第032話 進化
「戦士ガブスよ。参った。俺の負けだ」
その脅威の言葉は、
訓練場全体に響くように伝わった。
それを聞いた観客達は、
その発言に反応しきれずに呆然としている。
ガブスを救う為に動こうとした警備隊員達も、
参ったと言うとは予想しておらず、唖然としていた。
ミコラーシュ・ヴェルズの両者も、
構えた姿勢は崩してはいないが、
フォウルの言葉に驚きを隠せないように目を見開いていた。
全員が唖然・呆然する中で、
ただ一人だけアイリは不安の表情を隠しきれない。
フォウルに漂う哀愁に似た雰囲気が、
増したように思えたからだ。
その静寂を壊すように、
フォウルは続けて言葉を繋げた。
「正直、俺はお前さんの事を見下していた。実力は有りそうだが、それが傲慢を招いて俺に挑戦させたと思ってな。ちょいと灸を据えてやろうと考えて、1発目の攻撃は傲慢さを潰そうと強めに撃ち込んだ。だが、お前は起き上がった」
『……』
「斧を叩き壊した後の蹴りは、意外と本気で蹴り込んだ。アレで立ち上がれないだろうと思ったが、お前さんは立ち上がった。それで戦士としは及第点だ」
『……』
「その後、手足と頭を潰したお前は、まだ立っていた。死を覚悟してるなら不合格だったが、まだお前さんは勝つ気でいた。ズタボロの身体の癖に、眼だけは死んではいなかったからな」
『…………』
「俺はな、戦士面した根性無しは気に食わん。だがお前みたいに、最後まで勝機を掴もうとする戦士は気に入った。――……『フォウル=ザ=ダガン』として称えてやる。ガブス、お前はこの場で、誰よりも『戦士』だ」
それは周囲が予想もしていなかった言葉だった。
ガブスに対してフォウルがここまで、
礼を尽くす物言いをするとは、誰も思わなかったのだ。
それと同時に観客の中に居た外部の商人達や、
旅人達に動揺と驚きの声が上がっていた。
「フォウル=ザ=ダガン……って、あのオーガの王!?」
「じゃあオーガは、あの伝説の戦鬼!?」
「人間との大戦で、数万を超える人間の軍兵達を、たった一人で滅ぼしたという、あの……」
「馬鹿な!?あの大戦は2000年前だぞ!オーガの寿命は長くとも400年、今でも生きているはず……。一族の子孫ではないのか?」
そんな賛否の声を上げる者達の言葉が、
次第に観客全体にソレが知れ渡り、
村人達や他の村人達にも、
フォウルという異常な存在の正体が伝わった。
全員が四面楚歌の表情を浮かべ、
ある程度の強者達は、
その名乗りが事実だという事に気付く。
特に警備隊に所属する者達は、
フォウルに相応する比較対象を間近で見た事があるのだ。
『最強の戦士』という称号を魔王ジュリアから賜った、
ドワルゴンという存在に。
そんな騒ぎなど構うことなどせず、
フォウルは続けて口を開いた。
「その斧、俺が昔打ったモンだが、お前にやるよ。お前さんの斧は折っちまったからな。……と、その腕じゃ持てんか。大魔導師でも流石に完治させるのは無理か。しょうがねぇ」
頭をポリポリと掻きながら、
また何も無い空間から、
フォウルは皮革で出来た箱を取り出した。
その箱を開けると、
フォウルは二つの小瓶を取り出した。
フォウルが取り出した小瓶の中には、
赤い液体が入ったモノと、
緑の液体が入ったモノが入っていた。
フォウルは緑の液体が入った小瓶の蓋を開けて、
その中身を目の前にいるガブスへと投げるように浴びせた。
それを見ていた村人達が、
ガブスに何かを浴びせたフォウルに、
また怒りの心が再発しそうになったが、
次の瞬間それは一瞬にして無くなってしまった。
ガブスが浴びた緑の液体が、
傷口や肌に触れた瞬間、
薄緑に発光を始め全身を覆った。
そうして数秒後、
みるみる内にガブスの傷口が塞がっていく。
塞がるだけならまだしも、
折れたはずの手や腕の骨、凹んだ血肉が蘇り、
