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『赤瞳の戦姫』~転生したらオークに拾われました~  作者: オオノギ
幼少期 第一章四節:生誕祭四日目(前編)

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第032話 進化


「戦士ガブスよ。参った。俺の負けだ」



その脅威フォウルの言葉は、

訓練場全体に響くように伝わった。


それを聞いた観客達は、

その発言に反応しきれずに呆然としている。

ガブスを救う為に動こうとした警備隊員達も、

参ったと言うとは予想しておらず、唖然としていた。


ミコラーシュ・ヴェルズの両者も、

構えた姿勢は崩してはいないが、

フォウルの言葉に驚きを隠せないように目を見開いていた。


全員が唖然・呆然する中で、

ただ一人だけアイリは不安の表情を隠しきれない。


フォウルに漂う哀愁に似た雰囲気が、

増したように思えたからだ。





その静寂を壊すように、

フォウルは続けて言葉を繋げた。



「正直、俺はお前さんの事を見下していた。実力は有りそうだが、それが傲慢を招いて俺に挑戦させたと思ってな。ちょいときゅうえてやろうと考えて、1発目の攻撃こぶしは傲慢さを潰そうと強めに撃ち込んだ。だが、お前は起き上がった」


『……』


「斧を叩き壊した後の蹴りは、意外と本気(マジ)で蹴り込んだ。アレで立ち上がれないだろうと思ったが、お前さんは立ち上がった。それで戦士としは及第点だ」


『……』


「その後、手足と頭を潰したお前は、まだ立っていた。死を覚悟してるなら不合格だったが、まだお前さんは勝つ気でいた。ズタボロの身体の癖に、眼だけは死んではいなかったからな」


『…………』


「俺はな、戦士面した根性無しは気に食わん。だがお前みたいに、最後まで勝機を掴もうとする戦士は気に入った。――……『フォウル=ザ=ダガン』として称えてやる。ガブス、お前はこの場で、誰よりも『戦士(たたかうもの)』だ」



それは周囲が予想もしていなかった言葉(モノ)だった。


ガブスに対してフォウルがここまで、

礼を尽くす物言いをするとは、誰も思わなかったのだ。


それと同時に観客の中に居た外部の商人達や、

旅人達に動揺と驚きの声が上がっていた。



「フォウル=ザ=ダガン……って、あのオーガの王!?」


「じゃあオーガは、あの伝説の戦鬼バトルオーガ!?」


「人間との大戦で、数万を超える人間の軍兵ぐんぺい達を、たった一人で滅ぼしたという、あの……」


「馬鹿な!?あの大戦は2000年前だぞ!オーガの寿命は長くとも400年、今でも生きているはず……。一族の子孫ではないのか?」



そんな賛否の声を上げる者達の言葉が、

次第に観客全体にソレが知れ渡り、

村人達や他の村人達にも、

フォウルという異常な存在の正体が伝わった。


全員が四面楚歌の表情を浮かべ、

ある程度の強者達は、

その名乗りが事実だという事に気付く。


特に警備隊に所属する者達は、

フォウルに相応する比較対象を間近で見た事があるのだ。


『最強の戦士』という称号を魔王ジュリアから賜った、

ドワルゴンという存在に。





そんな騒ぎなど構うことなどせず、

フォウルは続けて口を開いた。



「その斧、俺が昔打ったモンだが、お前にやるよ。お前さんの斧は折っちまったからな。……と、その腕じゃ持てんか。大魔導師でも流石に完治させるのは無理か。しょうがねぇ」



