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記憶  作者: 安音
9/9

ステラの記憶【2】


次の日、私はいつもより早く起きた。理由は多分母と初めて遊びに行けるからだと思う。


…やっぱり7歳の子供なのだ。内心かなり嬉しかったんだろう。


母はすでに起きていて、私が部屋に来たときには着替えを済ませていた。部屋に入ってきた私をみるなり、母は青白い顔に笑顔を浮かべて


「おはよう、ステラ。その服よく似合っているわ」


と言った。実は私が着ている洋服は病気になる前に母が、誕生日にプレゼントしてくれた物だった。が、その後母が病気で寝込んでしまい、そのままタンスの奥にしまいこんでいたのだ。その事に昨日気がついて、今日着ようと準備していた。


私は母に言われた言葉を噛みしめて、笑顔をみせる。


「ありがとう」


それから私達は朝食をとり、支度をしてから家を出た。お気に入りの小さなかごのバッグを持って。


母はずっとベッドに寝ていたせいか、少し歩いただけで辛そうに青白い顔を歪ませながら歩いていたが、ステラに心配をかけないように笑顔を保っていた。その事にステラは気づいていたが、あえて何も言わないでおいた。


二人は可愛らしい小さなうさぎやリスなどの小動物を通り過ぎながら、森の奥へと入っていった。目指すは時の泉。


ゆったりとしたペースで森の小道を歩いていくと、時の泉が見えてきた。ステラは時の泉に来るのが初めてだったので、宝石のように輝く泉に驚いていた。母はそんなステラを嬉しそうに眺めていた。


しばらくすると泉の中心部に美しく輝く女性が現れた。母は懐かしそうに目を細めて言った。


「女神ハウリアス」


ハウリアスと呼ばれるその女性は母に微笑み、挨拶をした。


「メアリー、久しいですね」


それから私の方に近づいてきた。


「この子が…。こんにちはステラ。私は時の泉の女神、ハウリアスです」


そういって私の頬を撫でた。恥ずかしくて思わず俯いてしまった私をみて少し笑うと、女神様は母の方を向いて小声で話し始めた。母はそれを聞いて、私に言った。


「少しの間女神様とお話ししなくちゃいけないから、一人で遊んでいてくれる?」


私は頷いて、母と女神様から離れた。


もしかしたら、これがあの事件のきっかけだったのかもしれない。


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