フィールドへ
お父様がああ言ってくれたおかげで少し元気になった私は、随分と久しぶりにフィールドへ出た。
久しぶりって事で、私の武術の師匠であるユシアも一緒について来てくれた事が頼もしい。ウキウキとギルドの依頼ボードを見ながら、めぼしいクエストを物色する。
そうだなあ、ユシアがいるならいつもよりちょっと厳しめのクエストでもいけるかも。いつも行くとこじゃ、あんまり珍しい物も採集できないから、リル様へのプレゼントを探すならちょっと変わったところの方がいい。
お父様も応援してくれたし、お母様はいつだって全力で頑張りなさいって言ってくれてたもの。
「お嬢、それは厳し過ぎないか?」
「だってせっかくユシアが居るし」
ユシアは他の人に比べて私がそこそこケガしたって放置してくれるし。私が回復魔法を使える事も分かってるし、実力の把握が出来てるからなんだろうと勝手に思っている。
「にしたって、ここは」
「ドラゴンが居るって噂のとこでしょ?でも噂だけじゃない」
「まあ、そうだが」
「それに討伐じゃなくて『風華草』の採集ですもの」
「いやだから、その『風華草』は強い風属性がないと育たないんだって。ドラゴンレベルの」
ユシアが渋るけど、絶対ダメだって言わない時点で何とかなるって思ってるって事だもの。これはもうチャレンジしてみるしかないと思うのよね!
意気揚々と受付に依頼書を持っていけば「あーあー、俺今日が命日じゃねえの」と軽口を叩きながらもついてきてくれる。何度も一緒にフィールドに出たからこその気安さが感じられて、少し心がウキウキした。
「それにしてもこりゃあダンジョンって言っていいもんか」
「そうね、普通にジャングルって感じだものね」
「魔物も確かに強いけど、罠もないしな」
「ただ木ばっかりで何処を歩いてるんだか……マッピングが役に立たないよ」
「お嬢!ちゃんと帰れるのか、それ」
それねえ、私もちょっと心配になってた。正直に言うなら、そうとう奥に入ってきたとは思うんだけど、この広大なジャングルのどのあたりに来ちゃったにか分かんないレベルだって言ったら、もっと絶望させちゃうと思う。
真面目にヤバい。
「ちょ……返事がないとか、本気でヤバかったりするのか」
「ごめん」
風華草も見つけられないうちに、完全なる迷子でございます……。今日中に帰れる気がしない。
かなり絶望感を感じたその時。
目の前が突然開けて、広い広い草原が現れた。
広大なジャングルのただ中に広がる、さんさんと陽を浴びた爽やかな草原。明らかに、それは異質な場所だった。