頭をポリポリと掻きながら、

また何も無い空間から、

フォウルは皮革で出来た箱を取り出した。


その箱を開けると、

フォウルは二つの小瓶を取り出した。


フォウルが取り出した小瓶の中には、

赤い液体が入ったモノと、

緑の液体が入ったモノが入っていた。

フォウルは緑の液体が入った小瓶の蓋を開けて、

その中身を目の前にいるガブスへと投げるように浴びせた。


それを見ていた村人達が、

ガブスに何かを浴びせたフォウルに、

また怒りの心が再発しそうになったが、

次の瞬間それは一瞬にして無くなってしまった。


ガブスが浴びた緑の液体が、

傷口や肌に触れた瞬間、

薄緑に発光を始め全身を覆った。


そうして数秒後、

みるみる内にガブスの傷口が塞がっていく。


塞がるだけならまだしも、

折れたはずの手や腕の骨、へこんだ血肉が蘇り、

欠損した部分も徐々に薄緑の発光体が覆うと、

欠損ソレを補う様に埋め合わせて肉体を修復させていく。


それは魔族達が知る回復魔術や、

治療魔術とは全く違うモノだった。


それは、伝説と言われる『魔法』に類する効果に近い物だった。


そうして回復していくガブスは、

自分の肉体が凄まじい速さで修復されていく姿に驚きながら、

十数秒経つ頃には薄緑の発光現象も治まり身体の傷が完治した。


自分自身の腕や足、

そして自分で身体を触りながら、

驚くように確認していた。



「……ッ!?ナ、オッタ……?」


「あー、なんだ。俺が暇だから旅してる時に作った。無難に『回復薬ポーション』とでも言うべきか。そんな事より、ほれ。これも飲んでみろ」



そう面倒臭そうに説明を省くフォウルは、

もう一つの赤い液体が入った小瓶をガブスに投げ渡した。


それを慌てる様に受け取ったガブスは、

手の平の中に収まる小瓶を見ながら、

「コレハ……?」と不思議そうに問い掛けた。



「お前、強くなりてぇんだろ。だったらソレ飲んじまえ。正直、巨人族ジャイアントとしては、お前さんは強すぎる部類だ。昔ならソレで進化も出来たんだろうが、今のご時世じゃ無理な話だわな」


