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つぎこそは

「おや、お嬢様」


「これまでごめんね、クロード」


「いきなり何ですか。っていうか、昨日はリルフィード様の誕生日だったんじゃねえですか?あれだけの品だ、さすがに目え丸くしたでしょう」


「それがね、怒られちゃったの」


「はあ?」


「クロード達にね、そんなに迷惑かけちゃダメだよって。私、そんなの全然気付かなくって……そうだなあって思ったの。だからごめんね、クロード」



そういうと、クロードは困ったみたいに笑った。



「おやおや、参ったね。まあリルフィード様の言い分にも一理あるがねえ」


「?」


「素直に喜んで貰えた方が我ら使用人も嬉しいもんだが」



いちりってなんだろう。クロードの言葉は難しくって、私にはよくわからなかった。



「で?お嬢様はどうなさりたいんで?」


「あのね、それを相談に来たの」



クロードに一生懸命説明してみる。今はまだ思いつかないけど、リル様が欲しがりそうな物は錬金に関係するような物だとか、もう皆に時間をかけて助けてもらうのはナシで手に入れるにはどうしたらいいかとか、今困ったなあって思っている事を全部。



「う〜ん……そりゃ難しい注文だねえ。もっと普通なプレゼントじゃダメなんですかねぇ?」


「普通って?」


「お嬢様は刺繍とかも習ってるんでしょう。ハンカチに刺繍でもしてやりゃあいいんじゃねえですかい?」


「あんなのダメよ。全然錬金に関係ないもの!」


「いや、関係なくてもいいんじゃ」


「だってリル様、錬金に関係ないものなんか、目にも入らないんだもの」



ぷくっと頬っぺたを膨らませた私に、クロードはまた、弱ったねぇと笑った。



「じゃあ金しかねぇなぁ。時にお嬢様は『お小遣い』は貰っていなさるんで?」


「それ、なあに?」


「お金ですよ、旦那様からお金持を貰ったことは?」


「ないわ」


「お嬢様、自分で探さずに何か物を手に入れるには、普通、お金が要るもんなんですよ。旦那様のところにいって、今クロードに言ってくれた事を話して、相談してみるのがいいんじゃねぇですかい?」


「分かった!行ってみる!クロード、ありがとう!」



日に焼けたひげ面にチュッと感謝のキスをして、私は庭園から走り出た。こうしちゃいられない。忘れないうちにお父様に相談しなくっちゃ!



そうしてお父様に相談したら、お父様は『お手伝い』したらお金をくれるって約束してくれたの。『そういう用途なら、労働の対価がいいだろうね』って、なんだか難しい事を言われたけど、とにかく頑張ればお金が貰えて、いつかリル様が欲しそうな物とお金をかえっこできるんだよね?


私、頑張る!



お父様の剣のサヤをキレイに磨き上げたら10G、ハンカチに素敵な刺繍が出来たら20G、お父様の肩を10分叩いたら10G……お父様が決めてくれた、たくさんの小さなお手伝いを、私は毎日毎日、ずっとずっと頑張った。100Gあってもパンひとつ買えるか買えないかなんですって。お金を集めるのって、本当に大変なのね……。


お稽古やお勉強があるから、毎日そんなにたくさんは出来ないけれど、それでも毎日いくつかづつやっていれば1年も経つ頃には6000Gが貯まっていて、私はそのありったけをはたいてリル様に錬金術の参考書をプレゼントした。

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