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伸びる黒き手
その夜。ミナは不思議な夢を見た。
アキが深夜、踏み切りの前に立っていた。
電車がもうすぐやって来る。
アキは待っている、電車が通り過ぎるのを。
しかし電車が目の前までやってきた時。
―アキの背後から、黒い手が伸びた。
そしてアキの背は押され、その体は電車の前に―
「………っ!」
電車のライトに照らされ、アキの恐怖に引きつった顔が浮かんだ。
翌朝。
「…ミナ。ヒドイ顔色だけど、今日休んだ方がよかったんじゃない?」
マカが心配そうに声をかけてきた。
「ううん、大丈夫。ちょっと夢見悪かっただけだから」
「そう…。夢見悪いなら、私のオススメのアロマあげようか? 良い気分になれるよ」
気を使うように、ミナの頭を優しく撫でてくれる。
それだけで、ミナも笑顔になれる。
しかし、その時。
ユマが教室に飛び込んできた。
「ミナぁ! アキがっ、アキが死んだってっ…!」
ミナの笑顔が凍りついた。