「……?シンカ、ツヨク?」


「あぁ、強くなるぜ。今のお前なら問題無く飲めるだろ」



そう言うフォウルの言葉にガブスは持っている小瓶の液体と、

フォウルを交互に見ながら何かを決意するように、

小瓶の蓋を丁寧に指で捻り取った。





その瞬間、周囲に居る者達が気付く。

蓋を開けた瞬間に感じる、

身の毛も弥立よだつほどの悪寒を。


そして、その悪寒に身に覚えがある者達がいる。


あの日、南地区のある場所で、

ある物を見せられた、

あの時と同じ悪寒の感覚。


声こそ口に出しては言わないが、

あの場に遭遇していた全員が、

小瓶に入る赤い液体の正体に、察した。


『マナの実』


あの小瓶の中身はマナの実の果汁だと、

遠巻きに見ているセヴィアとジャッカスが。

あの場に居合わせていたヴラズが。

マナの実を知る全員が気付いた。


あの禍々しく唸るような魔力の波動を感じ、

遠くからでも確実に吐き気を想起させ、

全員が冷や汗が吹き出るような感覚に襲われた。


マナの実の事を知らない者達も、

禍々しい魔力の波動を感じて全員が息を呑んだ。


一番反応を示したのはヴェルズだ。


審査席から立ち上がり、

目を見開いて魔力感知を最大限に駆使し、

アレが本当にマナの実の果汁なのかを確認していた。


マナの実という入手困難、

入手不可能なモノを、

どうしてフォウルが持っているのかという疑問が、

ヴェルズの中で拡大していった。


この中でソレに平然としているのは、

提供者であるフォウルと、もう一人。

アイリだけだった。


そんな人々の思いなど関係無く、

小瓶の蓋を開けたガブスも、

禍々しいまでの魔力を感じていた。

だが、何かを悟るモノも感じられた。


コレを飲めば、確実に強くなれる。


そう思わせる何かを静かに赤く波打つ液体に、

ガブスは感じる事が出来た。


喉を一度鳴らしてガブスは小瓶に口を付け、

赤い液体を飲み込んだ。





それは、先程の回復薬ポーションの効果より派手ではなかった。

だが、確実にガブスに変化をもたらした。


体内の魔力が活性化し、

溢れ出る程の魔力がガブスから迸る。

溢れる魔力が肉体に変化させ、

筋骨逞しいガブスの肉体が更に強靭に、

そして徐々に膨れ上がるように身体が大きく成り始めた。


それが収まると、

ガブスは別人と思わせるほどの変化を見せた。


立っているガブスの身長は、

四メートル強から七メートル強へ変化し、

上半身の服と下半身の衣類も、

股部分以外ははち切れていた。

しかし破れた服の合間から見える隆起する筋肉は、

以前より強靭に更に魔力が肉体に浸透し、

力強さを感じさせた。


ガブス自身もそれを感じるようで、

全身から漲る魔力を自分自身でぎょする為に、

全身の魔力制御を必死に行っていた。


変化したガブスの様変わりする姿に、

周囲の人々は動揺以上に呆然とする中で、

フォウルは「ふむ」とガブスの姿を確認する。



「よし、ちゃんと進化したな。巨人族ジャイアントから巨神族ティターンになった感じか」


「ティ、ターン……?」


「巨人族の進化体の一つの事だ。もっと成長すりゃ、ガイアみてぇに更に強くデカくなるんじゃねぇか」


「ツヨク……」


「そうだ。よし、魔力制御は慣れたな。なら、腹に力を込めろ」



右拳に力を込めるフォウルの気配を察知し、

ガブスは警告通り腹に魔力操作で魔力を集中させた。


ニヤっと笑ったフォウルが次の瞬間、

先程の戦いで見せた右拳からの腹部殴打ハラパンを浴びせた。


『ドゴォ!!』


異様な音が鳴り響いたことで、

ガブスの変化に驚いていた周囲の人々は、

フォウルの予期できぬ行動に唖然としながらも、

またも続くフォウルの脅威的な殴りに、

動揺し感情を揺り動かされたが、

その結果を見た人々は、更に驚かされた。


先程は宙を舞い、

数メートル以上吹き飛ばされたガブスが、

今度は宙に浮かばず、

一メートルほど地面を削りながら圧されたものの、

耐えきって見せたのだ。


しかもガブス自身も驚く様に、

先程とは比べ様もないほど、

肉体へのダメージが極小まで抑えられていた。

少しヒリヒリと腹に響いてはいても、

肉体と骨、内臓へのダメージはほとんど無い。


それは確実にガブスが強くなっている証拠だった。



「さっき殴った時と同じ力でった。どうだ?強くなったって実感は沸いたか?」


「……イタク、ナイ。ツヨク、ナッタ」


「んじゃ、今度は俺を本気で殴ってみろ。腹にで良いぜ」


「!!……ワカッタ」



フォウルの言う通りに、

一歩踏み出して右拳に力を込めるガブスは、

数秒後にフォウル目掛けて腹に拳を撃ち込んだ。


『ドゴォ!!』


先程のフォウルの殴りに相当する音が、

訓練場に鳴り響く。

その結果としては、

周囲の人々には然程の変化が見れなかった。


腹に撃ち込んだガブスの右拳は、

先程の戦いと同様に、フォウルは微動だにしない。


だが、当事者である二人は、

確実にソレの変化を目の当たりにしていた。


フォウルの両の足元が僅かに、

地面を()るように圧されて、動いていた。

長さからすれば二十センチにも満たないソレは、

先程とは全く違うモノだと、ガブスは感じ取れた。


二人は一歩引いて離れると、

若干フォウルは不満そうな顔を見せていた。



「やっぱ進化したてじゃあ、筋肉への伝達と魔力の伝達が合致しねぇな。もうちょい身体慣れすりゃ、これの数倍の威力が出せるな」


「モット、ツヨク、ナレル?」


「あぁ、俺が保証してやる。……強くなれよ。お前の友達ダチの為にもな」



そう言うとフォウルは右拳を握って、

ガブスの前にゆっくりと突き出して止めた。


その行動の意図は分からないものの、

ガブスも真似るように右拳を前に差し出し、

フォウルがゆっくりと拳同士を当てた。



「戦士ガブス。今日からお前は『フォウル=ザ=ダガン』の戦友トモだ。身体に慣れて、もっと強くなりたいと望むなら、南の砂漠を越えて闘技都市に赴け。あそこの砂漠には、魔獣がゴロゴロ住み着いてるが、今のお前なら横断できる。闘技都市にったら、『フォウス=ザ=ダガン』に逢え。こうして拳を交えれば、俺の戦友トモだと分かる」


「……フォウス、サバク、ミナミ……トモ、ワカッタ」


「ガッハッハッ!!俺の孫が闘技都市そこに居てな。強いヤツとりてぇって手薬煉てぐすね引いて待ってるんだ。お前と同じ巨神族ティターンも何匹か居る。もっと強くなりたきゃ、そいつ等に戦い方を学べ」