欠損した部分も徐々に薄緑の発光体が覆うと、
欠損を補う様に埋め合わせて肉体を修復させていく。
それは魔族達が知る回復魔術や、
治療魔術とは全く違うモノだった。
それは、伝説と言われる『魔法』に類する効果に近い物だった。
そうして回復していくガブスは、
自分の肉体が凄まじい速さで修復されていく姿に驚きながら、
十数秒経つ頃には薄緑の発光現象も治まり身体の傷が完治した。
自分自身の腕や足、
そして自分で身体を触りながら、
驚くように確認していた。
「……ッ!?ナ、オッタ……?」
「あー、なんだ。俺が暇だから旅してる時に作った。無難に『回復薬』とでも言うべきか。そんな事より、ほれ。これも飲んでみろ」
そう面倒臭そうに説明を省くフォウルは、
もう一つの赤い液体が入った小瓶をガブスに投げ渡した。
それを慌てる様に受け取ったガブスは、
手の平の中に収まる小瓶を見ながら、
「コレハ……?」と不思議そうに問い掛けた。
「お前、強くなりてぇんだろ。だったらソレ飲んじまえ。正直、巨人族としては、お前さんは強すぎる部類だ。昔ならソレで進化も出来たんだろうが、今のご時世じゃ無理な話だわな」
「……?シンカ、ツヨク?」
「あぁ、強くなるぜ。今のお前なら問題無く飲めるだろ」
そう言うフォウルの言葉にガブスは持っている小瓶の液体と、
フォウルを交互に見ながら何かを決意するように、
小瓶の蓋を丁寧に指で捻り取った。
その瞬間、周囲に居る者達が気付く。
蓋を開けた瞬間に感じる、
身の毛も弥立つほどの悪寒を。
そして、その悪寒に身に覚えがある者達がいる。
あの日、南地区のある場所で、
ある物を見せられた、
あの時と同じ悪寒の感覚。
声こそ口に出しては言わないが、
あの場に遭遇していた全員が、
小瓶に入る赤い液体の正体に、察した。
『マナの実』
あの小瓶の中身はマナの実の果汁だと、
遠巻きに見ているセヴィアとジャッカスが。
あの場に居合わせていたヴラズが。
マナの実を知る全員が気付いた。
あの禍々しく唸るような魔力の波動を感じ、
遠くからでも確実に吐き気を想起させ、
全員が冷や汗が吹き出るような感覚に襲われた。
マナの実の事を知らない者達も、
禍々しい魔力の波動を感じて全員が息を呑んだ。
一番反応を示したのはヴェルズだ。
審査席から立ち上がり、
目を見開いて魔力感知を最大限に駆使し、
アレが本当にマナの実の果汁なのかを確認していた。
マナの実という入手困難、
入手不可能なモノを、
どうしてフォウルが持っているのかという疑問が、
ヴェルズの中で拡大していった。
この中でソレに平然としているのは、
提供者であるフォウルと、もう一人。
アイリだけだった。
そんな人々の思いなど関係無く、
小瓶の蓋を開けたガブスも、
禍々しいまでの魔力を感じていた。
だが、何かを悟るモノも感じられた。
コレを飲めば、確実に強くなれる。
そう思わせる何かを静かに赤く波打つ液体に、
ガブスは感じる事が出来た。
喉を一度鳴らしてガブスは小瓶に口を付け、
赤い液体を飲み込んだ。
それは、先程の回復薬の効果より派手ではなかった。
だが、確実にガブスに変化を齎した。
体内の魔力が活性化し、
溢れ出る程の魔力がガブスから迸る。
溢れる魔力が肉体に変化させ、
筋骨逞しいガブスの肉体が更に強靭に、
そして徐々に膨れ上がるように身体が大きく成り始めた。
それが収まると、
ガブスは別人と思わせるほどの変化を見せた。
立っているガブスの身長は、
四メートル強から七メートル強へ変化し、
上半身の服と下半身の衣類も、
股部分以外ははち切れていた。
しかし破れた服の合間から見える隆起する筋肉は、
以前より強靭に更に魔力が肉体に浸透し、
力強さを感じさせた。
ガブス自身もそれを感じるようで、
全身から漲る魔力を自分自身で御する為に、
