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 家に帰っても、寝直す気分ではなかった。

 頭には入らないが、無理に勉強していた。

 そうすることで、余計なことを考えないようにしていた。

 そのおかげか、夜は早目に眠りにつけた。

 しかしその夜見た夢は…。



 ―ユマが何かから逃げていた。一生懸命に。

 歩道橋を駆け上り、真ん中まで来た所で振り返った。

 すると黒い手が伸びて…ユマの肩を叩いた。

 そしてユマの体は下へと落ちた―




 翌朝、登校してきたミナを向かえたマカは、ぎょっとして駆け寄ってきた。

「ちょっ…ミナ! 今すぐ家に帰ろう! 顔色、青い通り越して、土気色になってる!」

「うっううん、ヘーキ」

「ウソおっしゃい! どんだけ勉強してんのよ?」

 ミナをイスに座らせながら、マカは顔をしかめた。

「ミナ…。何か悩みがあるなら言って。ご両親に進学先のことで何か言われた? それとも体調が悪い? 言ってくれなきゃ、私も行動できないのよ」

「…ゴメン、マカ」

 涙が出そうになるのを、必死でこらえる。

 きっとマカに黙ってしまった罰だ。

 だから一人で抱え込まなきゃならない。


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