「……ワカッタ。フォウル、トモダチ。オレ、イツカ、イク」


「おう、頑張れよ。ガブス」



ニヤっと笑うフォウルに返すように、

ニカッと笑うガブスは、そう返した。


ガブスはこの時、フォウルを通して、

あの四人を見た気がした。

子供の頃、友達になってくれた、

大切な四人だった。


そしてその感覚は何故か、

最後に見た友達四人の姿に合致した。


赤牙蛇レッドサーペントと向かい合い、

ガブスを逃がす為に、

ガブスを不安にさせない為に、

笑って送り出した四人の姿に。


それはアイリが感じるフォウルの哀愁を、

ガブスも感じた瞬間だった。





*





拳を離した二人。

そして突き立てた大斧を、

フォウルはガブスに渡した。


黒魔耀鉱石を用いた武器である為、

しっかりと魔力を馴染ませるように伝えるフォウルに、

ガブスは素直に頷いた。


しかしそれだけで事は収まらなかった。

フォウルは振り返って観衆達に身体を向けた。



「――…で、『戦士としちゃ及第点』のお前等だ。俺を止めてコイツを救おうとしたとこまでは良い。だが、何匹か殺気の中に変な覚悟してる奴が居たな」



フォウルが目を鋭くさせ、

睨む様に観衆の隅々を見渡す。

それは殺気を放っていたわけでは無かったが、

目が合った警備隊員達が、

フォウルの言葉に思い当たる様子を見せた。


小さな動揺ではあった。

だが、続けてフォウルは言葉を繋げた。



「まさか、『自分が死んでもガブスを助ける』なんて、くっだらねぇ事を考えて、俺等の戦いに手出そうとしてた奴等は――…容赦無く殺していたぞ」


「――…ッ!!」



ハッキリと告げたソレは、フォウルの怒気だった。


観衆の全てが殺意とは違う怒気を感じ、

冷や汗をかき始めた。



「それは『戦士』じゃねぇ。自分の命に執着しねぇ、根性無しの馬鹿野郎だ。警備隊っつぅのは、戦えねぇ奴等を守る為に武器を持つんだろ?本当に守りたいモンがあるなら、二度とそんな覚悟をいだくな。――……いいな?」



『警備隊とは、戦えぬ者を守る為に武器を持つ者達』

その言葉は、ヴラズがフォウルに向けて言った言葉だった。


ガブスはあの時、

フォウルの問いに「戦う」と答えた。

にも関わらず、戦える者を守ろうと、

観衆に混ざる警備隊は構えた。


その時点でフォウルは、

彼等を『戦士としては及第点』だが、

合格では無いと判断した。

それは、戦士としてのガブスの誇りと、

戦う意思を持つ者全てを裏切るモノだったからだ。


わざわざ自分の命を差し出すような行いと、

武器を構える者達の殺気に気付いたフォウルは、

怒りさえ覚えるモノだった。


ソレは戦う者の覚悟では無い。


自ら命を絶つ様な行いは、

戦う意思の無い者がやる行いだったからだ。


そんな者達に自分達の戦いを邪魔されるのは、

懐が深いフォウルにも、感化しえないモノだった。





思い当たる者は自ら目を伏せ、

その場で膝を折って地に着けた。


バラスタ・ヴラズ・バズラの三人は、

膝を折らずにそのまま立っていた。


彼等は死を覚悟して構えていたのではない。

あくまで援護に徹底し、

フォウルの制止とガブスの救出を目的としていた。


だが戦う者の意思を邪魔した点で言えば、

彼等も戦士としては及第点だとフォウルは捉えていた。


総隊長であるミコラーシュも、昨日フォウルに言われていた、

『戦士としては及第点』に該当していた事を当てられた様で、

立ち上がって猟犬コーサーを構えていた体勢を戻し、

審査席に着席して、少々機嫌が悪そうにしていた。


ヴェルズも事に備えていたが、

そもそも自分を戦士だとは思っていないので、

特に気にする様子も無く、

目を伏せて魔力を纏い、

空間が歪んだ瞬間に移動し、

フォウルとガブスの傍に『自己転移テレポート』した。


観衆達は訓練場の真ん中へ現れたヴェルズにも驚くが、

そこで聞く事となったヴェルズとフォウルの会話に、

更に驚かされることになった。



「フォウル……いえ。名乗った以上、貴方を『オーガの王』として迎えるべきなのしょうね」


「昨日言ったろうが。鬼王オーガキングは孫に譲ったってな。俺はただ、戦友ダチに俺の名前を教えただけだ」


「そう。どちらにしても勝手が過ぎるわ。彼を進化させた件にしても。ね。――……昔、貴方は私達にこう言ったわよね?『落とし前はけろ』と。勿論、そう言った貴方が、この状況にどんな落とし前とやらを着けてくれるのかしら?」