全身の魔力制御を必死に行っていた。
変化したガブスの様変わりする姿に、
周囲の人々は動揺以上に呆然とする中で、
フォウルは「ふむ」とガブスの姿を確認する。
「よし、ちゃんと進化したな。巨人族から巨神族になった感じか」
「ティ、ターン……?」
「巨人族の進化体の一つの事だ。もっと成長すりゃ、ガイアみてぇに更に強くデカくなるんじゃねぇか」
「ツヨク……」
「そうだ。よし、魔力制御は慣れたな。なら、腹に力を込めろ」
右拳に力を込めるフォウルの気配を察知し、
ガブスは警告通り腹に魔力操作で魔力を集中させた。
ニヤっと笑ったフォウルが次の瞬間、
先程の戦いで見せた右拳からの腹部殴打を浴びせた。
『ドゴォ!!』
異様な音が鳴り響いたことで、
ガブスの変化に驚いていた周囲の人々は、
フォウルの予期できぬ行動に唖然としながらも、
またも続くフォウルの脅威的な殴りに、
動揺し感情を揺り動かされたが、
その結果を見た人々は、更に驚かされた。
先程は宙を舞い、
数メートル以上吹き飛ばされたガブスが、
今度は宙に浮かばず、
一メートルほど地面を削りながら圧されたものの、
耐えきって見せたのだ。
しかもガブス自身も驚く様に、
先程とは比べ様もないほど、
肉体へのダメージが極小まで抑えられていた。
少しヒリヒリと腹に響いてはいても、
肉体と骨、内臓へのダメージはほとんど無い。
それは確実にガブスが強くなっている証拠だった。
「さっき殴った時と同じ力で殴った。どうだ?強くなったって実感は沸いたか?」
「……イタク、ナイ。ツヨク、ナッタ」
「んじゃ、今度は俺を本気で殴ってみろ。腹にで良いぜ」
「!!……ワカッタ」
フォウルの言う通りに、
一歩踏み出して右拳に力を込めるガブスは、
数秒後にフォウル目掛けて腹に拳を撃ち込んだ。
『ドゴォ!!』
先程のフォウルの殴りに相当する音が、
訓練場に鳴り響く。
その結果としては、
周囲の人々には然程の変化が見れなかった。
腹に撃ち込んだガブスの右拳は、
先程の戦いと同様に、フォウルは微動だにしない。
だが、当事者である二人は、
確実にソレの変化を目の当たりにしていた。
フォウルの両の足元が僅かに、
地面を擦るように圧されて、動いていた。
長さからすれば二十センチにも満たないソレは、
先程とは全く違うモノだと、ガブスは感じ取れた。
二人は一歩引いて離れると、
若干フォウルは不満そうな顔を見せていた。
「やっぱ進化したてじゃあ、筋肉への伝達と魔力の伝達が合致しねぇな。もうちょい身体慣れすりゃ、これの数倍の威力が出せるな」
「モット、ツヨク、ナレル?」
「あぁ、俺が保証してやる。……強くなれよ。お前の友達の為にもな」
そう言うとフォウルは右拳を握って、
ガブスの前にゆっくりと突き出して止めた。
その行動の意図は分からないものの、
ガブスも真似るように右拳を前に差し出し、
フォウルがゆっくりと拳同士を当てた。
「戦士ガブス。今日からお前は『フォウル=ザ=ダガン』の戦友だ。身体に慣れて、もっと強くなりたいと望むなら、南の砂漠を越えて闘技都市に赴け。あそこの砂漠には、魔獣がゴロゴロ住み着いてるが、今のお前なら横断できる。闘技都市に往ったら、『フォウス=ザ=ダガン』に逢え。こうして拳を交えれば、俺の戦友だと分かる」
「……フォウス、サバク、ミナミ……トモ、ワカッタ」
「ガッハッハッ!!俺の孫が闘技都市に居てな。強いヤツと闘りてぇって手薬煉引いて待ってるんだ。お前と同じ巨神族も何匹か居る。もっと強くなりたきゃ、そいつ等に戦い方を学べ」
「……ワカッタ。フォウル、トモダチ。オレ、イツカ、イク」
「おう、頑張れよ。ガブス」
ニヤっと笑うフォウルに返すように、
ニカッと笑うガブスは、そう返した。
ガブスはこの時、フォウルを通して、
あの四人を見た気がした。
