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どんっ ばんばんっ どどんっ
…何かを叩くような音。
ミナはゆっくり振り返った。
まだカーテンは閉めていなかった。
だからはっきりと見てしまった。
窓には黒い手のひらの跡が、音と共に次々と現れる。
手のひらは、赤ん坊サイズから男性の大きなサイズまでさまざまだ。
ミナは眼を見開き、口を開いた。
「いっやあああ!」
二人は部屋を飛び出した。
そのまま家からも、出てしまう。
二人は駆け出し、学校へと向かった。
そして校門を乗り越え、例のプレハブ小屋へと来た。
「えっ…?」
息を切らせながら、ふとミナは正気に戻った。
―何故、ここへ来てしまったのだろう?
逃げ場所ならば、もっと人気の多い所の方が良かったのではないのか?
なのに逃げている途中、迷わずここへ来てしまった。
まるで導かれているように―。
「ねっねぇ、フーカちゃん。帰ろう。ここは危ないよ!」
しかしフーカは反応しない。
体を折り曲げ、苦しげに顔を歪めていた。