「ん、あー……そんなこと言ったか?」


「言ったわよ。それはもう、誇らしげにね」



笑ってはいるが、この状況と空気を作った事に、

物凄く怒っているヴェルズと、

過去の自分の言葉に墓穴を掘られたフォウル。


互いに顔を向け合い、

渋々ながらも目を伏せたのは、

フォウルだった。



「だー!分かったっての。で、なんだ?俺は何やればいい?」


「話が早くて助かるわ」



とても良い笑顔のヴェルズとは対照的に、

その笑顔に物凄く嫌そうな顔をするフォウルに、

ミコラーシュは若干ながら、共感を覚えた。


そんな二人の気持ちとは裏腹に、

ヴェルズは観衆達の前に出て、

響く様な声でみなに呼び掛けた。



「今日、この日を楽しみに集まった皆様。今回は皆様の心身共に震撼・動揺させた事を、わたくし、ヴェルズェリア・ライアットが深くお詫び致します。そして、既に皆様が察しの通り、この場にいるオーガは、私の客人として祭りに来た、この大陸の南を統べる王、フォウル=ザ=ダガン。彼は此度、王を退く旨を伝えるべく、私の元へ自らの足を運んでくれた者。皆様も御覧になったでしょう。彼は圧倒的なまでの力量は、伝説にて語られる戦鬼バトルオーガそのままです。故に、私は彼に可能であればと、頼んでいた事があります」



そうヴェルズが大々的に呼び掛ける事で、

周囲の空気が変わり、

新たに小さな動揺も広がる。


あの強さで鬼王オーガキングを退いたという話と、

そのオーガの王を招いて何を頼んでいたのかという疑問。


そこまで言い終わった時点で、

フォウルが色々と文句がある表情を浮かべていたが、

ヴェルズは気にせずに、

そのまま言葉を繋げて宣言した。



「今日この競合訓練オリュンピアスで、我が村の警備隊と、他の村々の者達を交えた時、是非とも武勇名立たる彼に、その精強たる所以ゆえんを教授願いたいと。私も断られると思いましたが、彼はその心の深さにより、なんと承諾して頂けました」


「ゲッ」


「警備隊の各々は、彼の言う様に戦えぬ者を守る為に武器を取る者達。だからこそ、自分の愛する者、家族、友。そして、自分と共に生きる者達を守れる力を、彼から今日、学ぼうではありませんか」



ヴェルズが清栄たる声にて呼び掛ける言葉に、

周囲の者達は始めは呆然としていたが、

次第にヴェルズの言葉を理解し拍手が広まった。


若い警備隊衆からは、

ガブスとフォウルのやり取りに感銘を受ける者も居り、

自分達も同じく強くなりたいと声が上がる。


外部の商人達や旅人達は今までのフォウルの行いが、

この場に集まった警備隊の面々を心を鼓舞させる為の、

迫真の芝居だったのだと思い納得したように拍手を送った。





結果としてフォウルの今までの暴虐的な行いが、

ヴェルズの言葉で強くなる為に学ばせたという行為に、

摩り替わってしまったのだ。


しかもアイリ達だけに教えるという話が、

訓練に参加する者達全員という話になり、

フォウルは面倒臭そうな表情を浮かべていた。


そして、現在。

周囲に集まった警備隊の者達に取り囲まれて、

隊員全てに指導をさせられるハメに、なってしまった。





どうしてこうなった。


フォウルは昨日と同じように、

ミコラーシュと相対した時の疑問を抱きながら、

訓練場の中央へと立っていた。





『赤瞳の戦姫』ご覧下さりありがとうございます!


誤字・脱字・今回の話での感想があれば、

是非ご意見頂ければと嬉しいです。

評価も貰えると嬉しいです(怯え声)


ではでは、次回更新まで(`・ω・´)ゝビシッ


この物語の登場人物達の紹介ページです。

キャラクターの挿絵もあるので、興味があれば御覧下さい。


https://ncode.syosetu.com/n6157dz/1/

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