を優しく掴んで門を目指すジャッカスだったが、

付いてこないフォウルを見て、不思議そうな表情でそう聞いた。


それに驚いたのはフォウルで、

やや怪訝そうながらも、疑問の言葉を口にした。



「俺は山で魔物でも狩って食う。それに、俺はもうこの村には――…」


「なんだよなんだよ。オーガの旦那は、俺等に嫌われから、怖くて村に近寄りたくもないのかい?」


「………」



ジャッカス本人としては、

決して挑発したつもりでも、

煽ったわけでもない言葉だった。


ただ純然とした『勘』を働かせ、

フォウルがヴェルズ村に入りたがらない、

本当の理由を当ててしまったのだ。





ジャッカスの言葉に驚くアイリと、

言い当てられた事に苦々しい表情を浮かべるフォウルは、

「それは違う」とでも否定するように、

足を動かしてジャッカスとアイリにに付いて歩いた。


その様子にニカッと笑ってアイリの手を引くジャッカスと、

フォウルが付いてくる様子に驚くアイリ。


そして渋々の面持ちで付いていくフォウルは、

こうしてヴェルズ村の生誕祭の、

最後の日を迎えるのだった――…。





『赤瞳の戦姫』ご覧下さりありがとうございます!


誤字・脱字・今回の話での感想があれば、

是非ご意見頂ければと嬉しいです。

評価も貰えると嬉しいです(怯え声)


ではでは、次回更新まで(`・ω・´)ゝビシッ


この物語の登場人物達の紹介ページです。

キャラクターの挿絵もあるので、興味があれば御覧下さい。


https://ncode.syosetu.com/n6157dz/1/

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