救いの手
「マカぁーっ!」
「ようやく呼んだな。ったく、遅いっ!」
「えっ?」
マカが現れた。
それこそ風のような速さで。
フーカの体を抱え込み、光る右手でフーカの首元に触れた。
すると黒い手のひらは黒いチリと化し、消えた。
「…まったく。余計なことにばかり首を突っ込みたがるな。ミナは」
マカは険しい表情で、フーカの体を見た。
「まっ、ぎりぎりセーフってところか」
「あっ、フーカちゃん!」
ミナは二人に駆け寄った。
フーカは涙を流していたが、その寝息は安らいだものになっていた。
「気を失っただけだ。…それより、説明してもらおうか」
いつものマカとは違った厳しい雰囲気に驚きながらも、ミナはこの前の夜のことを話した。
するとマカはこめかみをぐりぐりと指で押した。
「…このプレハブ小屋を壊すよう、校長に進言したのは私だ。ここはあまりに邪気が集まり過ぎた」
「じゃっ邪気?」
「ああ。ここは人目に付きにくいだろ? 悪さをする生徒や、自殺をする生徒の悪しき気が溜まり、この場自体が手に負えなくなっていた。だからいっそのこと壊すように言ったんだが…」
「ごっゴメン…」
「ミナに謝られてもしょうがないさ。まずは、ここを何とかしなければな」




