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初めてのバースデープレゼント

「リル様!はいこれ!誕生日プレゼント!」


「うわっ!?」



ドサっと音を立てるくらいの勢いで、たくさんの草花がリル様の体に降り注ぐ。



「な、な、な、何、これ……」


「リル様、いっつもたくさんお花や草を摘んでるから。これだけあれば、たっくさん『れんきん』出来るでしょ?」



出会って半年、お母さまがわずかでも元気になる『栄養剤』を頻繁に作ってくれるリルフィード様は、既に私の中で神様レベルの信頼を勝ち取っていた。


そんなリル様に、最っっっっ高のバースデープレゼントを贈りたい!そう思うのはもう、ものすごく自然な流れだと思う。



「え……錬金ってことは、これ素材?」



一瞬驚いた顔をしたリル様は、草まみれのまま真剣な表情で一本一本草花を選り分けていく。一目見ただけでどんどん横に置いて行く物もあれば、動きがピタっと止まってじっくりじっくり見つめてるのもある。お花の形だけじゃなく葉っぱや茎の形まで、時には匂いを嗅いだり葉っぱを少しだけ口に入れたりするのを、私はなんだか感動しながら見ていた。


凄いなぁリル様、おしゃべりもしないし休んだりも全然しないの。


ただ……プレゼントを一生懸命見てくれるのは嬉しいけど、完全に私の事忘れたみたいでちょっと寂しい。いい加減疲れるんじゃないかなぁと思って淹れたお茶も完全に冷えちゃったし。ちぇ、つまんないなあって、つい思っちゃった頃。



「使えるのはこれだけだな」



やっと、リル様が顔をあげてくれた。



「……て、え?うそ、たったそれだけ?」


「うん、6本」


「そ、そんなぁ。あんなにたくさん採ったのに」



リル様に積もるくらい、本当にたくさん採ってきたんだよ? なのに……。リル様の横にうず高く積まれた草花全部、なんの役にもたたないなんて。



「ユリアンナ、錬金術に使えるものなんてそんなにたくさんある訳じゃないんだ。僕だって摘む前にしっかり見てから摘んでるんだよ」




そう言われればリル様、お花摘んでる時間より、見てる時間が長いかも。そっか、あれって使えるのを探してたんだ。




「草花だって生きてるんだから、こんなにむやみに摘んだら可哀相だろう?」


「うん……ごめんなさい」


「でも、珍しいのも混じってた。いい薬ができそうだよ、ありがとう」


「……うん!!」



滅多に聞けないお礼の言葉と、ちょっと恥ずかしそうな笑顔。


うわぁ~どうしよう。



嬉しい!


嬉しい!!


超、嬉しい!!!






完全に舞い上がってしまった私は固く固く誓った。


来年こそは絶対に、リル様が目をキラキラさせちゃうみたいな、超!!素敵なプレゼントを用意するんだ!!

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