子供の頃、友達になってくれた、
大切な四人だった。
そしてその感覚は何故か、
最後に見た友達四人の姿に合致した。
赤牙蛇と向かい合い、
ガブスを逃がす為に、
ガブスを不安にさせない為に、
笑って送り出した四人の姿に。
それはアイリが感じるフォウルの哀愁を、
ガブスも感じた瞬間だった。
*
拳を離した二人。
そして突き立てた大斧を、
フォウルはガブスに渡した。
黒魔耀鉱石を用いた武器である為、
しっかりと魔力を馴染ませるように伝えるフォウルに、
ガブスは素直に頷いた。
しかしそれだけで事は収まらなかった。
フォウルは振り返って観衆達に身体を向けた。
「――…で、『戦士としちゃ及第点』のお前等だ。俺を止めてコイツを救おうとしたとこまでは良い。だが、何匹か殺気の中に変な覚悟してる奴が居たな」
フォウルが目を鋭くさせ、
睨む様に観衆の隅々を見渡す。
それは殺気を放っていたわけでは無かったが、
目が合った警備隊員達が、
フォウルの言葉に思い当たる様子を見せた。
小さな動揺ではあった。
だが、続けてフォウルは言葉を繋げた。
「まさか、『自分が死んでもガブスを助ける』なんて、くっだらねぇ事を考えて、俺等の戦いに手出そうとしてた奴等は――…容赦無く殺していたぞ」
「――…ッ!!」
ハッキリと告げたソレは、フォウルの怒気だった。
観衆の全てが殺意とは違う怒気を感じ、
冷や汗をかき始めた。
「それは『戦士』じゃねぇ。自分の命に執着しねぇ、根性無しの馬鹿野郎だ。警備隊っつぅのは、戦えねぇ奴等を守る為に武器を持つんだろ?本当に守りたいモンがあるなら、二度とそんな覚悟を抱くな。――……いいな?」
『警備隊とは、戦えぬ者を守る為に武器を持つ者達』
その言葉は、ヴラズがフォウルに向けて言った言葉だった。
ガブスはあの時、
フォウルの問いに「戦う」と答えた。
にも関わらず、戦える者を守ろうと、
観衆に混ざる警備隊は構えた。
その時点でフォウルは、
彼等を『戦士としては及第点』だが、
合格では無いと判断した。
それは、戦士としてのガブスの誇りと、
戦う意思を持つ者全てを裏切るモノだったからだ。
わざわざ自分の命を差し出すような行いと、
武器を構える者達の殺気に気付いたフォウルは、
怒りさえ覚えるモノだった。
ソレは戦う者の覚悟では無い。
自ら命を絶つ様な行いは、
戦う意思の無い者がやる行いだったからだ。
そんな者達に自分達の戦いを邪魔されるのは、
懐が深いフォウルにも、感化しえないモノだった。
思い当たる者は自ら目を伏せ、
その場で膝を折って地に着けた。
バラスタ・ヴラズ・バズラの三人は、
膝を折らずにそのまま立っていた。
彼等は死を覚悟して構えていたのではない。
あくまで援護に徹底し、
フォウルの制止とガブスの救出を目的としていた。
だが戦う者の意思を邪魔した点で言えば、
彼等も戦士としては及第点だとフォウルは捉えていた。
総隊長であるミコラーシュも、昨日フォウルに言われていた、
『戦士としては及第点』に該当していた事を当てられた様で、
立ち上がって猟犬を構えていた体勢を戻し、
審査席に着席して、少々機嫌が悪そうにしていた。
ヴェルズも事に備えていたが、
そもそも自分を戦士だとは思っていないので、
特に気にする様子も無く、
目を伏せて魔力を纏い、
空間が歪んだ瞬間に移動し、
フォウルとガブスの傍に『自己転移』した。
観衆達は訓練場の真ん中へ現れたヴェルズにも驚くが、
そこで聞く事となったヴェルズとフォウルの会話に、
更に驚かされることになった。
「フォウル……いえ。名乗った以上、貴方を『オーガの王』として迎えるべきなのしょうね」
「昨日言ったろうが。鬼王は孫に譲ったってな。俺はただ、戦友に俺の名前を教えただけだ」
