第000話 前世の記憶 ●
※注意※
第003話から第005話まで読み込んで頂ける方で、
涙が出ない方にはオススメできない作品です。
『特に幸せでもなく、不幸でもない人生』
それが私自身が感じた前世の記憶だったと思う。
だと思う、という感想には理由がある。
実は私はこちらの世界に来てから、
私自身の素性を特に覚えてないからだ。
けれど私自身の周囲で起きていた事柄だけは、
強く記憶に残っている。
いわゆる『転生者』ではあると思うが、
完璧に自分の記憶を持ってるわけじゃない。
私自身が『私』と、
中の『アタシ』の区別がつくようになったのも、
こちらの世界で5年経った……5歳になった頃だ。
始めに、私がこの世界に来た経緯と一緒に自己紹介をしよう。
私の前世は、
西暦2030年頃の地球という、
太陽系の1つの惑星で誕生した。
生まれは日本という小さな島国で、
私はそこで平凡に女の子として生まれた。
両親の他には祖母や兄・姉などがいたが、
特に目立つような印象は無かったし、
特別な特徴がある人達というわけでもなかったと思う。
曖昧な言い方になってしまっているのも、
私が生まれて5年ほど経ってから変化が訪れたからだ。
父と母は車の事故で亡くなり、
祖母はそれが原因で認知症が酷くなった。
兄や姉はそんな祖母や私の面倒を見て苦労して育ててくれた。
そんな中でも不幸は起こり続けた。
兄が脳卒中で倒れて、
結婚していた姉が離婚しそうになった。
私の周りの人達は、多くの不幸が取り巻き続けていた。
私は何もできない人生だった、と思う。
始めに言った通り、
私自身は幸せにも不幸にもなってない。
そういう自覚さえ覚える前だったから、
そういう事にしている。
けれど私の周囲の人々が、
どんどん不幸になっていったのは確かだった。
私の周りが不幸になった結果、
私は姉と一緒に心中した。
その光景だけは鮮明に覚えてる。
最後に涙を流して謝りながら、
私の手首を切った姉と一緒に湯船に手を入れた……。
それが前世の『私』の最後の記憶。
周りの事は覚えてるのに私自身の事を覚えてないのは、
私自身があまり主体的に考えたり、
動いたりしたことが無いからだろう。
それに幼すぎたというのもあるかもしれない。
小学校にまでは通っていた記憶があるので、
中学校に進学する前にこうなったんだと思う。
結局、私が前世で得ていた知識は、
誰かが生きていく為に必死になって覚えていた知識を、
私が傍で一緒に聞いていただけだった。
私の前世は家族どころか、
私自身に対しても傍観するしかない人生だった。
でも、今だからこそ思う。
私はきっと家族が大好きだった。
厳格だったけどゴルフの時には上機嫌で、
ゴルフクラブの素振りの仕方を教えてくれたお父さん。
ふくよかでお世辞にも綺麗とは言えないけれど、
とても優しかったお母さん。
足を悪くしていて皺くちゃの顔だったけど、
両親に内緒で冷蔵庫にある甘い物をくれたお婆ちゃん。
歴史マニアでオタクで部屋を汚くすると怒るけど、
いっぱい遊んでくれたお兄ちゃん。
お母さん似でふくよかだったけれど、
いっぱい外に遊びに連れて行ってくれたお姉ちゃん。
みんな、私の事を大事にしてくれた。
不幸が始まって、家族の皆は変わってしまったけれど、
それでも私は、家族の事が大好きだった。
何もできない私に、
何かしてくれてきた人達を私は大好きだと言いたい。
それが私自身に残っていた、
唯一の『思い出』だった。
これが『私』の自己紹介。
そしてこれから語るのは、
『私』の記憶を持って生きる『私』の御話です。
●:追加ページの日記。
これを読んだ『過去』の貴方へ。
これを読んだ『未来』の貴方へ。
この先を読み進める貴方は、
今から見るものを忘れてしまっているでしょう。
だから私は、ここに書き記しておきます。
もしかしたらコレを読んでいるのは、
私の予想とは違う方なのかもしれません。
その時は良かったらコレを、
『未来』の貴方へ見せてあげてください。
これを読んでいる時、
既に『過去』の私はこの世界には居ないでしょう。
そしてそれを選択したのは、
私の為ではありません。
それは『未来』の私が決めたこと。
そして『過去』の私が決めたこと。
これを書いていた時の私は、
先が見えない道へ歩み始めたばかりでした。
そして様々な人達が歩んだ『道』を見て、
自分の『道』を進み続けてきました。
これを書いていた時の『過去』の私は、
この先に起こる『未来』を知らない。
でも『未来』の貴方がコレを読んでいる時、
傍に居てくれる人を見てあげてください。
そしてどうか、傍に居てくれるその人と、
私では叶えられなかった幸せの『未来』を、
貴方が叶えてくれたら嬉しいです。
From : アイリュシティア=ザ=ドワルゴン
To : 愛理
『赤瞳の戦姫』ご覧下さりありがとうございます!
誤字・脱字・今回の話での感想があれば、
是非ご意見頂ければと嬉しいです。
評価も貰えると嬉しいです(怯え声)
ではでは、次回更新まで(`・ω・´)ゝビシッ
この物語の登場人物達の紹介ページです。
キャラクターの挿絵もあるので、興味があれば御覧下さい。
https://ncode.syosetu.com/n6157dz/1/