「そう。どちらにしても勝手が過ぎるわ。彼を進化させた件にしても。ね。――……昔、貴方は私達にこう言ったわよね?『落とし前は着けろ』と。勿論、そう言った貴方が、この状況にどんな落とし前とやらを着けてくれるのかしら?」
「ん、あー……そんなこと言ったか?」
「言ったわよ。それはもう、誇らしげにね」
笑ってはいるが、この状況と空気を作った事に、
物凄く怒っているヴェルズと、
過去の自分の言葉に墓穴を掘られたフォウル。
互いに顔を向け合い、
渋々ながらも目を伏せたのは、
フォウルだった。
「だー!分かったっての。で、なんだ?俺は何やればいい?」
「話が早くて助かるわ」
とても良い笑顔のヴェルズとは対照的に、
その笑顔に物凄く嫌そうな顔をするフォウルに、
ミコラーシュは若干ながら、共感を覚えた。
そんな二人の気持ちとは裏腹に、
ヴェルズは観衆達の前に出て、
響く様な声で皆に呼び掛けた。
「今日、この日を楽しみに集まった皆様。今回は皆様の心身共に震撼・動揺させた事を、私、ヴェルズェリア・ライアットが深くお詫び致します。そして、既に皆様が察しの通り、この場にいるオーガは、私の客人として祭りに来た、魔大陸の南を統べる王、フォウル=ザ=ダガン。彼は此度、王を退く旨を伝えるべく、私の元へ自らの足を運んでくれた者。皆様も御覧になったでしょう。彼は圧倒的なまでの力量は、伝説にて語られる戦鬼そのままです。故に、私は彼に可能であればと、頼んでいた事があります」
そうヴェルズが大々的に呼び掛ける事で、
周囲の空気が変わり、
新たに小さな動揺も広がる。
あの強さで鬼王を退いたという話と、
そのオーガの王を招いて何を頼んでいたのかという疑問。
そこまで言い終わった時点で、
フォウルが色々と文句がある表情を浮かべていたが、
ヴェルズは気にせずに、
そのまま言葉を繋げて宣言した。
「今日この競合訓練で、我が村の警備隊と、他の村々の者達を交えた時、是非とも武勇名立たる彼に、その精強たる所以を教授願いたいと。私も断られると思いましたが、彼はその心の深さにより、なんと承諾して頂けました」
「ゲッ」
「警備隊の各々は、彼の言う様に戦えぬ者を守る為に武器を取る者達。だからこそ、自分の愛する者、家族、友。そして、自分と共に生きる者達を守れる力を、彼から今日、学ぼうではありませんか」
ヴェルズが清栄たる声にて呼び掛ける言葉に、
周囲の者達は始めは呆然としていたが、
次第にヴェルズの言葉を理解し拍手が広まった。
若い警備隊衆からは、
ガブスとフォウルのやり取りに感銘を受ける者も居り、
自分達も同じく強くなりたいと声が上がる。
外部の商人達や旅人達は今までのフォウルの行いが、
この場に集まった警備隊の面々を心を鼓舞させる為の、
迫真の芝居だったのだと思い納得したように拍手を送った。
結果としてフォウルの今までの暴虐的な行いが、
ヴェルズの言葉で強くなる為に学ばせたという行為に、
摩り替わってしまったのだ。
しかもアイリ達だけに教えるという話が、
訓練に参加する者達全員という話になり、
フォウルは面倒臭そうな表情を浮かべていた。
そして、現在。
周囲に集まった警備隊の者達に取り囲まれて、
隊員全てに指導をさせられるハメに、なってしまった。
どうしてこうなった。
フォウルは昨日と同じように、
ミコラーシュと相対した時の疑問を抱きながら、
訓練場の中央へと立っていた。
『赤瞳の戦姫』ご覧下さりありがとうございます!
誤字・脱字・今回の話での感想があれば、
是非ご意見頂ければと嬉しいです。
評価も貰えると嬉しいです(怯え声)
ではでは、次回更新まで(`・ω・´)ゝビシッ
この物語の登場人物達の紹介ページです。
キャラクターの挿絵もあるので、興味があれば御覧下さい。
https://ncode.syosetu.com/n6157dz/1/




